米軍:IS以外を初空爆 シリア反体制派を支援

毎日新聞 2015年08月04日 12時09分(最終更新 08月04日 14時13分)

 【ワシントン西田進一郎】米国防総省のデービス報道部長は3日、記者団に対し、米軍が過激派組織「イスラム国」(IS)掃討のため訓練したシリア反体制派が7月末にIS以外の敵対勢力から攻撃を受けた際、空爆で支援したことを明らかにした。米軍がシリアでIS以外を空爆したのは初めて。「敵対勢力からの防御」を理由に、シリアへの関与がなし崩しに拡大していくのではないかとの懸念も出ている。

 デービス氏によると、米軍による訓練と装備の提供を受けた反体制派の「新シリア軍」が7月31日、約50人の敵対勢力から攻撃されたため、空爆した。空爆支援を受けた新シリア軍は敵対勢力を撃退した。敵対勢力は国際テロ組織アルカイダ系武装勢力「ヌスラ戦線」とみられるという。

 オバマ政権はアサド政権を批判しつつも、シリア内戦への軍事介入は避けてきた。しかし、IS掃討作戦を担うことが期待されているシリア反体制派の訓練は遅れている。このため、他の敵対勢力による攻撃からシリア反体制派を守る姿勢を明確にしたとみられる。また、デービス氏は、トルコ南部のインジルリク空軍基地を使い、武装した米無人攻撃機の飛行を始めたことも明らかにした。IS掃討に加え、反体制派の防御支援の一環とみられる。

 米政府は、訓練を施している反体制派はISとの戦闘が任務であることや、アサド政権の支配が及ばないシリア北部で活動していることから、アサド政権軍と交戦する可能性は低いとの立場をとっている。

 しかし、反体制派とアサド政権軍との偶発的な交戦に米軍が巻き込まれる可能性はある。ホワイトハウスのアーネスト大統領報道官は記者会見で、米軍などのIS掃討作戦を邪魔しないようアサド政権に「明確なシグナルを送った」と説明。今のところアサド政権がその忠告を守っているとし、「今後も守るよう促す」とアサド政権にくぎを刺した。

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