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4.魔王と呼ばれた女
どこか不自然で不器用な生活が、新しく回り始める。
夜毎に発せられる、私の絶叫と共に。
「――――ぁぁあぁぁぁぁあ!?」
夢の中で発した叫び声が口から零れ、その声で目覚める。勢いよく寝台から上半身を起こし、喘鳴のようにひゅるひゅると、荒い息を吐く。
直後、見ていた悪夢が甦り、全身の体液が腐り、喉元からせり上がってくるような凄絶な吐き気を覚えた。口元を押さえ、必死に吐き気をなだめる。
酷い夢だった。目に痛い位の真っ赤な世界で、私が愉悦に狂ったように笑いながら、人々を八つ裂きにし、破壊の限りを楽しんでいた。
夢の中、私はある瞬間に、はたと自分の行っていることに思い至る。表情を凍らせて震え始め、身も世もない恐怖に叫び声を――
「ク、クリスさん!?」
逼迫した表情のカルル君が、勢いよく扉を開けて現れる。
私は焦点の合わない瞳で、茫然と彼の姿を眺めた。
「はぁ……はぁ……」
「クリスさん、どうしたんですか?」
喘ぐように呼吸をした私は、唾を飲み込み、何でもないと答えた。
私の様子とその一言で、おそらく全てを察した彼が、表情を強張らせる。
「そうですか……ごめんなさい、いきなり入ってきちゃって」
「いえ、いいのよ。あの……」
「はい?」
「お水……お水、貰えるかしら」
そこで彼の微笑だけは輝いた。しかし、天上の煌く星が地上の嵐をどうすることも出来ないように、何の役にも立たなかった。
カルル君が水を取りに行っている間、ぐっしょりと濡れた寝間着に手を添える。
「は、ははは」
かつて恐怖として人々の肝を凍らせた記憶が、悪夢となって、今は私の存在を脅かし、蝕んでいる。絶望という名前の黒い染みが、胸に広がった。
以降、私は何度も悪夢にうなされ、夜中に跳び起きることになる。
その度にカルル君は、水を持ってきてくれた。
私は眠ることを恐れるようになる。いや、眠れなくなった。
すると次第に、私の日常は悪循環に覆われ始めた。
眠りが浅ければ浅い程に、夢は現実との境界を見失う位に鮮明な印象を、私に残す。うつらうつらとしている最中、視界が真っ赤に染まるような、怖気を催させる光景が夢に現れる。
「いや、いやぁあっぁぁあ!? …………あ」
眠るのが怖くて、少しでも寝てしまえば鮮烈な光景が私を襲って、起きて、また眠ってしまって、叫んで、泣いて、苦痛にのたうち回る。
日々という灰色の影が、空虚な心に積み重なっていった。まるで、誰も住む人のいない家に塵と埃が積み重なっていくように。
そんな日々の中で、体力だけは確実に削られ、命が先細る。
朦朧とした意識、ぼやけた思考、悄然とした顔。
酷い仕打ちだと思った。どうして私がこんな目に合わなくてはならないのかと、寝台で膝を抱え、恐怖で歯をかちかちと鳴らした。
だけどどうしても、それをカルル君のせいだと思うことは出来なかった。
私が魔王になったのは、彼が私に首飾りを渡したから。それは間違いのない事実。彼がそれを見つけて渡さなければ、私が受けとらなければ、こんな苦痛に濡れた日々は無かった。
――あの男と結婚させられ……今頃、子供を設けていたのかもしれない。
「くっ……」
だが私はそれが我慢出来なかった。周りの人間も、カルル君もまた、そんな私を救ってはくれなかった。どちらの未来が良いと問われても、簡単に答えられない。
そしてカルル君を恨んでも、何も始まらないことも分かっていた。彼も、魔王の力を目覚めさせてしまったことで、両親を失ったのだ。
そんな彼が、今、私の隣にいてくれるのは……自責、憐憫、或いは単なる情?
それとも――。
「カルル……君……」
『それでも……私は、カルルのことが! カルルのことが!』
『ありがとうございます……でも、ごめんなさい。ぼくは――』
カルル君は私を慮り、毎日、食事を部屋に運んできてくれた。だけど食事を取ると体が温かくなり、眠くなる。私は食事を少量ずつ取った。
彼にずっと傍に居られるのは煩わしい、だけど近くにいて欲しかった。寂しいから。精神が衰弱し始めた私は、カルル君に対してそんな感慨を抱いていた。
実際、カルル君は献身的で近くにはいてくれたけど、傍にはいなかった。無遠慮ではないその距離感に、どこか救われる思いだった。
しかし私は私の日々に、限界を迎えてしまった。
人間は誰しも、命に対し烈しい愛着を持っている筈だ。それにも関わらず、それから距離を取り、じっと虚ろな眼で見ている自分がいた。
――それは本当に、大切なものなのだろうか?
