ニュース詳細
油井さん まもなく「こうのとり」キャッチ8月24日 18時43分
日本の宇宙輸送船「こうのとり」の5号機が、国際宇宙ステーションに接近し、まもなくドッキングに向けた作業が始まります。宇宙ステーションに滞在している油井亀美也さんが「こうのとり」をロボットアームでキャッチするほか、地上側では若田光一さんが通信役のリーダーを務め、ドッキングを宇宙側も地上側もいずれも日本人が担うのは初めてです。
今月19日に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた日本の宇宙輸送船「こうのとり」の5号機は、24日午後5時には、高度400キロ付近を飛行している国際宇宙ステーションまであと500メートルの位置に到達しました。これまでのところ飛行は順調で、午後6時には、あと250メートルの位置にまで接近しています。
このあと、「こうのとり」は、午後7時40分ごろには宇宙ステーションまであと10メートルの位置に到達し、エンジンを止める予定です。
そして、午後7時55分ごろ、宇宙ステーションに滞在している日本人宇宙飛行士の油井亀美也さんが、ロボットアームを使って「こうのとり」をキャッチする予定です。
アメリカ・ヒューストンにあるNASA=アメリカ航空宇宙局の管制センターでは、宇宙飛行士の若田光一さんが通信役のリーダーを務め、2人の日本人宇宙飛行士が協力しながら重要な任務に当たっています。
宇宙輸送船のドッキングを宇宙側も地上側もいずれも日本人が担うのは今回が初めてです。
「こうのとり」のキャッチに成功すれば、続いてロボットアームで引き寄せる作業が行われ、宇宙ステーションにドッキングするのが25日午前0時半ごろ、ドッキングのすべての作業が終わるのは25日の午前3時ごろになる予定です。
このあと、「こうのとり」は、午後7時40分ごろには宇宙ステーションまであと10メートルの位置に到達し、エンジンを止める予定です。
そして、午後7時55分ごろ、宇宙ステーションに滞在している日本人宇宙飛行士の油井亀美也さんが、ロボットアームを使って「こうのとり」をキャッチする予定です。
アメリカ・ヒューストンにあるNASA=アメリカ航空宇宙局の管制センターでは、宇宙飛行士の若田光一さんが通信役のリーダーを務め、2人の日本人宇宙飛行士が協力しながら重要な任務に当たっています。
宇宙輸送船のドッキングを宇宙側も地上側もいずれも日本人が担うのは今回が初めてです。
「こうのとり」のキャッチに成功すれば、続いてロボットアームで引き寄せる作業が行われ、宇宙ステーションにドッキングするのが25日午前0時半ごろ、ドッキングのすべての作業が終わるのは25日の午前3時ごろになる予定です。
キャッチ完了までの手順
国際宇宙ステーションは高度400キロ付近を、秒速およそ8キロ、時速ではおよそ2万8000キロという非常に速いスピードで飛行しています。
「こうのとり」は、国際宇宙ステーションと同じスピードになって並びながら、ごく僅かにエンジンを作動させて慎重に接近します。
「こうのとり」5号機は、国際宇宙ステーションの後ろから近づき、24日午後4時ごろ、宇宙ステーションまであと5キロの位置に到達します。
このとき「こうのとり」は、エンジン付近にあるアンテナを使って宇宙ステーションと通信を行うために、前と後ろが逆になっています。
ここから「こうのとり」は、機体の周囲に合わせて28個取り付けられている小型のエンジンをごく僅かに噴射させて、宇宙ステーションの真下に回り込み、午後5時ごろ、宇宙ステーションまであと500メートルの位置につけます。
このあと、「こうのとり」は、レーザーを使って宇宙ステーションまでの残りの距離を正確に測りながら、1分間に数メートルというゆっくりとしたスピードで接近します。
途中、あと250メートルになったところで、後ろと前を逆転します。
これは、緊急時にメインエンジンを噴射して、すぐに宇宙ステーションから離れられるようにするためです。
