ラタキア=渡辺丘
2015年8月25日23時31分
内戦5年目に入ったシリア北西部の地中海沿いの都市ラタキアで今年、同国で初めてとなる本格的な葉巻工場が開業した。従業員の多くは内戦で家族を失うなどした女性。「本場キューバを超えたい」と張り切っている。
今月上旬、国営たばこ会社の工場の一角にある作業場を訪ねると、独特の強い香りが漂っていた。机に一列に並んだ女性が地元名産のたばこの葉を巻いていた。ロシアやアラブ首長国連邦、レバノンなどに輸出を始めている。
発案者は、内戦で息子を亡くした従業員イミティサール・ジャーフィさん(50)。ラタキアはたばこの葉の産地として有名で、国産のたばこ作りが盛んだ。ただ、より高級で輸出が見込める葉巻作りはそれまではなされていなかった。ジャーフィさんは「地元の名産品を使った商品を開発し、危機のシリア経済を支えたい」と決意。内戦が始まった2011年から4年間、本場キューバの葉巻会社のホームページを調べるなどして独学で研究。社長の支持を得て今年2月の開業にこぎつけた。
内戦で夫ら家族を亡くした女性ら約400人が働き、地元の雇用を支える意味もある。2人の兄を亡くしたシハム・シビリさん(27)は「仕事は楽しいし、家計を支えられて、うれしい」と笑顔で話した。(ラタキア=渡辺丘)
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朝日新聞国際報道部
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