母親を殺した時のことを、初めて、自覚的に思い返す。炎は人型に燃え盛り、火柱は絶叫するように口を開けていた。自分が為したという実感は、限りなく薄い。
それなのに、体は震えが止まらず、また涙も止まらないのだ……。
そして私はある朝、食事を運んできてくれたカルル君に向けて言った。
「ねぇ、カルル、君」
「はい、どうしました?」
寝台の傍の小さな机に食事を置いて、生気のない私の目を見ると――彼は何かに気付いた面持ちになった。
私はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「私を……殺して?」
カルル君は息を呑み、眉を上げて私の言葉を迎えた。
私は縋りつくように手を伸ばして彼の腕を掴み、揺さぶりながら言う。
「ねぇ、カルル君! 殺して!? 殺してよ! もう駄目なの……耐えられないの……私は……私が魔王の頃にしたことに、私は!? お願いだから……」
カルル君は口を小刻みに震わせると、目を閉じて、苦しそうに項垂れた。
私は私の人生に対して、どんな希望も抱くことが出来なかった。未来への輝きや興奮よりも、過去の苦しみの方が遙かに勝っている。
――こんな状態で……生きていくのは……無理だ。
苦しんで苦しみ抜いた挙句、髪を真っ白にした廃人になるだろう。そういう確かな、本能的な予感があった。それなら、今、今、死にたい。
「私に、首飾りを渡したことを、少しでも悔いているなら……それなら!?」
「っ――!」
悲痛な面持ちに顔を歪める、一人の少年。
そんな少年に死のほう助を願う、一人の女。
「私を、私を殺してよ!?」
醜くも私は、苦しみたくないの、と言った。
生きることが贖罪になるなんて、そんな風には思えないの、とも。
「もういいの、私は……。私の人生は、もう、これで十分なの。だけど、私は、自殺できる程に……強くない。だから、私を――」
「出来ません!」
「…………え?」
今まで耳にしたことがないような強い調子で、彼は私の言葉を遮る。
「そんなこと……、ぼくには出来ません! いや、しちゃいけないんです!」
自分自身に言い聞かせるような、そんな口調だった。
私は愕然とした面持ちのままに彼の腕から手を離し、震えた唇で尋ねる。
「どう……して?」
カルル君は一度足元を見た後、真っすぐに私を見つめて言う。
「あなたと……生き続けたいからです」と。
何も、何も分かってくれない。そんな、子供みたいなことを。
私は理解者に裏切られたような心地で、叩きつけるように言葉を発する。
「生きる? どうして!? どうして私は、生きなくちゃいけないの!?」
その言葉を前に、カルル君は言葉を無くした。
もどかしさが凝固し、腹の奥で嫌な熱を持ち始める。
「未来に……何もないのよ。私には、辛い過去しかない……それなのに、生きるの? 毎日を苦しんで生きるの? そんな日々にどんな意味があるの?」
私が畳みかけるように言うと、彼は拳を握りしめ、また俯いた。
「何か……何か答えてよ……」
得体のしれない不吉な塊が、私の心を抑えつける。
焦燥、嫌悪、恐怖。愛情のあるべき場所には、落胆が巣食い、絶えざる後悔と絶望との泥の中に、身を沈めたかのような心地だった。
そんな私に、彼は答えた。
答えになっていない答えを、口にする。
「わかりません」
私は表情を無くし、断続的に、震えた息を吐き出す。
「わから……ない? なに……それ」
その声には愉快で笑い出したくなるようでいて、その実、暗い孤独の音階が潜んでいた。余りの空虚さに表情を持て余し、半笑いを作ってしまう。
「はい、わかりません」
「わからないのに、それなのに、私に、生きろと言うの? 現実に、今、こうして辛いのに、苦しいのに!? 私が!? 私が!?」
そこで絶句した私は、秘められた言葉を口にした。
私が記憶を失くしている時に盗み聞きしてしまった、たった一つの真実を。
「私のことを、今も……好きでいてくれてるのに? それなのに!?」
カルル君は、弾かれたように顔を上げた。
そして苦しそうに口元を引き絞ると、言った。
「だからこそ、生きてほしいんです」
「え……?」
そのとき、私の中に宿る” 何か ”が乾いた痙攣を起こした。彼に宿る同じものが、瞳に映し出されていることを察したかのように。
「生きることに、どんな意味があるのか分かりません。でも!」
カルル君は言葉を区切ると、私の両腕をその手で掴んだ。顔を近づけ、私の視界を彼の顔で満たす。
「あ、あぁ……」
親密な距離で眺める、澄んだ奇麗な瞳。自分自身の悲しみを見つめるようでいて、絶望から目を背けない、強い光を宿した……。
