安保関連法案:研究者ら「中東やアジアの信頼打ち砕く」

毎日新聞 2015年08月10日 21時06分(最終更新 08月10日 23時13分)

安保関連法案に反対するアピールをするために記者会見をする中東研究者ら。左から3人目は栗田禎子・千葉大教授=東京都千代田区の参議院議員会館で2015年8月10日午後2時38分、後藤由耶撮影
安保関連法案に反対するアピールをするために記者会見をする中東研究者ら。左から3人目は栗田禎子・千葉大教授=東京都千代田区の参議院議員会館で2015年8月10日午後2時38分、後藤由耶撮影

 参院で審議中の安全保障関連法案を巡り、中東の政治や社会などを研究する学者たちが10日、「(法案は)中東やアジアの信頼を打ち砕き、日本の市民の生命と安全を危険にさらす」として廃案を求める声明を発表した。

 呼びかけ人は、湾岸戦争時に駐イラク大使だった片倉邦雄氏や元駐リビア大使の塩尻宏氏をはじめ、長沢栄治・東京大教授(エジプト社会経済史)▽栗田禎子(よしこ)千葉大教授(エジプト・スーダン現代史)▽黒木英充・東京外国語大教授(中東地域研究)▽宮田律・現代イスラム研究センター理事長ら。賛同者も含め専門家105人が廃案を訴えている。

 東京都内での記者会見で、栗田氏は「憲法学者と並んで声を上げるとしたら、中東を研究してきた我々だ」、黒木氏は「日本人はたとえようのない違和感や反発を強め、(法案を知った)中東の多くの人びとも同じ気持ちでいる」と訴えた。

 声明は「中東は欧米による植民地支配や侵略に苦しんできた。このため(日本の平和主義は)好意的に受け止められた」とし、「大国の軍事介入が中東地域にもたらした悲劇、混乱に学ぶことなく、アメリカの戦争への協力態勢を拡大しようとする政策は誤り」と厳しく批判している。【樋岡徹也】

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