文科省:妊娠副教材で誤った数値掲載

毎日新聞 2015年08月25日 20時11分(最終更新 08月25日 20時44分)

女性の妊娠しやすさの年齢による変化
女性の妊娠しやすさの年齢による変化

 文部科学省が高校生向けに作製した保健教育の副教材で、妊娠のしやすさと年齢の関係を示すグラフについて、加齢による妊娠しやすさの低下が、引用元として明記された論文よりも急激に落ち込む、誤った数値で掲載していたことが25日分かった。既に全国の高校への送付が始まっており、同省は訂正した別紙を送付するなどして対応する方針。

 副教材は「健康な生活を送るために」(A4判45ページ)。同グラフは、2006年作製の初版以来初めて盛り込んだ目玉のひとつ。有村治子少子化担当相の「医学的、科学的に正しい知識を学校教育で伝えたい」との強い意向を受けて、内閣府が同省と連携して内容を検討していた。

 副教材のグラフには「医学的に女性にとって妊娠に適した時期は20代。一般に40歳を過ぎると妊娠は難しくなる」などの解説がつく。ピークの22歳を1として妊娠のしやすさを年齢ごとに比較。副教材の方は、ピークを過ぎると徐々に低下し、25歳を過ぎると、急激に妊娠が難しくなるようにみえる。30歳では0.6程度に落ち込んでいた。

 しかし、引用元の論文では、25歳過ぎまではほぼ横ばいで、30歳でもピークの0.8を超えていた。

 グラフの資料は、内閣府の結婚・子育て支援検討会の座長を務めた、吉村泰典・元日本産科婦人科学会理事長が、内閣府を通じて文科省に提出した。吉村氏は「誰が作製したのか分からないが、産婦人科では長年広く使われてきたグラフだったので誤りに気づかなかった。確かに誤りがあり遺憾だ」と話した。両府省は「チェックがおろそかだった」と釈明した。【山田泰蔵】

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