「今が、今が絶対じゃありません。生き続けていれば、また朗らかに笑えるようになる日が、来るかもしれない。ひょっとしたら……来ないのかもしれない。でも! だからこそ、生きて欲しいんです。だって、生きている限り、未来は――」
そこで私は、カルル君の心から放射されている温かい物の正体に気付いた。それは炎のように彼の中で燃え立ち、沈み込んでいる世界が暗ければ暗い程、はっきりと見えてくる。
「生きている限り未来は、クリスさんの手の中にあるんですから」
途端に波が引いていくように、手足から力が抜けた。茫然自失となりながらも、奇妙な感覚だけが、生き物のように心身にたゆたっている。
「わ、私は……私は……」
うわ言を繰り返すように、言葉を震わせる。瞳の奥から熱い感慨が込み上げ、泉の水のように湧き上がろうとする。
カルル君は私の腕から手を離すと、体を引き、静かに言葉を続けた。眩しい物を見るように、目を細めながら。
「クリスさん、ぼくは自分の意思で旅に出ました。あなたのことを、ずっと、忘れることが出来なかったから。あなたに拒まれても、村が焼かれて、両親が死んでしまっても……あなたがあの時、泣いていたことが、忘れられなかったから。可笑しいですよね、そんなこと」
脳裏を過る、魔王として覚醒した日。涙を流しながら母親を火柱にし、その後、そんな私を見ている視線に私は気づいた。
「でも……可笑しいことじゃなかった。それも一つの、人間の在り方なんです。ぼくは勇者の力と出会い、寡黙な彼と対話を繰り返す中で、冒険をする中で、たった一つの大切なことに気付いたんです。何か、分かりますか?」
私は顔をくしゃくしゃに歪め、嗚咽を漏らしそうになりながら、頭を横に振った。やがて彼が、全てを心得たように微笑んで言う。
「一切を拒まれても、或いは、例え一切を与えられたとしても……変わらない気持ちが、この胸にあることを」
私の目から、熱い一条の線が走る。
涙が音もなく表した、確かな” 何か ”。言葉にすると途端に不確かになってしまう” 何か ”。それが自分の胸にも宿っていることに、気づきながら。
『クリスさん』『クリス』
目の前の少年の声と、父親の遠い呼び声が重なる。
――そうか、そうだったんだ……私は、私は……。
新しい衝動が、私の乾いた心を捕える。閉じ込められ、憂愁に悩んでいた暗闇が、一瞬に輝かしい光明に照らし出されたように感じた。
そうして私は、声を上げて泣いた。
泣き崩れ、しゃくりあげ、さめざめと涙を流した。
棘だらけの花を呑みこんでしまったかのように。血が流れる程の愛しさと苦しさを、痛く、痛く、胸に感じながら。
気付けば、私は深い眠りに落ちていた。
その時ばかりは、悪夢は見なかった。
# # # #
私はそれからも数日、カルル君とあの小屋で過ごした。
そしてその日の朝、簡単な身支度を整え、一人で山を下りた。
「それじゃあね、カルル君……元気で」
「クリスさんも……」
少年の姿をした、父親のように優しく、私を慈しんでくるれるカルル君との日々。悪夢にうなされることもあれば、健やかに眠れる日もあった。
しかし私は私自身で、その日々に終止符を打った。
『ごめんなさい、カルル君。私は、あたなの想いには応えられない。だから……あなたとも生きられない』
そう告げた時、カルル君は、寂しそうに笑っていた。
それでも構わない、と言った。生きていてくれればいいと、そう言った。
彼は私が新しく生き始めたと、信じてくれていた。そんな彼を可愛らしいと思う。大人の嘘を、女の嘘を見抜けない、彼を。
山を下りた後、私が何所へ向かうのかは、カルル君には伝えなかった。
『一人で生きてみようと思うの』
そう言っただけで。しかしその実、私は……。
優しい目をした少年の顔が、脳裏を過る。
――カルル君、ごめんね。
私はカルル君に諭されてから、” 生きる ”ことを考え始めた。その際に、魔王によって殺された人の、残された家族のことに思いを馳せた。
同時に私は、あることを思い出す。魔王と勇者が出てくる昔話。そこでは勇者によって倒され、捕えられた魔王は、大勢の前で処刑される。
――これは決して、贖罪ではない。
罪を背負って生き続ける。その姿は、人々には見えない。見えないものは感じられない、意味がない。もっと人間が好みそうな、即物的な方法がある。
死への欲求は、依然として私の中で根付いていた。そして私は積極的に生きると言う大義名分を設けて、自己欺瞞の中で、処刑されようと思った。
そんな自分自身をじっと眺め、自嘲を零す。
カルル君は勇者と呼ばれるほどに、強い人間だ。いや、強い人間になったんだ。だから人間の、醜い、弱さと言う物をきっと知らない。
人は常に自己納得で生きる、強くもか弱い生き物だ。自分の命を差し出すことに、意義を見出すことが出来たとき。ある種の人間は、それに迷わない。
――そうだ、私は……。
