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【学習効果促進剤、モダフィニルに効果あり】

8月20日・英オックスフォード大:

モダフィニルはナルコレプシーなどによる過度の眠気に対して処方される覚醒促進剤だが、国によっては学生が学習効果向上を目的として使用する場合もあるという。その効果に関しては賛否両論あり、概ね肯定的な2008年の総説がある一方で、最近では否定的な論文も発表されている。今回1990年から2014年までに偽薬制御下で健常者総勢700名以上に対して、立案能力、決定能力、学習能力、思考の柔軟性、記憶力、創造性など広範囲な認知能力をテストした24の研究例を詳細に検討した結果、モダフィニルは立案決定能力と呼ばれる、得られた情報から最適な計画を決定立案する能力の向上に一定の効果があったと報告している。一方、わずかながら、集中力、学習能力、記憶力の向上にも効果があったものの、創造性や思考の柔軟性、作業記憶の向上にはほとんど効果がなかったようだ。さらに報告では、モダフィニルに副作用がほとんどないことから、安全で効果の立証された初の学習効果促進剤として有望ではないかとしており、今後議論を呼びそうだ。将来は入学入社試験の後にドーピング検査を行う時代になるのかもしれない。ちなみに日本でモダフィニルは、2006年に第一種向精神薬に指定されたため、麻薬取締法により厳しく規制されている。

R.M. Battleday, A-K. Brem. Modafinil for cognitive neuroenhancement in healthy non-sleep-deprived subjects: a systematic review. European Neuropsychopharmacology, 20 August 2015 DOI: doi:10.1016/j.euroneuro.2015.07.028