長崎原爆の日:安保法案痛烈批判…平和への誓い、谷口さん

毎日新聞 2015年08月09日 22時59分(最終更新 08月10日 01時07分)

式典で平和への誓いを読み終えた谷口稜曄さん=長崎市の平和公園で2015年8月9日午前11時19分、津村豊和撮影
式典で平和への誓いを読み終えた谷口稜曄さん=長崎市の平和公園で2015年8月9日午前11時19分、津村豊和撮影

 「戦時中の時代に逆戻りしようとしている」−−。被爆者を代表して「平和への誓い」を読んだ谷口稜曄(すみてる)さん(86)は、安倍晋三首相の目の前で、安全保障法制の整備を進める政府を痛烈に批判した。

 16歳で被爆し、奇跡的に一命を取り留めた谷口さんは、戦後、原爆の後遺症と闘いながら、被爆者援護運動の先頭に立ち、国内外で体験を語ってきた。現在も日本原水爆被害者団体協議会の代表委員を務める。

 1974年以来2度目の「誓い」で自らの被爆体験を赤裸々に話した。原爆投下後の惨状や、70年間に亡くなった被爆者の思いに触れ「生きている限り、戦争と原爆被害の実相を世界中に語り続ける」と結んだ。

 今春、核拡散防止条約(NPT)再検討会議開催に合わせて渡米した際は、車椅子だった。帰国後の7月14日に体調を崩し、31日まで入院した。それでも「これまで生きてきた集大成」との思いで大役を引き受けた。被爆70年の節目に命を削って力を振り絞った谷口さんの言葉に、会場から大きな拍手が湧いた。

 式典後、谷口さんは語った。「再び戦争をしない国にするために、国民が力を合わせて、政府を動かさないといけない」【小畑英介】

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