私はこの国の王都に向かおうとしていた。そして世界に破壊と混沌をもたらした魔王として、処刑してもらおう、そう思っていた。
魔王によって家族や恋人、友人の命を落とした人間。魔王でなくても構わない、そういう体験をした人間。
彼らは、罪人が罪を背負って粛々と生きるよりも、処刑される直接的な姿を見た方が、憂さが晴れるだろう。死を娯楽にするのは魔王ばかりではない、人間もだ。
その考えに辿りついた直後、安堵に、柔らかい吐息が漏れた。一筋の光が未来に向かって伸びるような、自分の進むべき道が照らされた心地だった。
皮肉なことに、カルル君と想いが通じ合っていることが、私に深い満足を与えてしまった。迷いはなかった。静かな決意。朝露が花弁から滴り落ちるような。
生きることに対する未練はなく、清々しく死んでいける。悪夢と共に生き続けるよりも、今の心地で死んでいくことを希望した。
私は魔王ではあったが、私を魔王と認識できる人間は少ない。だが王都には、カルル君の仲間がいると言う。国の復興に尽力を注いでいると言う。
彼らなら、私の顔も知っているはずだ。カルル君を慕っていた、小屋に会いに来た女性もいるだろう。彼らに私が魔王だったことを証明してもらう。
そして大勢の前で、首を跳ねてもらう。
私の弱さから来る自己欺瞞と、人々の憂さ晴らし。
二つが合致するのが――公開処刑。
こうして私は、一人になった。
皆、生まれてからは一人で、死に向かって歩く。私だけじゃない。
王都へは早く辿りつけそうなことが、麓の村で分かった。周辺の町まで歩いて半日。そこから先は馬車がある。カルル君から貰ったお金を使えば、夕刻までには到着するだろう。
村から町へと歩く途中、ふと考えた。一体いつからだろう。一体いつから私は、カルル君に心を動かされたのだろうか、と。
記憶を失くしている時の認識が、今の私と混じり合った際だろうか。或いは、ひょっとして……。
苦笑と共にその考えを打ち切る。いずれにせよ、一つの事実として、私はカルル君のことを強く想っている。上手く言葉に出来ないものが、この胸にある。
だからこそ、彼は私に縛られるべきではないとも思う。風の噂で、魔王が処刑されたと知ったとき、彼は愕然と膝を折るかもしれない。
なんで、どうして、と嘆くかもしれない。そうですか、と淡々と受け取るかもしれない。だが彼はその時から、新しい人生を始めることが出来るだろう。
何といってもカルル君はまだ、少年なのだから。そして彼の力を人々は、きっと求めている。勇者の力が無くなっても、彼は紛れもなく勇者だ。
「カルル……君」
足を止め、静かに空を仰ぐ。街はすぐそこだ。王都に着いたら、きっと瞬く間に事が運んで行くだろう。もう直ぐ、私に終わりがやって来る。
私はその時のことを想像した。
王都の中央広場に引きずり出され、屈強な男たちに体を押さえつけられる。長い髪をかき分け、刃を持った処刑人にうなじを晒す。
王都の広場には見物人が集まっている。
叶うなら、沢山の人が集まればいい。本心で、そう思った。
出来るだけ沢山の、憎悪に迎えられると良い。
出来るだけ沢山の、怨嗟がとぐろを巻くと良い。
森の嵐のように、どよめく人々の嘲笑。
礫のような罵倒。泥を投げつけられるような誹り。
彼らの声が大きければ、大きい程に――。
『一切を拒まれても、或いは、例え一切を与えられたとしても……変わらない気持ちが、この胸にあることを』
たった一つのものが、より輝くのだから。
昼と夜の移り変わる時刻――逢魔が時に王都に着いた私は城に向かい、勇者の仲間たちに面会を求めた。ことは思った以上に早急にも、緩慢にも進まなかった。
「魔王が会いに来ている……そう言えば、彼らには分かるはずです」
城の人間は息を呑んだ。やがて私は、物々しい姿をした兵士達に囲まれて、城の一室に案内される。私と対面したカルル君の仲間たちは、戸惑いと共に、深い嫌悪の情を露にした。
「処刑されに来ました」
記憶が戻ったことを簡単に説明した後、淡々と言う。
すると筋肉質で大柄な男が、怒鳴り散らすように言葉をぶつけて来た。
「何を言ってやがる!? お前を生かすために、カルルは! カルルは!」
男の言葉を遮り、このことはカルル君も承知していると嘘を吐いた。そうでなければ、ここに来ることは出来ないでしょ、とも。
彼らは私の言葉を前に、俯き、言葉を無くした。
ただ一人、カルル君のことを想っていたあの女性だけが、泣きそうな、睨みつけるような眼差しで私を見ていた。涙を浮かべ、その場から飛び出していく。
やがて国王にそのことが伝えられると、私の処刑は直ぐに決まった。
城の牢獄で眠る。悪夢で夜中に目覚めたが、カルル君のことを想い、次は健やかに朝まで眠ることが出来た。不思議と、死を前にした恐怖はなかった。
