IT(情報技術)やITC(情報通信技術)といった先端技術の国際競争が激化している中、韓国が出遅れつつあるようだ。アジアの中でITのインフラ整備にいち早く取り組み、「IT先進国」と自負してきたが、韓国メディアが第5世代(5G)移動通信や人工知能などの基盤技術で、相次いで自国の技術に疑問符をつけているのだ。ライバルの日本は官民を挙げて力を蓄えつつあり、韓国国民のプライドは傷ついている。
■競争力強化に“逆行”
5Gは通信速度が毎秒10ギガ(1ギガは10億)ビット超、容量も現行の4Gの高速無線通信サービス「LTE」の約1000倍。あらゆる機器をインターネットにつなげる「モノのインターネット(IoT)」や自動運転車、バーチャルリアリティなどの革新的なITCに不可欠な技術だ。
中央日報日本語版によると、韓国経済新聞は7月27日、韓国政府が5G通信サービスに活用する計画だった700メガヘルツの周波数帯域を、地上波放送5局のチャンネルの超高画質放送用に割り当てるなど、(競争力強化に)逆行していると伝えた。同紙は、通信業界関係者のコメントとして「政界の行き過ぎた通信料金引き下げの圧迫も、5G技術の先行獲得に必要な投資財源を得るためには障害物」と指摘した。
一方、日本の民間企業は2020年開催の東京五輪での商用サービス開始を目指し、技術開発を着々と進めている。NTTドコモは、通信機器などの世界大手8社と5Gの技術開発を進めており、7月23日には、米インテルや米クアルコムなど5社が新たに参画すると発表した。この技術開発には韓国サムスン電子も協力しているが、主導権を握るドコモは技術の世界標準化を視野に入れる。NECや三菱電機なども、5Gに対応した技術を次々と発表しており、オールジャパンでの商用化に向けた動きが進んでいる。韓国経済新聞は、社説で「IoTの根幹がまさに5Gとみれば、次世代IT産業全般から(韓国が)追いやられる公算が大きい」と嘆いた。