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 太平洋戦争末期に高槻市に掘られた巨大地下壕(ちかごう)群「高槻地下倉庫」(通称タチソ)の老朽化が進み、保存が危ぶまれている。地元の保存会は「戦争の教訓を後世に残したい」と、約1年かけて約40ある地下壕のうち15カ所を回り、壕内や周辺の写真を撮影。15日に写真集を出版した。

 高槻市史によると、サイパン島が陥落した1944年夏以降、米軍の本土攻撃に備え、全国各地に地下施設の建設が進められた。タチソはそのうちの一つで、政府が同年11月に着工。地元住民や学徒動員の学生、朝鮮人らが工事に携わったとされる。45年2月に軍需工場として使用されることが決定したが、未完成のまま敗戦を迎えたという。

 地下壕は高槻市北部の成合地区の山中に散在する。保存活動に取り組む「高槻『タチソ』戦跡保存の会」(宇津木秀甫代表)によると、近年、大雨による倒木で入り口がふさがれたり、内部に水がたまったり、地面の陥没で一部が埋まったりして、見学がしにくくなってきている。

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