翌日、魔王と呼ばれた女の公開処刑は、粛々と進んだ。望んだ通り、沢山の見物人が会場となる広場に集まっていた。
私は両手首を前で合わせた形で、縄に縛られていた。そこに括りつけられた別の長い縄で、兵士たちに引きずられるように、広場に連れ出される。
一般の兵士が魔王の存在について、どこまで知っているのかは分からない。ただ私に魔王の力が残っていないことは、報告されていたのだろう。
兵士の目には、嘗て世界を破壊しつくした者に対する畏怖はなく、代わりに身を焼くような憎悪が宿っていた。手つきも乱暴だった。
集まった民衆は私の姿を見て、魔王が女であることに驚いたようだった。そう、人々は魔王が女であることも、知らなかったのだ。
手に石を持っていた見物人の男は、私が弱々しく面を上げると臆したようになった。私の姿に憐憫の情を催したのかもしれない。
それでは、集まった人間にとっても、私にとってもよくない。私は憐れまれて死にたくはない。怨嗟の中で、たった一つの輝かしい物を抱いて逝きたいのだ。
そう思った私は、醜悪に笑んで見せた。
にやりと。にたにたと。人間を小馬鹿にするように。
男はその姿を見て瞠目する。やがて溜めこんだ怒りに全身を震わせると、手にした石を、まるで自分の勇気を試すかのように投げつけてきた。
「こ、このぉ!」
外れる。私は殊更に馬鹿にしたように笑う。
別の方角から飛来する小さな影。視界の隅にそれを認めた瞬間、こめかみに鈍いが重々しい、眩暈がするような痛みが走った。
「ぐっ――!?」
それを合図に、四方八方から石が乱れ飛ぶ。
兵士はそれを止めなかった。むしろ民衆の怒りを発散させようと、村娘程度の力しかない私を侮り、縄を掴んだ手を離して一人にした。
私は意識を失わないように、縄で繋がれた手で頭を守った。こめかみから流れる滑る血を感じながら、頭を隠そうと、深くその場に蹲る。
石礫は止むことがなく、憎悪の声もとめどなく人間の口から溢れ始める。
「死ねっ! 魔王!」
「おまえのせいで、俺の娘は!?」
「返してよ! 彼を返してよ!」
「お前なんかがいるから! 死ねよ!? さっさと!」
あらゆる人々が、狂犬に噛まれて半狂乱となったように、凶暴な群集と化す。
その場には人間の醜悪さが収縮され、怨嗟の声と共に、容赦のない暴力が投石となって飛び交った。太陽もまた憤怒にかられた目のように、下界を睨みつける。
だが決して、彼らが特殊という訳ではないのだ。彼らは人間らしいことをしている。私が彼らと同じ立場になれば、同じことをしただろう。
私は人々の悪意が深ければ深い程、たった一つの物に、深い安堵を覚えることが出来た。痛ければ痛い程に、それはますます現実味を帯び、私をすっぽりと包む。
その想いのあまりの温かさに、私は涙した。幸せだと思った。私を想い続けてくれる人がいて、その人の想いに包りながら、死んでいけるのは。
投げつける石が無くなると、いよいよ私は処刑されることになった。生命という根源的な単位を、今から摘み取られる。安心して、眠りに着くことが出来る。
悪辣は熱を帯びて凄まじい唱和となり、私の死を望む声が広場に溢れる。城の人間が罪状を読み上げたが、その声を聞く人間は、誰一人としていない。
私を処刑するのは、カルル君の仲間の一人だった。
処刑を望んだ際に、一番に感情をぶつけてきた、大柄な筋肉質の男。
「俺は、カルル……に、……くは、……いぜ」
死刑執行人の礼服を着て、磨かれた剣を手にした男が、私に向けて何かを言う。しかし、耳を聾する程の見物人たちの大声に紛れ、聞き取ることが出来ない。
薄く男に微笑みかけると、為されるが儘にその場で膝をつき、首を差し出した。
突如として、閃光のようにある情景が私の中に飛来する。
それは――あの村での光景だった。カルル君と私が、弟と妹を挟んで家の前に立ち、仲良く話しをしている。私の母と彼の両親が、その姿を笑いながら見ていた。
あれ……おかしいな、と思った。どれだけ記憶を探しても、そんなことはなかったのに。おかしいな、と私は思った。
あの村では、私はある時から、カルル君を避けていた。母親は父が死んでからは自分のことばかり考え、私に微笑みを投げかけてくれることなんてなかった。
でも…………。
そんな日々にも、裏返せば光るような美しいものを、いくつも見た気がする。
堰を切ったように、涙がとめどなく溢れて来た。
カルル君が私にくれた言葉を胸に抱きながら、逝こう、そう思った。
父が死んでから今日に至るまでの日々が、結晶が弾けたように煌きながら、次々と脳裏に浮かんでは消えていく。
悪くない心地だった。村娘の私が魔王と呼ばれる存在となり、勇者に倒され、処刑される。悲劇とも喜劇ともつかない、悲しくも愛しくもない、私のお話。
