南北協議:北朝鮮向け拡声器放送の内容とは

「自信を失った金正恩」 少女時代の歌も

 「北朝鮮軍は真っ向勝負では負けるのが明らかだから、ひきょうな魚雷による奇襲を行ったり、地雷を埋めたりして逃げた。恥ずかしいやり方にこだわっている」

 「人民軍の皆さん、最も美しい青春を北朝鮮の独裁政権の奴隷として浪費せず、今こそ立ち上がってもらいたい」

 24日夜、西部戦線の最前線一帯で流れていた北朝鮮向けの拡声器による宣伝放送の内容だ。韓国軍は11年ぶりに拡声器による放送を開始した理由を繰り返し説明。「間違った指導者と出会い、皆さんは苦しんでいる。同じ民族として、心の安らぎと真の慰めを伝えようと、拡声器放送を行うことになった」という放送を流した。

 さらに「労働新聞再読」「報道広場」「きょうの焦点」といった5-10分間の報道番組で、国内外の主要ニュースや北朝鮮に関するニュースを繰り返し流している。「民族の名で告発する」「北朝鮮は武力挑発を中止せよ」といった番組では、北朝鮮の非武装地帯での地雷や砲撃による挑発について、詳細に説明した。

 北朝鮮の独裁政権に対する批判も盛り込んだ。金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記については「自信を失った金正恩」「分別がなく何も知らない金正恩」「民族の名で処断すべき独裁者」などと表現した。また「朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が就任以降、中国を3回も訪れているのに対し、金正恩氏は3年以上たっても一度も海外歴訪どころか、外国観光すらできなかった」「幼い金正恩は外国の首脳の前で邪険にされるのを恐れている」とも皮肉った。

 拡声器放送には心理戦のほか、韓国の市場民主主義体制を紹介する内容も多く含まれている。韓国の発展ぶり、中産階級の暮らしなどだ。「幸せな大韓民国」という番組では、男女のアナウンサーが自分や普通の人々のエピソードや韓国料理の国際化などを紹介し、音楽も流した。「心」(IU)、「願いを言ってみて」(少女時代)、「BANG BANG BANG」(BIGBANG)、「出会い」(ノ・サヨン)、「愛に」(ヤン・ヒウン)、「わが国」(ぺ・ハングク)など最新曲に過去のヒット曲を取り混ぜている。

 北朝鮮向け拡声器放送は、最前線の11カ所で1日に3回、3-4時間ずつ流されている。11カ所いずれも不規則に北朝鮮が予測できない時間に放送する方式だ。韓国軍幹部は「北朝鮮の最前線地域に配置された将兵や前線の集落に住む北朝鮮住民は外部と徹底的に隔離され、歪曲(わいきょく)された情報を受け取っている。彼らが真実を知り動揺したり、離脱したりすることは北朝鮮首脳部が最も恐れる事態だ」と指摘した。

 これに関連し、与党セヌリ党の河泰慶(ハ・テギョン)国会議員は、民間の北朝鮮向け放送に新たに周波数を割り当てることを提案すると述べた。河議員は「民間団体は10年以上にわたり北朝鮮向けの放送を行っているが、短波の周波数を借りて運営している状況だ。民間の北朝鮮向け放送を支援できるよう国会が協力すべきだ」と主張した。

チョン・ヒョンソク記者
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