「こうのとり」は、このあともゆっくりと接近を続けて、午後7時半すぎ、宇宙ステーションまであと10メートルとなったところで、すべてのエンジンを停止します。
そして、午後7時55分ごろ、宇宙ステーションに滞在している日本人宇宙飛行士の油井亀美也さんが、ロボットアームを使って「こうのとり」をキャッチすることになっています。
キャッチした「こうのとり」は、ロボットアームで1秒間に2センチというゆっくりとしたスピードで引き寄せ、25日午前0時半ごろ、宇宙ステーションにドッキングします。そして、電気配線などをつなぐ作業を行って、ドッキングのすべての作業が完了するのは25日午前3時ごろになる見通しです。
「こうのとり」は、国際宇宙ステーションと同じスピードになって並びながら、ごく僅かにエンジンを作動させて慎重に接近します。
「こうのとり」5号機は、国際宇宙ステーションの後ろから近づき、24日午後4時ごろ、宇宙ステーションまであと5キロの位置に到達します。
このとき「こうのとり」は、エンジン付近にあるアンテナを使って宇宙ステーションと通信を行うために、前と後ろが逆になっています。
ここから「こうのとり」は、機体の周囲に合わせて28個取り付けられている小型のエンジンをごく僅かに噴射させて、宇宙ステーションの真下に回り込み、午後5時ごろ、宇宙ステーションまであと500メートルの位置につけます。
このあと、「こうのとり」は、レーザーを使って宇宙ステーションまでの残りの距離を正確に測りながら、1分間に数メートルというゆっくりとしたスピードで接近します。
途中、あと250メートルになったところで、後ろと前を逆転します。
これは、緊急時にメインエンジンを噴射して、すぐに宇宙ステーションから離れられるようにするためです。
「こうのとり」は、このあともゆっくりと接近を続けて、午後7時半すぎ、宇宙ステーションまであと10メートルとなったところで、すべてのエンジンを停止します。
そして、午後7時55分ごろ、宇宙ステーションに滞在している日本人宇宙飛行士の油井亀美也さんが、ロボットアームを使って「こうのとり」をキャッチすることになっています。
キャッチした「こうのとり」は、ロボットアームで1秒間に2センチというゆっくりとしたスピードで引き寄せ、25日午前0時半ごろ、宇宙ステーションにドッキングします。そして、電気配線などをつなぐ作業を行って、ドッキングのすべての作業が完了するのは25日午前3時ごろになる見通しです。
3か所で日本人が連携
今回のドッキングでは、国際宇宙ステーションと、アメリカ、日本の合わせて3か所で、いずれも日本人が連携して作業に当たります。
日本の筑波宇宙センターでは、松浦真弓リードフライトディレクタが「こうのとり」に指示を送り、宇宙ステーションまであと10メートルの位置まで接近させる作業に当たります。
アメリカ・ヒューストンにあるNASA=アメリカ航空宇宙局の管制センターでは、宇宙飛行士の若田光一さんが通信役の責任者を務め、筑波宇宙センターから伝えられる「こうのとり」の情報を基に宇宙ステーション側にキャッチの合図を送ります。
そして、国際宇宙ステーションでは、滞在している油井亀美也さんが、若田さんの合図を受けながらロボットアームを操作して「こうのとり」をキャッチします。
日本の筑波宇宙センターでは、松浦真弓リードフライトディレクタが「こうのとり」に指示を送り、宇宙ステーションまであと10メートルの位置まで接近させる作業に当たります。
アメリカ・ヒューストンにあるNASA=アメリカ航空宇宙局の管制センターでは、宇宙飛行士の若田光一さんが通信役の責任者を務め、筑波宇宙センターから伝えられる「こうのとり」の情報を基に宇宙ステーション側にキャッチの合図を送ります。
そして、国際宇宙ステーションでは、滞在している油井亀美也さんが、若田さんの合図を受けながらロボットアームを操作して「こうのとり」をキャッチします。
ロボットアーム操作の難しさ
