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 ネット通販の最大手「アマゾン」のシアトル本社内部を描いたニューヨーク・タイムズ紙(NYT)の記事が、米国で大きな反響を呼んでいる。

 記事が掲載されたのは8月16日の日曜日だった。1面から始まり、中に続く見開きの大型記事で、アマゾンの現役、過去の従業員たち100人以上に取材して報じたものだ。

 社員に厳しい秘密保持を課しているため、アマゾン社内の様子が伝わってくることはこれまでほとんどなかった。浮かび上がってきたのは、「猛烈社員」を求める会社の姿だ。

 NYTの取材に実名・匿名で応じた元社員たちの話はこんな具合だ。

 「夜中に上司のメールが来て、返信しないと、なぜ返事がないのかと言われる」「会議室から泣きながら出てくる人がいた」「アマゾンに勤めていた婚約者の彼女を、夜10時過ぎに会社に迎えに行き、出てくるまで待っていた」。「休みの日にまで仕事のメールに追われた」「上司に同僚についての告げ口をするよう言われている」「ガンを患ったり流産をしたりした社員、親の介護をしながら働いていた社員の評価が下げられた」などなど。「何より仕事を優先する社員しか生き残れない」会社の様子が生々しく描かれている。

 記事が本当なら、確かにひどい。ひどいのだが……。似たような話は日本企業でよく耳にする話ではないだろうか。夜中まで会社で仕事をしたり、家に帰ってからも会社のメールに追われたり、休みの日にも仕事に追われたり。病気や介護、子育てなどによって望まない部署に異動させられたり、評価を下げられたりという話も、残念ながら日本企業ではよく聞く話だ。

 驚いたのは、この記事の内容が、米国人にとって衝撃的だったことのほうだ。

 NYTによると、記事が出て3日ほどで6600件以上のコメントが寄せられ、数日にわたって最も読まれ、最も多くの人にメールされた記事だった。