勝手に海をどんどん埋め立てる 〜止まらない中国の「オレ様スタイル」東アジアの「トホホ」な国々(1)中国編

2015年08月25日(火) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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4月22日、インドネシアのジャカルタで開かれた日中首脳会談で、習近平主席は何と、安倍晋三首相に対しても直接、軍事パレードへの参加を呼びかけた。この時、同行していた日本外務省の関係者が述懐する。

「なぜ抗日戦勝利のパレードに日本国首相が行かねばならないのか、われわれは唖然としました。それで首脳会談後に、中国外交部の担当者にクレームをつけたのですが、『習主席の行動を止められるわけないだろう』と、逆ギレされました。

そもそも中国は、1989年に天安門広場で1000人以上もの若者を虐殺した天安門事件の総括すらしていません。そんな独裁国家が天安門広場で行う軍事パレードに、民主国家の指導者が行くこと自体、人類の普遍的価値である自由や民主への冒涜というものでしょう」

それでも日本政府は、中国のメンツを慮って、「招待状は現時点で届いていない」(7月13日の菅義偉官房長官の会見)などと答弁し、やんわりとかわしてきた。

国際法もお構いなし

だが、習近平主席はしつこかった。外務省関係者が続ける。

「7月16日に谷内正太郎国家安全保障局長を北京に呼んで、習近平主席側近の楊潔篪国務委員(前外相)が、5時間半にわたって説得してきたのです。

9月3日の軍事パレードへの参加がダメなら、その前日夕刻に人民大会堂で開くレセプションにだけでも安倍首相に来てほしいと言ってきた。お願いするくせに、靖国神社を参拝しない、戦後70年の安倍談話は村山談話を踏襲する、そして昨年11月に日中間で取り交わした『4つの合意』を遵守するという『3条件』を守ってほしいと求めてきたのです。

谷内局長は持ち帰って安倍首相に報告しましたが、首相官邸やわれわれは『習近平は一体何様のつもりなんだ』と呆れていました」

安倍首相の訪中が「望み薄」と判断した中国は、突然態度を翻す。8月5日、王毅外相が中国中央テレビ(CCTV)の記者に、安倍首相の訪中についてわざわざ質問させ、「予定されていないし、そもそもそんな話は聞いたこともない」と否定したのだった。

外交というのは、自国と他国との利害を慎重に擦り合わせていく作業である。ところが習近平外交は、「オレ様が好きにやるのだから周囲は言うことを聞け」という「皇帝スタイル」なのである。

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