警視庁が重大関心! 都知事選“買収リスト”入手――田母神俊雄“政治資金1億4000万円”の使い途
「通帳も印鑑もカードも渡しっぱなしで、ちょっと迂闊だったと思っております」。2月19日、政治資金が会計責任者に横領されたことを突如記者会見を開いて打ち明けたのは、元航空幕僚長の田母神俊雄氏(66)である。政治部記者が解説する。「田母神氏は航空幕僚長時代の2008年に、『日中戦争は侵略戦争ではない』など政府見解と異なる主張を綴った論文を発表、更迭されて一躍有名になりました。その後は積極的に政治活動を続け、昨年2月の東京都知事選挙に出馬。落選したものの、61万票を獲得した。12月の衆院選にも次世代の党公認で出馬しましたが落選。次は来夏の参院選に意欲を示しています」。田母神氏は所謂『ネトウヨ』を含め、保守層から圧倒的な支持を受けている。事務所スタッフの話。「都知事選出馬にあたって、田母神氏は“東京を守り育てる都民の会”(注:昨年6月に“田母神としおの会”へと改称)という政治団体を設立し、1億2000万円もの寄付金が集まりました。さらに都知事選後、衆院選までの期間に約2000万円、合計で1億4000万円もの政治資金が集まったんです」
実は、冒頭の会見には伏線があった。2月上旬、本誌は「田母神氏の政治資金が使途不明になっている」との情報を得て取材に動いていた。だが、関係者に当たる中で田母神氏が本誌の動きを察知、慌てて会見を開き次のように語ったのだ。「都知事選が終わった段階で6000万円が残っておりましたが、衆院選が始まる頃には1000万円になっていました。衆院選が終わり、経費の支払いが滞っていたので会計責任者Aを追及したところ、『約3000万円から4000万円を生活費と遊興費に使った』と自白した。弁済できなければ刑事告訴せざるを得ません」。田母神氏は会見で「会計責任者1人の犯行」だとした上で、「(選挙での買収など)不正に使われたことはない」と断言した。だが、これは嘘だ。本誌は、田母神事務所の膨大な内部資料を入手した。そこには、Aに全てを擦り付けた会見内容を覆す、驚愕の事実が記されていた。
別の事務所スタッフが語る。「実は、政治資金の中から、都知事選を手伝った人への総額2000万円の買収資金が拠出されているのです。“田母神としおの会”事務局長の島本順光氏が主導して作成されたこの“買収リスト”には、各々の立場に見合った金額が記されています。また、リストの中には島本氏に200万円・Aに50万円との記載もあります」。島本氏は、田母神氏と同じく航空自衛隊の出身で、防衛大学校1期生で元参院議員の田村秀昭氏(故人)の秘書を長く務めていた人物。昨年12月には、『元航空自衛官が20年間国会議員秘書をやってみた』(ワニブックス)という著書も出している。「会計責任者Aは島本氏の言いなりだった」というのが事務所関係者の共通見解だ。悪質な買収劇の“黒幕”も、この島本氏だと言われている。
買収リスト上、最も多額の400万円の拠出先は“水島本部長”とある。動画配信サイト『チャンネル桜』代表取締役の水島総氏のことだ。水島氏は、都知事選で田母神陣営の選挙対策本部長を務めていた。水島氏が証言する。「3月初旬に都知事選の報告パーティーをやったのですが、その直後に島本氏とAが私を訪ねてきた。そして島本氏が、『社長には本当によくやっていただきました。色んな形でお金をお使いになっているでしょうし、こういう形で(金を)配りたいと思います』と、リストみたいなものを見せられました。私は、『何言っているんだ。こんなことをしたら皆、買収で逮捕される。受け取らない!』と2人を怒鳴りつけたんです」。買収リストに名のある他の人々も直撃した。その中の1人であるS氏は「お金を貰った」と認め、こう明かす。「選挙が始まる前から、島本さんに『お支払いするから』と言われていた。