なぜ幼稚な政治家ばかりが増殖するのか 〜大人になれない国ニッポン東アジアの「トホホ」な国々(3)日本編

2015年08月25日(火) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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〈「基本的人権の尊重」について。私はこれが日本精神を破壊した「主犯」だと考えているが、この「基本的人権」は、戦前は制限されて当たり前だと考えられていた〉〈国家や地域を守るためには基本的人権は、例え「生存権」であっても制限されるものだというのがいわば「常識」であった〉

簡単に言えば、彼は、

「皆が自由に暮らす世の中はもうやめにしよう。戦前のように、国の命令ひとつでいつでも命を捨てる。それが日本人のあるべき姿だ」

と考えているのだ。

こうした信念をもつ政治家は、武藤氏だけではない。西田昌司参議院議員や片山さつき参議院議員らも、「国民に主権があることがおかしい」「天賦人権論をとるのは止めよう」などと主張し、物議を醸している。

前出の小林氏が言う。

「以前から、自民党の一部では『今の憲法こそ、日本人をダメにした元凶だ。明治憲法に戻さなければならない』という声が根強くありました。これまではメジャーな意見ではなかったのですが、第二次安倍政権以降は、主流になりつつあります。

明治から続くエスタブリッシュメントの人々にとっては、今の憲法はアメリカに負けた屈辱の象徴です。そして安倍総理をはじめ、彼らの子孫が世襲で議員になっている。『われわれこそが支配階級である』と考えている世襲組に、菅義偉官房長官のような叩き上げの議員が仲間に入れてもらおうとおもねる。それが今のこの国の政治です」

銀の匙をくわえて生まれてきた総理大臣が、「わが一族の春」を揺るぎないものにするため強権をふるう。周りには、そのおこぼれにあずかろうとする政治家が群がる——。

日本人は、中国や北朝鮮のことを「独裁体制」の「不自由な国」と言って笑う。しかしこうしてみると、日本も結局、大した違いはないのかもしれない。

民主党も「お子様」政党

しかし、なぜこんな政治家たちが、選挙のたびに当選してしまうのか。目下、最大の原因は「代わりが見当たらない」ということに尽きる。

民主党政権が成立し、政権交代に沸き返った日本人は、たった3年3ヵ月のうちに、絶望のどん底に突き落とされた。国民が全ての希望を託した民主党は、結局なにひとつ変えられないどころか、最低限の政権運営すら満足にできず、日本を後退させた。

しかも彼らは、自民党に政権を奪回されてからはや3年も経とうというのに、いまだに党の立て直しすらできない体たらくである。

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