トーチカ:敵を迎え撃つ「銃眼」、今も 北海道大樹町

毎日新聞 2015年08月10日 10時00分(最終更新 08月10日 11時19分)

太平洋沿岸に点在する戦時中に造られたトーチカ。入り口は立ったまま入れる程度の大きさがある=北海道大樹町で、手塚耕一郎撮影
太平洋沿岸に点在する戦時中に造られたトーチカ。入り口は立ったまま入れる程度の大きさがある=北海道大樹町で、手塚耕一郎撮影

 異様な立方体が点在している。旧日本軍が太平洋戦争末期、米軍上陸に備え、北海道大樹町の海岸に造ったトーチカ(防御陣地)だ。コンクリート製で、一辺は数メートル。敵を迎え撃つため、「銃眼」と呼ばれる穴が1〜2カ所開いている。

トーチカの入り口から眺めた海岸。この浜にアメリカ兵が上陸することは無かった=北海道大樹町で、手塚耕一郎撮影
トーチカの入り口から眺めた海岸。この浜にアメリカ兵が上陸することは無かった=北海道大樹町で、手塚耕一郎撮影

 町教育委員会によると、旧日本軍は1944(昭和19)年、地元住民も動員し、約40基を急造。今も残る15基は砂に埋もれたり、傾いたりしている。

 当時は大樹町−根室市の太平洋沿岸、苫小牧市周辺などに造られたが、いずれも使用されることはなかった。波風の浸食を受けながら、戦時の記憶を今に伝えている。【手塚耕一郎】

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