選挙後、島本さんから『お渡しの準備ができたので来てください』と田母神事務所に呼ばれたのです。その場で領収書を書いて判子を押し、30万円ほどを現金で受け取りました」。本誌はこれ以外にも、島本氏から「お金を受け取った」「持ち掛けられたが断った」という多くの人々の証言を得た。さらに、島本氏が冒頭の会見以降、現金を渡した人たちに「誰にも言わないでくれ」と口止めの電話をかけていることも確認している。“犯意”の動かぬ証拠である。公職選挙法に詳しい神戸学院大学法科大学院の上脇博之教授はこう指摘する。「買収罪に該当します。候補者本人が買収を指示していた場合は、公民権が10年間停止となります。(田母神氏が)指示をしていない場合でも、選挙の総括主宰者や出納責任者が買収を行っていれば、連座制が適用され候補者の当選は無効。当選していなくても、その選挙区では5年間立候補禁止となります。また、相手がお金を受け取らなくても“申込罪”になりますので、400万円の受け取りを断った水島さんのケースでも犯罪に該当する」。田母神氏は、何を根拠に「(買収などの)不正はない」と言い切ったのか。
“閣下 14000000”と記された内部資料
疑惑はこれだけではない。「政治資金を私的に流用していたのはAだけではありません。島本氏は周囲に『最近、ベンツを購入したんだ』と自慢していましたが、出所は何なのか。また、内部資料には“閣下 14000000”という記載がありますが、それは田母神氏個人に渡った金額です。田母神氏は、離婚裁判中で別居している妻と娘に毎月27万円を送金しているのですが、『半分は政治資金から出しているんだ』と漏らしていました」(前出・事務所スタッフ)。Aに取材を申し込んだが、メールで「会計処理の秘匿性のため別の場所で作業してますのでご配慮ください」と返信があったきり、連絡が取れなくなった。島本氏にも電話をかけたが、「私は知らない。あなたには答えたくありません」などと捲し立てて、一方的に電話を切った。田母神氏を直撃した。
2015年3月5日号掲載
実は、冒頭の会見には伏線があった。2月上旬、本誌は「田母神氏の政治資金が使途不明になっている」との情報を得て取材に動いていた。だが、関係者に当たる中で田母神氏が本誌の動きを察知、慌てて会見を開き次のように語ったのだ。「都知事選が終わった段階で6000万円が残っておりましたが、衆院選が始まる頃には1000万円になっていました。衆院選が終わり、経費の支払いが滞っていたので会計責任者Aを追及したところ、『約3000万円から4000万円を生活費と遊興費に使った』と自白した。弁済できなければ刑事告訴せざるを得ません」。田母神氏は会見で「会計責任者1人の犯行」だとした上で、「(選挙での買収など)不正に使われたことはない」と断言した。だが、これは嘘だ。本誌は、田母神事務所の膨大な内部資料を入手した。そこには、Aに全てを擦り付けた会見内容を覆す、驚愕の事実が記されていた。
別の事務所スタッフが語る。「実は、政治資金の中から、都知事選を手伝った人への総額2000万円の買収資金が拠出されているのです。“田母神としおの会”事務局長の島本順光氏が主導して作成されたこの“買収リスト”には、各々の立場に見合った金額が記されています。また、リストの中には島本氏に200万円・Aに50万円との記載もあります」。島本氏は、田母神氏と同じく航空自衛隊の出身で、防衛大学校1期生で元参院議員の田村秀昭氏(故人)の秘書を長く務めていた人物。昨年12月には、『元航空自衛官が20年間国会議員秘書をやってみた』(ワニブックス)という著書も出している。「会計責任者Aは島本氏の言いなりだった」というのが事務所関係者の共通見解だ。悪質な買収劇の“黒幕”も、この島本氏だと言われている。