地に膝を着けながらも、最後に澄み渡った空を仰ぐ。空には雲雀が、空が落ちない限り捕まえることの出来ない鳥が、飛んでいた。
さようなら、私の記憶。さようなら、私の体。
さようなら、私のカルル……。
民衆の激しい罵倒が飛び交う最中。
聞こえてくるのは、ある夜に聞いた、カルル君の優しい声だった。
『よかったらこれ、久しぶりに飲みたくて。今日、山を下りて貰って来たんです』
私が記憶を失っている時にくれた、温めた動物の乳。
とっても美味しかったよ。ありがとう、カルル……。
「それじゃ、いくぜ!」
激しい罵詈雑言の中でも、その一言だけは、私の耳にしっかりと届いた。それと共に、剣を構える物々しい音が私の意識に冷たく響く。
私は肩を強張らせて、最後の時を待った。断続する呼吸。糸のようなかぼそい命。死という冷たい水が、直ぐそこに……。
しかし首を刎ねられる衝撃は、なかなかやってこなかった。
訝しんだ直後、殺せ、殺せと叫ぶ喧騒の中に、別の声が混ざり始めているのに気付く。次第に喧騒は、驚きと困惑の混ざり合った、ざわめきに塗り替わる。
「ちっ! あの野郎」
処刑人の男が舌打ちをした。
私は恐れるような気持で、面を上げた。そして視界にある人物を認めると、口が小刻みに震え、再び、熱い涙が瞳の奥から溢れて来た。
見物人の一人が、甲高い声を上げる。
「ゆ、勇者カルルだ!」
広場の民衆を割り、一人の少年が私の元に歩み寄ってくる。やがて目の前まで来た彼は、振り向き、困ったような声で言った。
「ぼくは勇者じゃありません。彼女が魔王じゃないように」
しかしその声は、見物人たちには届いていないようだった。
勇者は何と言ったんだ、と確認するように、皆が顔を見合わせていた。
「カ、カルル……君?」
「こんにちは、クリスさん」
カルル君は元の位置に顔を戻すと、私に微笑みかけた。次いで横に立つ処刑人の仲間に「ごめんね」と言うと、鋭い速度で放たれた拳を、腹に叩き込んだ。
「なっ!? ……っか、やろう」
不意をつかれた男は苦悶の声を上げながら、大地に倒れた。
突然のことに、どよめく兵士、どよめく人々。
片膝を着いた彼は、私の両手首を繋いでいた縄を素早く切った。手を取って私を立たせると、膝の辺りについた砂ぼこりを叩き落としてくれる。
「カルルくん……どうし――」
「カ、カルル殿!? 何をなされるおつもりですか?」
私の問いかけは、兵士の烈しい調子の詰問に、かき消される。
カルル君は目尻を和らげながら私をじっと見た後、私達を取り囲む兵士達に向き直った。腕を垂直に上げ、空を指差す。
その場に居合わせた人間は促されるように空を眺め、息を呑んだ。いつの間にか頭上には雷雲がたちこめ、雷を吐き出さんと暴れ狂っている。
「か、雷の勇者……カルル」
誰かがそう囁く声が聞こえた。
水を打ったように静まり返る広場。
「みなさん、危ないですよ。ここに雷を落とします。ぼくが持てる、最後の力で」
腕を下ろしながら勇者が忠告すると、兵士達は後ずさった。
雷雲に覆われた険しく暗い影が、その場の人々をすっぽりと包む。
「カルル君、あなた、どうして……」
私が再びそう尋ねると、彼は振り返り、困ったように笑いながら言った。
「勇者の力は、一度だけ雷を操る力を、ぼくに残してくれました。最愛の人を……守れるようにと」
一呼吸置いた後、印象的な眼差しが故に、繊細で、物悲しく見える表情でカルル君は続ける。
「ここに来るのに、迷わなかったと言えば、嘘になります。でも……もう、後悔はしたくないから。例え世界中の人間が、あなたはここで死ぬべきだと言っても、あなた自身がそう思っていても。僕はあなたを、助け出します」
言い終えた彼は私と視線を合わせ、子供みたいに顔を綻ばせた。丸い瞳の局面が、落日の瞬間の水平線のように、黄金に輝く。
「ねぇ、クリスさん」
そして――。
「ぼくと一緒に、生きてくれませんか?」
その瞬間、全身が痺れるような強い歓喜が、身の内から湧き上がるのを感じた。憧憬と恍惚に波立ちながら、私の全身を覆う。
「生きることに、どんな意味があるのか。やっぱり、ぼくには未だ分かりません。でも、今、生きているということ。それは多分、鳥は羽ばたくということ。風は吹くということ。川の水は絶えず流れ、人の手の温もりに……命を見つけること」
彼はそう言うと、少年から脱皮した男性の手で、私の両手を包んだ。
「生きることはとても辛く、苦しいです。嫉んだり、嫉まれたり、憎んだり、憎まれたり。でもそれが有りの儘の姿なんだと思います。きっと幸福もまた、無傷ではない。疑ってもいい、苦しんでもいい。それでも生きましょう。だって、あなたはまだ……」
カルル君の言葉が、ぽたりと、私の意識に静かに落ちた。
