――春と夏に行われる高校野球の全国大会。どちらも大阪局が中心となって中継されるそうですね。
中西:大阪局では1年を通してスポーツ中継の仕事が多いですね。12月に京都で行われる全国高等学校駅伝や1月の都道府県対抗女子駅伝。3月は、びわ湖毎日マラソン、大相撲春場所など競技・種目もさまざま。そんななか、毎年春と夏には高校野球全国大会を中継しています。
太田:中継の数が多いので分担して担当します。特に高校野球は長丁場ですから、期間中はラジオとテレビ各2チーム交代制なんですよ。
中西:音作りをするミキサーとサブ(サポート担当)の2人で1チーム。1日4試合だとすると、第1と3試合をAチーム、第2と4試合をBチームが担当するといった具合です。春は大相撲と重なりますし、夏はお盆をはさむため、大阪局だけでは人手が足りず、全国の放送局から中継応援に来てもらっています。今は音声スタッフの半分くらいがほかの局からの応援者ですね。
池田:「中継応援に行きたい!」と手を挙げる人も多いと聞きます。やはり春、夏ともに人気の高い仕事だと思いますよ。
中西:20年以上、甲子園からの高校野球中継を経験してきましたが、今思うと人気や注目度によって、中継応援スタッフが集まりづらかったり、逆に希望者が多かったりと波はありましたね。ただ、大阪局の技術部でプロジェクトを組んで臨む仕事なので、ステータスは高い仕事かなと思います。僕たち音声スタッフとしては、自分たちのミックスした音が朝から晩まで全国津々浦々に流れるというのも、やりがいに結びつきますしね。
中西:大阪局では1年を通してスポーツ中継の仕事が多いですね。12月に京都で行われる全国高等学校駅伝や1月の都道府県対抗女子駅伝。3月は、びわ湖毎日マラソン、大相撲春場所など競技・種目もさまざま。そんななか、毎年春と夏には高校野球全国大会を中継しています。
太田:中継の数が多いので分担して担当します。特に高校野球は長丁場ですから、期間中はラジオとテレビ各2チーム交代制なんですよ。
中西:音作りをするミキサーとサブ(サポート担当)の2人で1チーム。1日4試合だとすると、第1と3試合をAチーム、第2と4試合をBチームが担当するといった具合です。春は大相撲と重なりますし、夏はお盆をはさむため、大阪局だけでは人手が足りず、全国の放送局から中継応援に来てもらっています。今は音声スタッフの半分くらいがほかの局からの応援者ですね。
池田:「中継応援に行きたい!」と手を挙げる人も多いと聞きます。やはり春、夏ともに人気の高い仕事だと思いますよ。
中西:20年以上、甲子園からの高校野球中継を経験してきましたが、今思うと人気や注目度によって、中継応援スタッフが集まりづらかったり、逆に希望者が多かったりと波はありましたね。ただ、大阪局の技術部でプロジェクトを組んで臨む仕事なので、ステータスは高い仕事かなと思います。僕たち音声スタッフとしては、自分たちのミックスした音が朝から晩まで全国津々浦々に流れるというのも、やりがいに結びつきますしね。
――ミックスのお話が出ましたが、甲子園には何本のマイクがあるのですか?