宇宙輸送船をキャッチするロボットアームの操作は、もし誤れば輸送船や宇宙ステーションを破損させるおそれがあります。
宇宙飛行士の訓練の記録からは、慎重さと忍耐力が求められる難しい操作であることがうかがえます。
国際宇宙ステーションに設置されているロボットアームは、長さが17メートル、重さが1.8トンあります。関節は7か所あります。
宇宙飛行士は、宇宙ステーションの中にあるキューポラと呼ばれる窓越しに外の様子が見える部屋に入って、いくつもの画面で映像を確認しながら、左右2つのコントローラーを使ってロボットアームを操作します。
宇宙飛行士の訓練の記録によりますと、ロボットアームが巨大で重さもあるため、コントローラーの操作が急になってしまうと、アームの先端が揺れてコントロールがつかなくなるおそれがあり、ゆっくりとした慎重な操作が求められるということです。
「こうのとり」の外側に設けられた直径およそ35センチのピンと呼ばれる部分に、ロボットアームを近づける際、許される誤差はおよそ10センチまでです。
コントローラーは必要最小限の力で動かすことが求められ、忍耐力が欠かせない作業だということです。
宇宙飛行士の訓練の記録からは、慎重さと忍耐力が求められる難しい操作であることがうかがえます。
国際宇宙ステーションに設置されているロボットアームは、長さが17メートル、重さが1.8トンあります。関節は7か所あります。
宇宙飛行士は、宇宙ステーションの中にあるキューポラと呼ばれる窓越しに外の様子が見える部屋に入って、いくつもの画面で映像を確認しながら、左右2つのコントローラーを使ってロボットアームを操作します。
宇宙飛行士の訓練の記録によりますと、ロボットアームが巨大で重さもあるため、コントローラーの操作が急になってしまうと、アームの先端が揺れてコントロールがつかなくなるおそれがあり、ゆっくりとした慎重な操作が求められるということです。
「こうのとり」の外側に設けられた直径およそ35センチのピンと呼ばれる部分に、ロボットアームを近づける際、許される誤差はおよそ10センチまでです。
コントローラーは必要最小限の力で動かすことが求められ、忍耐力が欠かせない作業だということです。
日本の技術が世界標準に
「こうのとり」で用いられている国際宇宙ステーションにドッキングする技術は、それまで採用されていた方式よりも安全性や確実性が高く、アメリカの2つの輸送船がその技術を採用するなど、今では世界標準となっています。
国際宇宙ステーションのロボットアームで宇宙輸送船をキャッチし、ドッキングさせる技術は、日本が「こうのとり」の開発に合わせて独自に考案したものです。これは、宇宙輸送船が最後までエンジンを作動させて宇宙ステーションに近づきドッキングする従来の方式に比べて、衝突の危険性が低く安全だとされています。特に、2009年に「こうのとり」の1号機が国際宇宙ステーションへのドッキングに成功すると、NASAからこの方式の安全性が高く評価されました。
この結果、「こうのとり」のドッキング方式は宇宙輸送船の世界標準となり、アメリカの民間企業が開発した2つの宇宙輸送船にも採用されています。このうち、アメリカの民間の輸送船「シグナス」では、方式だけでなく、装置そのものも日本の大手電機メーカーの製品が採用され、日本の宇宙技術の海外への輸出につながりました。
国際宇宙ステーションのロボットアームで宇宙輸送船をキャッチし、ドッキングさせる技術は、日本が「こうのとり」の開発に合わせて独自に考案したものです。これは、宇宙輸送船が最後までエンジンを作動させて宇宙ステーションに近づきドッキングする従来の方式に比べて、衝突の危険性が低く安全だとされています。特に、2009年に「こうのとり」の1号機が国際宇宙ステーションへのドッキングに成功すると、NASAからこの方式の安全性が高く評価されました。
