挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
彼方への鎮魂歌《レクイエム》 作者:入堂 甘露

一章 愚者の求道

1/106

ぷろろーぐ

走る。走る。ただ走る。
狭く、入り組み、薄暗い路地を。

ーー何故だ、なんでこうなった。

男は自問しながらも、足を止められなかった。
何か、肉の塊の様な物を踏んだかもしれない。
柔らかくブヨブヨとした物を踏んだのは確かだ。
捕まれば殺される。逃げれば、逃げれば生きられる。
男は分かっていなかった。この街では、逃げることはできない。
確かに、人が山の様にいるのだ捕まえるのは大変だろう。
所々に酔っ払いや物乞いがいる。
男も、そんな連中と変わらないような格好だ。
しかし、男は知らない。
男は蜘蛛の巣に、蜘蛛の糸に囚われている。
逃げることなどあり得ない。
罪の全てをその身で受ける。考えただけでゾッとする。
自分は、何をした?娼婦を買って、金が足りず逃げ出したのだ。
たったそれだけ、よくあることだ。
男は、運が無かった。逃げ出した店が悪かったのだ。
いつもの安い娼婦で我慢していればよかったのだ。
よりにも寄って、敵に回してはいけない男の経営する店の一つで代金を踏み倒した。
酒の勢いもあっただろう。
欲を出した。
賭場でうまくいったので財布は、寂しく無かった。
だから、今日くらいは質の良い、高い女で嫌なことを忘れて、妻や子供にいい食い物でも食わせてやろうかと思っていた。
まず、妻と子供がいるのに娼婦で溜まったものを発散するところから、間違っていたのだ。
財布をすられたのに気が付かなかった。それから男の計画は崩れ落ちた。
娼婦で悦楽を貪り尽くした後、そうだ失敗したんだ。
あともう少しで家に着くそう思った直後に首筋にとんでもなく強い衝撃。
男の意識は、途切れた。




どれくらい寝ていただろう。
時間もわからず、意識が朦朧とする。
前後左右の感覚も曖昧で、体も動かしづらい。

「おい、起きろ。」

頭から水を掛けられ意識が覚醒する。

「ここは・・・・・何処だ?」

男が顔を上げると、真っ赤な壁が目に入る。
見渡してみると、十五歳ほどの長い赤毛の少女と赤褐色の肌にドレッドヘアーの三十代に見える偉丈夫だった。
隣の女の子は雪のような白い肌だったので、隣の偉丈夫と並ぶと泥と純白の雪のようだった。
他の場所へと目を向けようとすると、縛り付けられているの知ってか知らずか、椅子のバランスが崩れ、床と唇がキスをした。

「いっ!」

部屋に、音が響く。さっきまで談笑していた少女と偉丈夫は男の方へスタスタと歩み寄った。
男が起き上がれないのを悟ると、椅子を立てて男と向き合う。そして、ぷっくりとした唇が開く。

「おじさん、大丈夫?」

男は、コクコクと頷く。

「よかった。死なれたら困るからね」

少女の目的は男の状態の確認だったのか、それだけ聞くと偉丈夫のもとに駆け寄り耳打ちをする。
すると、次は偉丈夫の方がやってくる。偉丈夫は男に歩み寄ると、破顔し軽い口調で話しかけてくる。

「なんで来たかは知っとるか?なら良し、リーダーくるまではなんもせんから、ゆっくりしとき。おい、ミーナ飯食いに行くぞ〜」

偉丈夫がそう言うと、ミーナと呼ばれた赤毛の少女は嬉しそうに目を輝かせる。

「やった〜。さすが、ザミル。よし行こう、今行こう」

「いいけど、食い過ぎると、リーダーに嫌われるぞ。」

「 リーダーは、たくさん食べる君が好きって言ってたから大丈夫」

言ってた気がする(、、、、、、、、)の間違いやろ。まぁ、ええ。行くぞ。じゃあのおっさんまた会えたら飯奢ったるよ。」

「じゃあね〜。」

そう言うと、偉丈夫と少女はドアの向こうに消えていく。
今だ逃げられそうにない。
分かったことは、赤毛の少女はミーナという名前で、偉丈夫はザミルという名前があるということだけだった。
始めての投稿なのでお手柔らかにお願いします。
パワポケと、light社のゲームが大好きな
きつめの変態です。
よろしくお願いします。
〈p〉〈/p〉 なろう特殊ランキング http://yomou.syosetu.com/rank/list/type/daily_total/ 小説家になろう 勝手にランキング←もし面白ければ、ここをクリックしてください
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。

Ads by i-mobile

↑ページトップへ