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 イランの軍事、安全保障政策の責任者である最高安全保障委員会のアリ・シャムハニ事務局長は26日までに、テヘランで朝日新聞の単独インタビューに応じ、日本の安保法制論議で具体例として示されたホルムズ海峡の封鎖について「ホルムズ海峡は地政学的に重要。開かれた、静かな海域にするべく最善を尽くしている」と可能性を否定した。

 シャムハニ氏は「日本での議論は知っている」と述べた上で、「米国が『タンカーを通したければコストを払え』と言っているに過ぎない」と述べた。米国がありもしない危機をあおることで、日本に軍事面での肩代わりをさせようとしている、との認識だ。

 イランはシリアやイエメンなどの情勢を巡り、サウジアラビアなどのアラブ諸国やトルコと対立。地域の緊張を高める一因となってきた。シャムハニ氏は「イランは常に周辺のアラブ諸国と関係改善に努めている」と語り、軍事よりも対話を重視する考えを示した。イランは地域安定に向けて、サウジやカタールなどペルシャ湾岸6カ国と近く協議を開きたい考えだ。

 シャムハニ氏はイランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」の創設時メンバーで、海軍司令官、国防軍需相、最高指導者ハメネイ師の軍事顧問などを歴任した。現在は、国防に関する軍事や外交方針を統括する。安全保障政策に関する権限では、ハメネイ師、ロハニ大統領に次ぐ。国外メディアのインタビューを受けるのは極めて異例だ。(テヘラン=神田大介)

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 イラン最高安全保障委員会のシャムハニ事務局長とのやりとりは以下の通り。

 ――「イスラム国」(IS)の勢いが止まらない

 「IS幹部はアラブ人、それもサウジアラビア人が多い。母国が独裁下にあるため、抑圧を感じている若者たちが引きつけられている。ISに資金援助をしているのは中東地域にある米国の同盟国だ。戦闘員と資金の流入を断つことが最も効果的だ」