池田:今は70本ほどです。かつてステレオ放送の時代があり、今では5.1chサラウンドに対応していますから、マイクの本数もその都度、変化しています。
太田:音作りをするミックス卓の場所も変わりました。昔はバックネット裏のブースで作業していたのですが、今は中継用に建てたプレハブに音声の部屋があるんですよ。
池田:マイクの性能もかなり進化しています。今まではマイクの性能上お伝えするのが難しかった音も、拾えるようになってきているんです。例えば、ファーストベースにヘッドスライディングしてアウトになった選手の悔しがっている様子や、ベンチの選手が上げる声などがそうですね。ですから、マイクの特徴をうまく活かせるようにポジションや向きを変えるなど、常に試行錯誤を続けています。
太田:いつの時代もさまざまな工夫を凝らしていますね。テレビもラジオも視聴者のみなさまにナチュラルに聞こえるのが一番ですから。
中西:ミキサーの仕事でいうと、マイク1本につきフェーダーというつまみが1つ割り当てられており、それを上げ下げすることで、音量や音質を調節していきます。アルプス席にいるハンディカメラの映像が映ると、自動的にカメラに付けているマイクが生きるように仕掛けてあるのですが、楽器の音が突然大音量で流れることもあるので、驚かないようにあらかじめレベルを下げておいたりもするんです。そんな風に、この画にはこういう音作りと、ある程度パターンはありますね。
太田:テレビの場合はサブの人が、映像をセレクトするスイッチャ―の声をインカムを通して聞き、次にどんな画が来るかミキサーに伝えたりもするんですよ。
中西:ラジオの場合は聞き取りやすい音作りを目指せばいいのですが、テレビの場合はどうしても画面にマッチした音が求められますからね。スイッチャ―やディレクターが試合展開にあわせてどんな画づくりをするのかを、予測しながら、構えておくことが必要になりますね。
池田:画に合った聞き取りやすい音作りは基本ですが、やはり担当者によって音に個性が出ますよね。
太田:僕がミキサーをやると、SE(球場内の音)薄々のコメントガッツリとよく言われます(苦笑)。アナウンサーや解説者が話すコメントの音が大きめになりがちなんです。
中西:僕は逆にコメントが聞こえづらいと先輩から言われていました。当時若かった僕にはきちんと聞こえていたのですが、年配の方には聞きとり辛かったようです。年代によって音も若干聞こえ方が違うんですね。先輩の年齢に近づいた今になって「なるほど」と思います。
池田:自分では聞こえているけれど、他人には聞こえづらいということが多々あるんです。そうした点に気を付けることはもちろんですが、僕はアナウンサーの特徴がうまく出るといいなと思っています。よくしゃべる人はコメントをきっちりと、そうでない人の時にはSEのバランスを上げて球場の雰囲気をしっかり伝えたいですね。
池田:今は70本ほどです。かつてステレオ放送の時代があり、今では5.1chサラウンドに対応していますから、マイクの本数もその都度、変化しています。
太田:音作りをするミックス卓の場所も変わりました。昔はバックネット裏のブースで作業していたのですが、今は中継用に建てたプレハブに音声の部屋があるんですよ。
池田:マイクの性能もかなり進化しています。今まではマイクの性能上お伝えするのが難しかった音も、拾えるようになってきているんです。例えば、ファーストベースにヘッドスライディングしてアウトになった選手の悔しがっている様子や、ベンチの選手が上げる声などがそうですね。ですから、マイクの特徴をうまく活かせるようにポジションや向きを変えるなど、常に試行錯誤を続けています。
太田:いつの時代もさまざまな工夫を凝らしていますね。テレビもラジオも視聴者のみなさまにナチュラルに聞こえるのが一番ですから。
中西:ミキサーの仕事でいうと、マイク1本につきフェーダーというつまみが1つ割り当てられており、それを上げ下げすることで、音量や音質を調節していきます。アルプス席にいるハンディカメラの映像が映ると、自動的にカメラに付けているマイクが生きるように仕掛けてあるのですが、楽器の音が突然大音量で流れることもあるので、驚かないようにあらかじめレベルを下げておいたりもするんです。そんな風に、この画にはこういう音作りと、ある程度パターンはありますね。
太田:テレビの場合はサブの人が、映像をセレクトするスイッチャ―の声をインカムを通して聞き、次にどんな画が来るかミキサーに伝えたりもするんですよ。
中西:ラジオの場合は聞き取りやすい音作りを目指せばいいのですが、テレビの場合はどうしても画面にマッチした音が求められますからね。スイッチャ―やディレクターが試合展開にあわせてどんな画づくりをするのかを、予測しながら、構えておくことが必要になりますね。
池田:画に合った聞き取りやすい音作りは基本ですが、やはり担当者によって音に個性が出ますよね。
太田:僕がミキサーをやると、SE(球場内の音)薄々のコメントガッツリとよく言われます(苦笑)。アナウンサーや解説者が話すコメントの音が大きめになりがちなんです。
中西:僕は逆にコメントが聞こえづらいと先輩から言われていました。当時若かった僕にはきちんと聞こえていたのですが、年配の方には聞きとり辛かったようです。年代によって音も若干聞こえ方が違うんですね。先輩の年齢に近づいた今になって「なるほど」と思います。
池田:自分では聞こえているけれど、他人には聞こえづらいということが多々あるんです。そうした点に気を付けることはもちろんですが、僕はアナウンサーの特徴がうまく出るといいなと思っています。よくしゃべる人はコメントをきっちりと、そうでない人の時にはSEのバランスを上げて球場の雰囲気をしっかり伝えたいですね。