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タイ 象牙2トン3億円相当を粉砕処分
8月26日 19時50分

タイ 象牙2トン3億円相当を粉砕処分
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象牙の違法取引の中継地となっているタイで、タイ政府は空港などで押収された重さ2トン、およそ3億円相当の象牙を処分する様子をメディアに公開し、違法取引を許さない決意を示しました。
タイは、経済成長に伴って象牙の需要が高まっている中国などにアフリカなどから象牙を密輸する中継地になっているとして、国際的な批判を受けてきました。
このためタイ政府は、ことしだけで5トンもの象牙を空港などで押収し、さらに26日、これまでに押収した象牙のうち捜査が終了したものを処分する式典を行い、その模様をメディアに公開しました。
式では出席者と僧侶が密猟者に殺された象たちに祈りをささげたあと、プラユット暫定首相が「われわれはタイの国の動物でもある象を守らなければならない」と述べ、象牙の違法取引を許さない決意を示しました。
このあと、首相みずから機械のスイッチを入れて、重さ2トン余り、日本円にしておよそ3億4000万円相当の象牙を粉々にし、粉砕された象牙は別の場所で焼却処分されるということです。
タイ政府はことし象牙に関する法律を制定し、象牙を使ったあらゆる商品の所有者に当局への登録を義務づけ、所有できる数を制限するなど、違法取引を閉め出す対策に乗り出しています。

今回の象牙の処理に協力しているWWF=世界自然保護基金のタイの担当者は、「タイはその地理的な条件から、象牙の市場であると同時に中継地となってきました。今回の粉砕処理は、タイが象牙の違法取引を取り締まる国際的な努力に積極的な役割を果たすことを示すもので、タイにとってだけでなく、国際社会にとって歴史的な出来事です」と評価していました。
また「象牙の需要が高い中国を初めとするアジアの国々の市民は、アフリカで多くの象を殺すことによって象牙が市場に出回っていることをまだ理解していません。きょう処分された2トンの象牙は、少なくとも200頭の象の命を奪ったということを分かってほしい」と訴えていました。

象牙目的の密猟 後絶たず

装飾品などとして古くから珍重されてきた象牙は、現在では、ワシントン条約で原則、国際取引が禁止されています。
しかし、アフリカでは、高額で売買される象牙を目的とした密猟が後を絶たず、ソマリアを拠点とするイスラム過激派組織「アッシャバーブ」などが、貧しい住民に武器を渡して密猟をさせ資金源にしていることも明らかになっています。
アフリカでは、ゾウが生息する保護区で密猟のパトロールが行われているほか、密輸先であるアジアの各国政府も協力して、密輸品の押収や犯罪者の処分などに取り組んでいますが、対策は追いついていないのが現状です。先月もスイスの空港で、北京に向かっていた中国人3人のスーツケースから象牙262キロが見つかり、当局が押収しました。

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