地球観測衛星:「だいち2号」後継機開発へ…文科省方針

毎日新聞 2015年08月26日 10時43分(最終更新 08月26日 14時19分)

自然災害の観測などに活用されている「だいち2号」のイメージ図=JAXA提供
自然災害の観測などに活用されている「だいち2号」のイメージ図=JAXA提供

 文部科学省は来年度から、宇宙航空研究開発機構(JAXA)で新たな地球観測衛星の開発を始める方針を決めた。宇宙から高性能レーダーで災害状況などを調べる「だいち2号」の後継機に当たり、機能の向上で一度に観測できる幅を倍以上にして広域災害に対応できるようにする。2016年度予算の概算要求に設計費など約14億円を盛り込む。

 だいち2号は昨年5月に打ち上げられ、約630キロ上空で地球を周回している。雨雲や樹木を突き抜ける「Lバンド」と呼ばれる波長の長い電波を一定の幅に当て、その反射から地上の様子を読み取る。昼夜や天候を問わず観測が可能で、口永良部(くちのえらぶ)島(鹿児島県)や箱根山(神奈川県)の火山活動では、データの解析から数センチ単位の地殻変動が確認できた。

 今回開発される衛星は、高解像度で一度に観測できる幅を、だいち2号の観測幅(50キロ)の倍以上の100〜150キロにする。解像度を最も高くすると3メートルの物体が判別でき、建物1棟ごとの倒壊や浸水の状況などを広域かつ短時間で把握しやすくなる。

 だいち2号が7年間の耐用年数を迎える20年度に打ち上げ予定。地図の作製や海洋監視にも活用できるという。【斎藤広子】

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