学校が始まる。つらい。どこかへ消えてしまいたい。

 そう思っている子どもが身近にいるのではないか。

 内閣府が40年余りの記録を調べたところ、子どもの自殺が休み明け前後に増えることがわかった。夏休み明けの9月1日が131人と突出していた。

 「休み明けは、環境が変わる契機になりやすく、動揺が生まれやすい」と内閣府はみる。

 痛ましい結果は何としても防がねばならない。子どもに寄り添い、話に耳を傾けたい。

 命を絶つ小中高生は年間300人を超えている。そこにはさまざまな要因が絡み合う。警察庁によると、小学生は家庭生活が多いが、中高校生は勉強や進路など学校関係が増える。

 子どもたちに言いたい。

 学校に行かなければと自分を追いつめず、いったん立ち止まり、心や体を休ませよう。

 親や先生、友だちに思い切って話してみよう。

 友人の家族や近所のおじさん、おばさんもいる。

 電話で話を聞いてくれる窓口もある。NPO法人の「チャイルドライン」(0120・99・7777)や、文科省の「24時間子供SOSダイヤル」(0570・0・78310)だ。

 自殺を防ぐには、家庭や学校、地域の役割が大きい。

 10代前半の場合、「事前に予兆がないことが多い」と、内閣府の関連白書は書いている。

 突発的に見えるのは、大人が微妙な変化を意識できていないからではないか。子どもの話しやすい雰囲気作りが大切だ。

 不安な表情や食欲のなさ、不眠などに気づいたら、抱え込まず連絡を取り合う必要がある。

 せっかく打ち明けられても「頑張れ」と励ましたり「死ぬのは愚かだ」と叱ったりすれば、開きかけた心は閉じてしまう。ともに考え、道を探ってみようと伝えたい。

 NPO法人「全国不登校新聞社」は休み明けに向けてウェブ版で緊急号外を出し、脳科学者の茂木健一郎さん、教育評論家の尾木直樹さんや、不登校体験者らのメッセージを載せた。

 同社記者の小熊広宣(こぐまひろのぶ)さんはコラムで、こうつづっている。

 「『逃げろ』と言って済むほど、事は単純ではない。逃げた先の安心が見えなければ、一歩は踏み出しづらいからだ。それでも言いたい。学校とつり合いが保てるほど、命は軽くない」

 子どもの話だけではない。

 命のSOSを見逃さず、絆を取り戻せるよう、一人ひとりができることをする。そんな社会でありたいと思う。