「生きて、いるんですから」
私は烈しい未来への衝動に、言葉を無くした。何かを言いたかったが、言葉はきっと不確かで……答える代りに、彼の手を握り返した。強く、強く。
笑みを深めるカルル君が、空を仰いだ。やがてゆっくりと、彼は口を動かす。
世界に向けて、さよならと言うように。
「雷よ、降り注げ」
爆音が大地に轟き、閃光が弾ける。広場の中央に雷が落ち、その場に居合わせた人は皆、本能的な恐怖に目を閉じた。
そして次に目を開けた時。
そこにはもう、心優しそうな顔をした、勇者と呼ばれた少年はいなかった。
光に照らされたような白さだけを、人々の目の奥と心の奥に残し、消えていた。
それと共に――。
魔王と呼ばれた女も。
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最終掲載日:2015/08/21 21:00
蜘蛛ですが、なにか?
勇者と魔王が争い続ける世界。勇者と魔王の壮絶な魔法は、世界を超えてとある高校の教室で爆発してしまう。その爆発で死んでしまった生徒たちは、異世界で転生することにな//
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最終掲載日:2015/08/23 17:16
公爵令嬢の嗜み
公爵令嬢に転生したものの、記憶を取り戻した時には既にエンディングを迎えてしまっていた…。私は婚約を破棄され、設定通りであれば教会に幽閉コース。私の明るい未来はど//
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最終掲載日:2015/08/01 18:54
火輪を抱いた少女
いつからここにいたのかはよく覚えていない。この糞みたいな場所で、私はいつも空を見上げていた。空に浮かぶ大きな大きな太陽。誰にでも優しく降り注ぐ暖かな日差し。も//
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最終掲載日:2015/02/15 12:11
Re:ゼロから始める異世界生活
突如、コンビニ帰りに異世界へ召喚されたひきこもり学生の菜月昴。知識も技術も武力もコミュ能力もない、ないない尽くしの凡人が、チートボーナスを与えられることもなく放//
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最終掲載日:2015/08/22 01:00
転生したらスライムだった件
突然路上で通り魔に刺されて死んでしまった、37歳のナイスガイ。意識が戻って自分の身体を確かめたら、スライムになっていた!
え?…え?何でスライムなんだよ!!!な//
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最終掲載日:2015/08/19 20:42
謙虚、堅実をモットーに生きております!
小学校お受験を控えたある日の事。私はここが前世に愛読していた少女マンガ『君は僕のdolce』の世界で、私はその中の登場人物になっている事に気が付いた。
私に割り//
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最終掲載日:2015/07/04 08:00
北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし
陽気な名ばかり貴族と、元軍人の年上妻の仮契約で結ばれた夫婦の雪国暮らし。身を切るような寒さの中で狩りをしたり、仕留めた獲物の解体作業をしたり、暖炉の火で料理をし//
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最終掲載日:2015/08/24 00:00
薬屋のひとりごと
薬草を取りに出かけたら、後宮の女官狩りに遭いました。
花街で薬師をやっていた猫猫は、そんなわけで雅なる場所で下女などやっている。現状に不満を抱きつつも、奉公が//
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最終掲載日:2015/06/28 13:33
勇者、或いは化物と呼ばれた少女
むかしむかし、あるところに平和に暮らしていた少女がいました。
ところが、突如として世界は闇につつまれ、血に飢えた魔物達が現れたのです。
女神様の神託に選ばれた少//
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最終掲載日:2013/10/19 02:25
八男って、それはないでしょう!
