岸田 中国は東シナ海のガス田開発だけでなく、南シナ海の埋め立ても進めていて、国際社会から強い懸念が示されている。一方的な現状変更の試みや、国際法に基づかない主張、行為は、決して国際社会から認められるものではない。
王 日本はわが国と南シナ海で領有権の争議がないのに、余計な口出しは止めてほしい。南シナ海は古来からわが国の固有の領海であり、内政干渉は止めるべきだ。
経済不安でまた「反日」
まさに、ああ言えばこう言うで、中国は馬耳東風——。
好むと好まざるとによらず、国際社会には「ルール」というものが存在する。だが中国のやり方は、「ルール」というのは、いつでも自分たちに都合のよいように変えて然るべきだという発想だ。そのため、世界第2の経済大国になっても、相変わらずの無法者ぶりが目立つ。
経済に関しては、30年以上続いてきた高度経済成長が、すっかり過去のものとなりつつある。だが習近平政権は、凋落する中国経済を、「新常態」(新しい正常な状態)と呼んで、国民の不安感を払拭しようと必死だ。
コラムニストの呂言之氏が語る。
「かつて温家宝首相が、『中国は1割のヨーロッパ(富裕層)と9割のアフリカ(貧困層)だ』と言っていましたが、その後、中間所得者層が急増し、彼らの消費が経済発展の牽引役になっていきました。ところが6月半ばからの株価暴落で、2億人の『股民』(個人株主)の大半を占めていた中間所得者層が、壊滅的打撃を受けた。
そのため中国は再び、少数の富める者と多数の貧しい者の『二極化時代』を迎えたのです。これは大変不穏な時代です」
中国の中間所得者層とは、まさに日本に「爆買いツアー」に来ている人々に他ならない。日本に来てせっかく「親日」になったにもかかわらず、彼らが今後「反日」になるリスクもあるという。呂氏が続ける。
「習近平政権に不満な富裕層は、次々に国外脱出を図っている。残る貧困層は、習近平政権が彼らの不満のガス抜きとして提供する抗日ドラマや反日キャンペーンで、反日に洗脳されつつあります。
さらに習近平政権は、8月の『安倍談話』と9月の安保法制制定を契機として、新たな反日キャンペーンを準備中で、これを『反日の新常態』と呼ぼうとしているのです」
自らの政権を誇舞するために反日、そして経済が停滞したらまた反日。
どこまでも、困った隣人である。
「週刊現代」2015年8月29日号より
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