<仙台いじめ自殺>からかいエスカレート
いじめは周囲が思う以上に男子生徒を追い詰めた。仙台市立中1年の男子生徒が昨年秋、いじめを苦に自殺した問題。男子生徒は複数の同級生に長期間からかわれていたことが、市いじめ問題専門委員会の報告書で明らかになった。友人同士の単なるやりとりと見なしていた学校。報告書からは男子生徒が深く傷ついていたことがうかがえる。
報告書や市教委の説明によると、男子生徒は中学入学間もない昨年5月、からかいの対象になった。掃除の時間に泣く姿を教員が目撃。学校は「謝罪の会」と称してからかった生徒らを集めて謝罪させたが、前後して男子生徒は登校を渋り、休みがちになった。
同6月、男子生徒とアイドルグループを合成した写真が、無料通信アプリのLINE(ライン)で生徒の間に出回った。学校は男子生徒が自殺するまで、この事実をつかんでいない。
同7月には、男子生徒が同級生グループで遊びに行った際、故意に一人きりにさせられる出来事があった。「仲間外れにされている」。保護者の相談を受け、学校は2度目の謝罪の会と学年集会を開いたが、これが逆に反発を招いた。男子生徒は「チクッた」(告げ口をした)と非難された。
からかいは夏休み明けごろからエスカレートしたとみられる。男子生徒は「変態」「寝癖がひどい」といった言葉を浴びせられ、保護者に悩みを訴えていた。命を落とす直前には「転校したい」と話したという。
「10代は悩みをうまく言葉で表現できず、周囲に訴えられない場合が多い」。年中無休で電話相談に応じる「仙台いのちの電話」の本田登代子事務局長は指摘する。その上で「気持ちを吐き出してみて」と呼び掛ける。いのちの電話の連絡先は022(718)4343。
2015年08月22日土曜日