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 世界的な株安連鎖で25日、東京株式市場の終値は前日より733円98銭安い1万7806円70銭となった。中国市場も大幅下落したため、混乱への対策として中国人民銀行がさらなる緩和策を打ち出した。これを受けた欧米市場は、株価が上昇に転じた。株安の連鎖は、いったん食い止められている。

 この日、終値が半年ぶりに1万8000円を割った東京市場は、高値と安値が1千円超の差となる荒っぽい値動きを見せた。

 前日の欧米市場が大幅安だった流れで売り一色で始まり、一時は前日比793円の下落となった。ところが、中国を除くアジア市場は堅調で、安全資産とされる円を買う動きが弱まり、為替は午前11時前に1ドル=119円台後半まで円安が進んだ。投資家に株価の底打ち期待が広がり、午前はこの日の底値から1千円ほど上げて取引を終えた。

 午後になると中国株が下げ幅を広げた。再び投資家心理が悪化し、日本株は短期的な利益を狙うヘッジファンドらに売り込まれた。東証1部の売買代金は4兆9240億円で、今年最大だった。終値は6営業日続けて下げ、下落幅は2800円に達した。

 中国では、上海総合株価指数が前日から7・63%下落し、2964・97ポイントという今年の最安値で取引を終えた。4営業日で22%値下がりし、中国版ツイッター「微博」には「この惨状でも証券当局は動かないのか」と政府に批判的な書き込みが目立った。

 そこで、市場が閉じた後に中国当局が動いた。新たな追加緩和策は、26日から預金・貸し出しの基準金利(1年物の預金金利で2%、貸出金利で4・85%)を0・25%幅下げ、金融機関から強制的にお金を預かる際の預金準備率(大手銀行で18・5%)も9月6日から0・5%幅引き下げる内容だ。

 こうした対応も好感し、その後も取引が進んだ25日の欧州市場は、軒並み株価が上昇に転じた。ドイツとフランスの終値は、前日より4~5%ほど上がった。英国も、同3%ほど上昇した。25日に発表されたドイツの景況感指数が市場予想に反して改善したことなども材料視された。

 米国でも、ニューヨーク株式市場は正午(日本時間26日午前1時)現在、大企業で構成するダウ工業株平均が前日終値より300ドル超値上がりしている。

 中国当局は、7月以降に利下げや人民元の切り下げなどの対策を繰り返しているが、すぐに株安が再燃する状況が続いている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏は「中国の景気減速懸念から、投資マネーの逆流が世界的に起きている。株式市場は、しばらく荒い値動きが続く」とみる。(山下龍一、広東省東莞=斎藤徳彦)