この結果、「こうのとり」のドッキング方式は宇宙輸送船の世界標準となり、アメリカの民間企業が開発した2つの宇宙輸送船にも採用されています。このうち、アメリカの民間の輸送船「シグナス」では、方式だけでなく、装置そのものも日本の大手電機メーカーの製品が採用され、日本の宇宙技術の海外への輸出につながりました。
宇宙船ドッキング時の事故
国際宇宙ステーションでは、これまで宇宙船をドッキングさせる際に事故は起きていません。しかし、1997年、ロシアの宇宙ステーション「ミール」では、宇宙輸送船「プログレス」のドッキングの訓練中に、プログレスが宇宙ステーションに衝突して一部の部屋に穴が開き、この部屋が使えなくなったほか、太陽電池パネルが一部、壊れる被害が出ています。
積み込まれているものは
「こうのとり」5号機には、NASA=アメリカ航空宇宙局から託された緊急物資をはじめ、宇宙飛行士の食料や日用品、宇宙の謎に迫る実験機器など5トン余りの物資が積み込まれています。
NASAが緊急輸送を要請した物資は、ことし6月に打ち上げに失敗したアメリカの民間の輸送船「ドラゴン」で送り届ける予定だったもので、国際宇宙ステーションの中の重要なシステムの交換部品や宇宙飛行士の衣類や生活用品など、およそ210キロあります。
特に、宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士の飲料水を作る「水再生システム」では、宇宙飛行士から回収した尿や汗の浄化に必要となるフィルターの在庫が尽きているため、交換時期を過ぎてもそのまま使い続ける状態となっていて、予備のフィルターを送り届けることが喫緊の課題になっています。
当初から輸送が決まっていた物資としては宇宙飛行士の食事や生活に関わるものが多く、宇宙食のほか、食事を加熱するための調理用のオーブンが積み込まれています。
また、宇宙飛行士の身を守るためのものとして、宇宙飛行士が誤って宇宙空間に放り出されたときに自力で戻れるようにする、宇宙服の背中に取り付ける小型のエンジンなどもあります。
このほか、宇宙空間を満たしていると考えられながらまだ確認されていない「暗黒物質」=ダークマターの発見に挑む観測機器など、宇宙の謎に迫る実験装置が積み込まれています。
NASAが緊急輸送を要請した物資は、ことし6月に打ち上げに失敗したアメリカの民間の輸送船「ドラゴン」で送り届ける予定だったもので、国際宇宙ステーションの中の重要なシステムの交換部品や宇宙飛行士の衣類や生活用品など、およそ210キロあります。
特に、宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士の飲料水を作る「水再生システム」では、宇宙飛行士から回収した尿や汗の浄化に必要となるフィルターの在庫が尽きているため、交換時期を過ぎてもそのまま使い続ける状態となっていて、予備のフィルターを送り届けることが喫緊の課題になっています。
当初から輸送が決まっていた物資としては宇宙飛行士の食事や生活に関わるものが多く、宇宙食のほか、食事を加熱するための調理用のオーブンが積み込まれています。
また、宇宙飛行士の身を守るためのものとして、宇宙飛行士が誤って宇宙空間に放り出されたときに自力で戻れるようにする、宇宙服の背中に取り付ける小型のエンジンなどもあります。
このほか、宇宙空間を満たしていると考えられながらまだ確認されていない「暗黒物質」=ダークマターの発見に挑む観測機器など、宇宙の謎に迫る実験装置が積み込まれています。
9月下旬に大気圏で燃え尽きる
日本の宇宙輸送船「こうのとり」に、地上に戻る機能は備わっていません。このため、国際宇宙ステーションに物資を届ける役割を果たした「こうのとり」には、宇宙ステーションでの生活で生じたごみや、不要になった実験機器などが積み込まれ、「こうのとり」ごと処分されることになっています。「こうのとり」は、来月下旬に宇宙ステーションから切り離されて、地球の大気圏に向けて猛スピードで落下し、大気圏に突入したときに受ける1000度を超える熱によって燃え尽きることになっています。