平凡な若手商社員である一宮信吾二十五歳は、明日も仕事だと思いながらベッドに入る。だが、目が覚めるとそこは自宅マンションの寝室ではなくて……。僻地に領地を持つ貧乏//
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最終掲載日:2015/08/16 00:24
その無限の先へ
いつ、どんな形で死んだのかは分からない。
前世の記憶を抱えたまま転生した先で待っていたのは、ゲーム的なシステムを持ちながら、あまりに現実的で過酷な日常だった。
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最終掲載日:2015/08/21 21:59
骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中
オンラインゲームのプレイ中に寝落ちした主人公。
しかし、気付いた時には見知らぬ異世界にゲームキャラの恰好で放り出されていた。装備していた最強クラスの武器防具//
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最終掲載日:2015/08/10 18:00
無職転生 - 異世界行ったら本気だす -
34歳職歴無し住所不定無職童貞のニートは、ある日家を追い出され、人生を後悔している間にトラックに轢かれて死んでしまう。目覚めた時、彼は赤ん坊になっていた。どうや//
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最終掲載日:2015/04/03 23:00
邪神アベレージ
立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花、そして目を合わせれば恐怖の大王。
絶世の美少女の素質を持ちながらも、その目付きと気配から周囲に恐怖される少女が異世界に強制//
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最終掲載日:2015/08/17 23:00
夜伽の国の月光姫
とある小国にアルエという美しい王女がいました。けれど、この国には隠されたもう一人の美姫、第二王女のセレネという少女も居たのです。セレネは、その異質さにより忌み子//
- 65 user
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最終掲載日:2015/08/09 00:46
賢者の弟子を名乗る賢者
仮想空間に構築された世界の一つ。鑑(かがみ)は、その世界で九賢者という術士の最高位に座していた。
ある日、徹夜の疲れから仮想空間の中で眠ってしまう。そして目を覚//
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最終掲載日:2015/08/18 12:19
死神を食べた少女
死神を食べたらどうなるんだろう。
私には良く分からない。分かるのはたった一つ。
お腹がすいた。
だから、こいつらの首を持って偉い人に届けよう。
きっと美味しい物//
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最終掲載日:2012/12/23 22:58
蘇りの魔王
勇者に討たれ、その命を失ったはずの魔王ルルスリア=ノルド。
彼にはやり残したこと、解決できなかった問題がいくつもあったが、悪は滅びると言うお題目に従い、消滅した//
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最終掲載日:2015/07/29 18:00
リビティウム皇国のブタクサ姫
リビティウム皇国のオーランシュ辺境伯にはシルティアーナ姫という、それはそれは……醜く性格の悪いお姫様がいました。『リビティウム皇国のブタクサ姫』と嘲笑される彼女//
- 64 user
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最終掲載日:2015/07/13 21:32
辺境の老騎士
大陸東部辺境のテルシア家に長年仕えた一人の騎士。老いて衰え、この世を去る日も遠くないと悟った彼は、主家に引退を願い出、財産を返上して旅に出た。珍しい風景と食べ物//
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最終掲載日:2014/07/13 00:00
ログ・ホライズン
MMORPG〈エルダー・テイル〉をプレイしていたプレイヤーは、ある日世界規模で、ゲームの舞台と酷似した異世界に転移してしまった。その数は日本では約三万人。各々が//
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最終掲載日:2015/08/19 19:00
北の砦にて
前世は日本人女子。今世は雪の精霊の子ギツネ。そんな主人公と、北の砦の屈強な騎士たちとのほのぼの交流譚。【2015/3/9・宝島社様より書籍版発売】
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最終掲載日:2014/08/03 15:18
最果てのパラディン
かつて滅びた死者の街。
そこには1人の子供と、3人の不死なる者たちが存在した。
かつて英雄であった不死者たちに養育される少年、ウィル。
技を継ぎ、知識を継ぎ//
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最終掲載日:2015/08/23 22:07
堕落の王
気がついたら異世界に転生していた。
寝ていたらいつの間にか望んでもないのに魔王になった。
働かなくていいなんてこの世界、最高じゃないか。きっと日頃の行いがよかっ//
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最終掲載日:2015/07/21 00:42
異世界食堂
しばらく不定期連載にします。活動自体は続ける予定です。
洋食のねこや。
オフィス街に程近いちんけな商店街の一角にある、雑居ビルの地下1階。
午前11時から15//
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最終掲載日:2015/08/15 07:49
用務員さんは勇者じゃありませんので
部分的学園異世界召喚ですが、主役は用務員さんです。
魔法学園のとある天才少女に、偶然、数十名の生徒・教師ごと召喚されてしまいます。
その際、得られる力をとある生//
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最終掲載日:2015/07/28 23:11