Haskell 脳の恐怖

昨年、ある言語宗教学者にして脳生理学者が、急進的 Haskell教信者の呪術に没頭している時の脳波を計測した。すると「人間らしさ」を司る前頭前野において、α波が優位になりβ波が低下したという。

α 波はリラックスしている時に見られる脳波と言われる。「たくさんの関数をコンビネータ化しようとして,flip と (.) の洪水が、あるいは,対話は不浄な副作用とされるがゆえ,子供が棒切れでウン○をつつくように (>>=) したり (>>) ばかりをする行為が,脳に影響をあたえているのではないか」と研究を行ったエヌ博士は述べている。

エヌ博士はインタビューでさらに衝撃的な事実を明らかにした。「この波形は Lisp脳症の患者のものとよく似ている」というのだ。「Haskellはあまり一般には知られていませんが,専門家の間では「関数型言語」教のなかでも,狂信的な原理主義者がいる危険な一派として知られています。この一派は現実的な 路線をとる ML 派とは違い,ひたすら「南無参照透明性」を唱え,一度決めた値を頑なに変更しようしない一派です.その頑なさ故に,外部との対話をタブー視してきました.彼らは,ML派の妥協を心良くおもわず,ましてや,無節操放埒な Lisp 派の行為は,唯一絶対神 λ への許し難い裏切り見えているのです. Haskell派は現世のデータを不浄なものとし,関数のみを扱うことを求めるため,現実世界のデータを仮引数としてバーチャルな存在としてしか見れなくなっているのです.」

エヌ博士は続けた。「考えることを止め,現実世界とのつながりを断ち切った Haskell派信者は、やがてプログラムがフォン・ノイマン型コンピュータのためのチューリング機械の動作指示書であることを忘れしまいます.彼らにとってプログラムは問題の解決計画とその手順書ではないのです.世界の記述なのです.このことが,自分は世界のすべてを知っているので,手順などという繁雑なものを考えることはないとの幻想をあおり,他の言語派の実行効率や空間効率改善の努力を,「貧乏くさい」と馬鹿にしはじめるのです.なかには,そのような言語は不浄なものと看倣しはじめるものもいます.さらにエスカレートして,一絶対神 λ を神聖視するあまり,プログラムの記述から λ さえも消しさること(ポイントフリースタイル)に走ってしまうのです.

ポイントフリースタイルは麻薬であり,現世データの影がわずかに残っていた仮引数までも捨て完全に現世から遊離した幻覚の世界に溺れてしまうのです.」博士はそのようなプログラマの脳は「Haskell脳」になっているのだと言うのです.これは 「Lisp 脳」より遥かに危険な状態だと...「「Lisp脳」患者の場合,超人的スピードでプログラムを書いて廻りのプログラマからの妬みややっかみを買うのだが,「Haskell脳」の症状としては,「手順のない,もはやプログラムとは言えない数式もどきを書く」「説明をもとめると,λ だの,モナドだの,宗教用語で胡麻化す」「5倍は遅いというと「オーダの変らない最適化になんの意味があるのか」と逆ぎれする」「計画して,順番どおり処理をこなすことができない」「前もって処理しておくことができない」などがあるので,まわりのプログラマにも,上司にも理解されないのです.」

一部の大学では,プログラミング理論の講義で Haskell を教えることもある. そのことにインタヴュアが触れると博士は激昂した.「プログラマとしての能力を殺してしまう教育です.Haskell など覚えると,構造化プログラムの基本三要素「直列」「分岐」「繰り返し」さえ理解できなくなります.それに,この言語の黒幕は,世界のソフトウェア界を牛耳るマイクロシャフト社の研究所で日夜呪術をおこなっているというではありませんか.影響はプログラマとしての能力だけではなく,人間としての...これ以上口にはできません。」

また最近の研究では、Haskell プログラマの能力と、外部との対話を嫌う,ひきこもりの症状に関連が見られるという。「Haskellでひきこもりになるんです」エヌ博士はこう断言する。「世界を自由自在に記述できるという全能感に溺れ、自分の殻の中に閉じこもるのです。」

博士はこっそり耳うちしてくれた.「典型的なHaskellプログラマが唯一絶対神としてあがめるもののすがたです」

¥ λ

「円マークが見えた人はまだ影響を受けていません。しかし,油断は禁物です. その後ろに見えた「トボトボ足を引きずるような者の名前を決っして口にしてはなりません...」