買収リスト上、最も多額の400万円の拠出先は“水島本部長”とある。動画配信サイト『チャンネル桜』代表取締役の水島総氏のことだ。水島氏は、都知事選で田母神陣営の選挙対策本部長を務めていた。水島氏が証言する。「3月初旬に都知事選の報告パーティーをやったのですが、その直後に島本氏とAが私を訪ねてきた。そして島本氏が、『社長には本当によくやっていただきました。色んな形でお金をお使いになっているでしょうし、こういう形で(金を)配りたいと思います』と、リストみたいなものを見せられました。私は、『何言っているんだ。こんなことをしたら皆、買収で逮捕される。受け取らない!』と2人を怒鳴りつけたんです」。買収リストに名のある他の人々も直撃した。その中の1人であるS氏は「お金を貰った」と認め、こう明かす。「選挙が始まる前から、島本さんに『お支払いするから』と言われていた。選挙後、島本さんから『お渡しの準備ができたので来てください』と田母神事務所に呼ばれたのです。その場で領収書を書いて判子を押し、30万円ほどを現金で受け取りました」。本誌はこれ以外にも、島本氏から「お金を受け取った」「持ち掛けられたが断った」という多くの人々の証言を得た。さらに、島本氏が冒頭の会見以降、現金を渡した人たちに「誰にも言わないでくれ」と口止めの電話をかけていることも確認している。“犯意”の動かぬ証拠である。公職選挙法に詳しい神戸学院大学法科大学院の上脇博之教授はこう指摘する。「買収罪に該当します。候補者本人が買収を指示していた場合は、公民権が10年間停止となります。(田母神氏が)指示をしていない場合でも、選挙の総括主宰者や出納責任者が買収を行っていれば、連座制が適用され候補者の当選は無効。当選していなくても、その選挙区では5年間立候補禁止となります。また、相手がお金を受け取らなくても“申込罪”になりますので、400万円の受け取りを断った水島さんのケースでも犯罪に該当する」。田母神氏は、何を根拠に「(買収などの)不正はない」と言い切ったのか。
“閣下 14000000”と記された内部資料
疑惑はこれだけではない。「政治資金を私的に流用していたのはAだけではありません。島本氏は周囲に『最近、ベンツを購入したんだ』と自慢していましたが、出所は何なのか。また、内部資料には“閣下 14000000”という記載がありますが、それは田母神氏個人に渡った金額です。田母神氏は、離婚裁判中で別居している妻と娘に毎月27万円を送金しているのですが、『半分は政治資金から出しているんだ』と漏らしていました」(前出・事務所スタッフ)。Aに取材を申し込んだが、メールで「会計処理の秘匿性のため別の場所で作業してますのでご配慮ください」と返信があったきり、連絡が取れなくなった。島本氏にも電話をかけたが、「私は知らない。あなたには答えたくありません」などと捲し立てて、一方的に電話を切った。田母神氏を直撃した。
そして、「お金がいっぱいあれば田母神新党を作りたいなと思っている」と悠長に今後の展望まで語った田母神氏だったが、既に外堀は埋まりつつある。警視庁が内偵に動いているのだ。さらに別の事務所スタッフが明かす。「2月初旬、田母神氏本人に銀行の担当者から、『警視庁から(田母神としおの会の)口座の照会がありました』と報告があったのです」。田母神新党が日の目を見る日は、おそらく永久にやってこないだろう。――都知事選の際の買収リストを入手しています。
「俺はそんなことわかんない。でもマズイだろ、そりゃ。だって、選挙の買収になんじゃないの? 俺は知らない、本当に。俺は島本もAも全然信用してないし、この件の調査が終わったら2人ともクビだよ」
――先生も政治資金を私的に使っていたという証言がありますが。
「俺は全く使ってない! 全く綺麗ですよ。俺は今でも稼ぎは十分あるし、政治資金よりは俺が持っている金のほうが多いんだよ」
2015年3月5日号掲載
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