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【山口組分裂】
「菱が割れるぞ」名古屋支配への不満、限界か
「菱(ひし)が割れるぞ。本格的に、だ」。日本最大の暴力団・山口組の分裂が確定的となり、大阪府警の捜査幹部は27日、険しい表情でこう語った。「菱」とは、菱形の中に「山」を描いた山口組の代紋のことだ。
神戸市灘区の閑静な住宅街の一角は、27日朝から異様な緊張感が漂っていた。高さ約5メートルの厚い鉄のシャッターが下ろされた山口組総本部前に兵庫県警の捜査員や報道陣が詰めかけた。
大阪、名古屋、岡山…他府県ナンバーの高級車が次々と到着するたびに総本部のシャッターが上がった。
山口組の分裂情報が飛び交う中で、捜査員の一人は「目立った動きがない。どうなっているのか」と眉間にしわを寄せ、動向を注視していた。
捜査関係者によると、山口組の直系組織74団体のうち、10団体以上が離脱するとみられている。山健組など多くが関西拠点の組織だ。
兵庫県警の捜査幹部は「今のヤクザの世界には仁義も何もない。頭の中にあるのはカネだ」と語る。内部では上納金などカネの使途が不明朗といった批判もあったとされる。