<仙台いじめ自殺>学校、積極的対応せず
昨年秋、自ら命を絶った仙台市立中1年の男子生徒。生徒と保護者から繰り返し発せられたSOSに学校の対応は形式的だった。市教委がいじめを把握したのも自殺を図った当日。切実な訴えは届かず、尊い命を救うことはできなかった。
学校が昨年5月に実施したアンケートで、男子生徒はいじめをうかがわせる回答をしていたが、担任の40代女性教諭は詳しい事情を聴かなかった。夏休み明けもいじめは続くが、男子生徒に「大丈夫か」と声を掛けるだけにとどまった。「深刻な状況とは思わなかった」と説明しているという。
校長が全容を把握できずに組織としての対応が遅れ、市教委にも報告していなかった。市教委の吉田広志学校教育部長は「学校からの連絡がなく、市教委としても十分な連携が取れなかった」と釈明した。
いじめ問題に詳しい宮崎秀一弘前大教授は「いじめが続いていながら、学校と市教委で連絡がなかったのは問題だ」と指摘した。
公表は昨年秋の自殺から1年近く、専門委答申からも2カ月たっている。市教委は「公表すべきとの方針だったが非公開にという遺族の強い意向があり、昨日まで発表内容の相談を続けてきた」と説明した。
2015年08月22日土曜日