[東京 21日 ロイター] - 8月ロイター企業調査によると、安倍晋三首相が目指す安保関連法案の今国会での成立について、6割強が反対していることがわかった。企業はむしろデフレ脱却・成長戦略を優先すべきとみている。
2017年4月に控える10%への消費税率引き上げについては、まだ経済環境が整っていないとの見方が8割を超え、軽減税率導入など新たな対策が必要とみている企業も8割となった。
この調査はロイター短観と同じ期間・対象企業で実施。資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に8月3日─17日に行った。回答社数は270社程度。
<景気は拡大局面、10%への消費税上げの環境整わず>
景気の現状については74%の回答企業が「どちらかというと景気拡大局面」とみているものの、10%への消費税率引き上げへの経済環境は整っていないとする企業が82%に上る。
「個人消費の改善が確認できていない」(繊維)、「所得アップが必要」(情報通信業)といった理由だ。
このため、新たな経済対策が必要との回答が81%を占めている。昨年4月の8%への税率引き上げの影響を考慮して「消費意欲の拡大につながる経済政策が必要」(精密機械)、「食料や住宅など生活に直結する部分は低い税率を適用すべき」(卸売)など、消費者対応の政策を訴える声が多い。
一方で増税を実施するなら「マイナンバーにより納税の不平等を改善し、年金制度改革と年金機構の業務改革が必要」(化学)、「規制緩和が不足している」(輸送用機器)など、一層の構造改革が必要との声もある。
経済対策は不要との意見では「小手先のばらまき対策はやめてもらいたい」(電機)、「プレミアム商品券など無駄使いはやめてほしい」(機械)との声とともに、そもそも増税が必要な根本的な理由を踏まえて「早期に社会保障費の削減計画を明確にする必要がある」(小売)などの指摘もある。
<政策は経済に注力を、安保は最優先ではない>
安倍首相が最優先で取り組むべき政策については「デフレ脱却・成長戦略」との回答が63%を占めた。次いで「財政再建」が33%。外交・安保は2%とわずかだった。
具体的な政策としては「岩盤規制を中心とした規制緩和」「最大のボトルネックである人口問題」(いずれも電機)、「内需よりも世界の市場獲得のため環太平洋連携協定(TPP)を含め、進むべき方向を明確にすべき」(化学)といった声が寄せられた。
今国会中に安倍首相が安保関連法案を成立させる方針であることには反対が62%を占めた。賛成は38%。反対の理由として目立つのは「国民の理解が不十分」(食品)である中で、「手続き、進め方が強引すぎる」(機械)といった指摘が多い。また「外交関係が困難になり、海外取引等の経済にも波及すると思われる」(運輸)など、ビジネスへの影響を懸念する声もある。
<商品価格下落、販売価格見直しにはつながらず>
原油をはじめ国際商品価格が下落しているが、円安が進んでいることもあり、販売価格を引き下げる動きは現時点で広がっていない。商品価格下落の動きが継続した場合に価格を見直す可能性については「ない」との回答が77%にのぼった。「円安により、購入価格の下落は大きな効果を発揮していない」(電機)、「これまで購入価格が上昇してきている中で値上げしていなかった」(サービス)といった声のほか、「原価への影響は軽微」「労務費その他のコストアップ要因がある」(いずれも建設)などの事情もある。
(中川泉 梶本哲史 編集:石田仁志)
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