ギリシャ:証券取引所5週間ぶり再開 過去最大の下落幅
毎日新聞 2015年08月03日 21時19分
【ロンドン坂井隆之】財政危機に伴う混乱で6月29日以降休場していたギリシャのアテネ証券取引所は3日、5週間ぶりに株式取引を再開した。株価の指標となるアテネ証券取引所総合指数は一時、休場前の6月26日終値比23%も急落し、1日あたりの下落幅で過去最大を記録した。ギリシャ政府とユーロ圏諸国は7月13日に金融支援交渉を再開することで合意したが、ギリシャ経済の先行きに対する市場の不信感の根深さを浮き彫りにした。
売りの勢いは銀行部門で激しく、最大手のギリシャ国民銀行など4大銀行の株価は一時、一日の制限値幅いっぱいの30%も急落した。国内経済の先行きへの懸念から、港湾管理会社や、通信、水道などのインフラ関連企業の株価も、制限値幅いっぱいまで下落した。その後はやや値を戻したものの、総合指数は2割近い下落幅で推移している。
ギリシャのチプラス政権は7月、金融支援の前提条件となる財政改革関連法案を成立させたが、正式な金融支援の合意までに交渉が難航することも予想される。チプラス首相が「反緊縮」の公約を破って欧州連合(EU)側の財政再建策を全面的に受け入れたことには与党内から反発が出ており、政局が不安定化するリスクも残る。ギリシャ政府は、ユーロ圏の支援によって銀行の資本増強を実施する計画だが、市場参加者は実現を依然不安視している状況だ。
ギリシャでは、7月20日に銀行の営業が再開されたものの、預金引き出し制限や海外への送金制限といった資本規制は引き続き実施されている。証券取引も、国内投資家の取引には一部制限が課せられており、金融正常化には至っていない。