ホーム > マレーグマのメス「ウッチ―」の死亡原因と経緯について
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平成27年7月25日(土)、マレーグマのメス(ウッチー)が死亡いたしました。
この死因と原因、経緯等についてご報告いたします。
<経緯>
1 死亡について
7月25日(土)朝、飼育員が屋内展示場に出そうとしたところ、マレーグマ(ウッチー)がバックヤードの個室にて死亡しているのを確認しました。
2 円山動物園における飼育個体について
ウメキチ(オス) 2009年10月11日生、5歳
ウッチー(メス) 1985年以前生まれ、推定30歳以上 (今回の死亡個体)
ハッピイ(メス) 2006年10月3日生まれ、8歳
3 死因・原因について
死因:腸管ヘルニア(7月24日発生(推定))
解剖の結果、右わき腹の肋骨(第12~15番目)が骨折しており、直接の死因は「折れた骨折部断端の胸膜・横隔膜への穿孔による、腸管の胸部への脱出(ヘルニア)」であることが分かりました。
骨折については、骨折部周囲の出血が少ないことから、ここ数日の間に折れたものではありませんでしたが、ヘルニアについては、24日に発生したものと推定されます。
骨折については、過去のクマ同士の闘争によって生じた可能性もありますが、高い所から落下したことによることも否定できませんでした。
ヘルニアについては、24日のクマ同士の闘争によって生じた可能性があります。
4 同居および闘争の経過について
ウメキチの性成熟に伴い繁殖を進めるため、今年度よりウメキチとメスたちの同居を進めることとしました。
同居にあたっては、最終的には3頭を同居させ、お互いに慣れることにより、ウメキチがメスたちに対して落ち着いた行動がとれることが望ましいと考えました。
下記のとおり、マレーグマ3頭について、これまで複数回同居訓練を行っていたところですが、同居に慣れていないため闘争も確認していたところです。それに伴い、ウッチーもウメキチから外傷を受け、前日までに右眼下の裂傷、擦過傷および右後肢の咬傷等を確認しており、消炎剤、抗生剤の投与を行っておりました。
なお、同居に当たっては職員が観察をしながら進めておりました。
5 今後について
残されたウメキチとハッピイのペアリングは、しっかりと時間をかけて進めるなどし、慎重な繁殖と種の保存に努めてまいります。
ウッチーをこのような形で失う結果となり、皆様には深くお詫びいたします。設置しました献花台には、連日たくさんのお客様からお花などをいただき、心よりお礼申し上げます。
【同居の経過】
6/16 | 3頭同居を実施(40分間)。前半30分はじゃれていたが、その後、ウメキチがハッピイから咬まれ逃げたため、同居中止。なお、扉を開放し屋内・屋外共に出入り自由にしていた。 |
6/19,20,21,22, 23,26,27,28, 7/3,4,5 | ウメキチとメスいずれかとの「2頭同居」を実施(約1時間)。 うち、ウメキチとウッチーの同居は6月20日、26日。6月20日は同居時間中に数分間闘争があり、26日は同居時間中の前半に数分間闘争があったが、後半はなかった。両日を除く日は、ウメキチとハッピイとの同居を実施。 |
7/6 | 3頭同居を実施(約1時間)。ウメキチとウッチーが闘争、その後ウメキチとハッピイとが闘争しそうになりウメキチが逃げた。なお、扉を開放し屋内・屋外共に出入り自由にしていた。 |
7/11,12,13,14, 17,18,20,21 | ウメキチとハッピイを同居 |
7/24 | 3頭同居を実施(約1時間)。ウメキチはウッチーと闘争(約20分間)。なお、扉を開放し屋内・屋外共に出入り自由にしていた。 |
7/25 | 朝、ウッチーの死亡確認 |
【マレーグマについて】
東南アジアの熱帯雨林に生息し、クマの仲間の中で最も小さい種類で、大きいものでも背の高さが1.5m程しかなく、体重も重いもので70kg程度しかない。全身の毛がとても短く、前足の爪がカギ状に曲がっていて木登りに便利な体をしている。主食は果実などで、爪を使ってアリ塚や蜂の巣を壊してシロアリやハチミツも食べる。生息環境の悪化で数が減っており、IUCN国際自然保護連合のレッドリストで絶滅危惧種に該当している。
国内飼育数:オス14頭、メス14頭
飼育園;13園(2014年12月末現在)
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