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【政治】

米艦防護の条件めぐり 防衛相、邦人乗船「絶対でない」

 中谷元・防衛相は二十六日、安全保障関連法案に関する参院特別委員会で、他国を武力で守る集団的自衛権行使の代表例として政府が挙げる邦人輸送中の米艦防護をめぐり、邦人が乗っているかどうかは「絶対的なものではない」と述べ、条件ではないとの考えを示した。安倍晋三首相はこれまでの記者会見で、紛争国から避難する母子を米艦が輸送するイラストを掲げ、集団的自衛権行使の必要性を訴えてきた。

 民主党の大野元裕氏が、朝鮮半島有事の際、米艦への攻撃に自衛隊が集団的自衛権に基づき反撃できる存立危機事態の認定について「(米艦内の)邦人の有無は関係ないのでは」と指摘。中谷氏は「邦人が乗っていないからといって存立危機事態に該当しないということはない。邦人が輸送されていることは判断要素の一つだが、絶対的なものではない」と認めた。

 首相は集団的自衛権の行使を容認するため、憲法解釈の変更を検討すると表明した昨年五月の記者会見で、米艦に輸送される日本人の母子を描いたパネルを示し、集団的自衛権を行使しなければ「紛争国から逃れようとしている子どもたちが乗っている米国の船を守れない」と主張。憲法解釈の変更を閣議決定した同七月の記者会見でも同じパネルを使い「逃げようとする日本人の命を守るため、米国の船を守る」と強調してきた。

 大野氏は、首相の姿勢について「女性や子どもを使って国民感情に訴え、(法律を制定する必要性の根拠となる)立法事実を覆い隠すのは姑息(こそく)なやり方だ。真摯(しんし)に立法事実を示して国民の理解を得る態度とは全く違う」と批判した。

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