南北協議:盗聴恐れた訓令伝達

 22日から4日間続いた南北高官協議で、北朝鮮側代表団は韓国側と真っ向から対立するたびに休憩を求めたとされる。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の訓令を受け取るのが目的だったとみられる。韓国政府筋によれば、簡単な事案については、黄炳瑞(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長が対南工作の責任者である金養建(キム・ヤンゴン)党統一戦線部長と協議して立場を示したが、重要な事案についてはいちいち平壌に指針を求めていたとみられる。

 特に北朝鮮の代表団は盗聴を懸念するように、韓国側にある会談場所(平和の家)のファクスや電話は使用せず、直接板門店の北朝鮮側地域に戻ったり、伝令を通じたりして、指針を受け取っていたという。韓国統一部(省に相当)関係者は「北朝鮮の連絡官が板門店の韓国側地域にある会談場所の『平和の家』と板門店の北朝鮮側にある連絡事務所『板門閣』の間を奔走していたと聞いている。休憩を兼ね、黄炳瑞、金養建の両氏が北朝鮮側に戻ることもあった」と話した。

 韓国側代表団は主に休憩時間に、盗聴ができない秘話装置や暗号ファクスで朴槿恵(パク・クンヘ)大統領から訓令を受けた。安全保障担当者は「朴大統領は直接電話に出ず、大統領秘書室の金奎顕(キム・ギュヒョン)国家安保室第1次長が大統領に代わり、訓令を伝えたはずだ」と説明した。会談場所の外に待機していた韓国側関係者が時折、指針が書かれたメモを代表に渡していた。

 韓国側と北朝鮮側の代表4人が共に着席していた時間は全体の会談時間の半分以下だったという。統一部関係者は「全体会議はソウルと平壌で会談状況をリアルタイムでモニタリングされるため、代表らのプレッシャーが大きかったのではないか。北朝鮮側代表が『代表団長会議』にしようと主張し、一対一の非公開会談にするケースが多く、休憩時間が思ったよりも長かった」と振り返った。

 統一部関係者は「名目上、黄炳瑞氏が北朝鮮側の代表団長だったが、会談は金養建氏が主導した」と指摘した。金養建氏は休憩のために会談場所を離れたり、トイレに向かったりする途中に韓国側代表に提案を行うこともあったという。韓国政府消息筋は「金養建氏は『大きな枠組みで民族の未来を開こう』とか『最高幹部クラスが虚心坦懐(たんかい)に話し合おう』などと首脳会談を示唆するような発言を行った」と述べた。

李竜洙(イ・ヨンス)記者
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