朴槿恵大統領は昨年の年初に、「474ビジョン」を打ち出した。これは、大統領の任期が終盤となる2017年までに、GDPの成長率4%、雇用率7割、国民一人あたりの平均所得4万ドルを達成するという政権公約だ。
ところが、直近の今年第2四半期の韓国の経済成長率は、わずか0・3%に過ぎない。これで韓国は、5四半期連続の0%台の成長であり、4%の目標には、遠く及ばない。
また、若者の失業率は10・2%と、過去最悪の状況だ。いまは大学生は夏休みだが、レストランやコンビニさえ、不景気でアルバイトを募集していない。
平均所得4万ドルの目標に関しても、韓国の経済団体は「'17年に達成するなど到底不可能で、早くても2023年」との予測を出している。
中小企業は、倒産の嵐が吹き荒れ、今年上半期の倒産件数は、23%も増えた。韓国はまさに、不況の嵐が吹いているのである。
このような状況では、当然ながら国民のストレスは溜まる一方だ。現在、韓国では、財閥ランキング5位のロッテ財閥のお家騒動が話題になっているが、このお家騒動さえも、「反日」と結びついてしまった。
「まずロッテのオーナー一族は、辛という姓ですが、重光という日本の姓も持っていることが改めて取り沙汰され、韓国人は激怒しました。
また、お家騒動の『主人公』である創業者の二人の息子は、兵役を忌避するため40歳前後まで日本籍で、その後韓国籍に切り替えていたことが暴露され、国民の怒りは倍増。さらに長男がテレビ出演したところ、韓国語がまったくできず日本語で通したことで、国民は怒り心頭に発したのです。
いまではロッテは『親日企業』というレッテルを貼られ、韓国全土でロッテ製品の不買運動が起こっています。ロッテ財閥と不仲の朴槿恵政権も、この機運に乗じて反日攻勢を煽る可能性があります」(前出・金氏)
このように大統領から庶民まで、寝ても覚めても反日、反日……。日本人としては、もう辟易する他はない。
思えば日本と韓国は、戦後同じように復興の道を歩んだアジアの民主国家であり、同じアメリカの同盟国でもある。儒教文化であることも共通しているし、米を主食とすることも同様だ。
そんな両国の間で、過去に不幸な出来事があったことは間違いない。
しかし70年もの間、「言った」「言わない」、もしくは「謝った」「謝ってない」という押し問答を繰り返してきたのは、似た者同士ゆえの「近親憎悪」があるからではないか。しかもそこには、その憎悪を利用して対立を煽る人々もいるから、なおさらやっかいだ。
結果として、日韓は戦後70年を経ても、相変わらずいがみ合っている。もういい加減、何とかならないものか。
もちろん、日本も他国のことを言ってばかりはいられない。次章では日本の現状を見ていく。
「週刊現代」2015年8月29日号より
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