印南敦史 - スタディ,健康,書評,病気,食生活 06:30 AM
アトピーにはハーブと断食が効果的? 痒みを治癒する方法とは
子ども、もしくはご自身のアトピーでお悩みの方におすすめしたいのが、『親が知らないから、子供がアトピーになる』(康願健一著、セルバ出版)。食事、育児、風邪薬、温泉などについて触れ、「日常生活でなにをすればアトピーが抑えられるのか」をわかりやすく解説しています。
日本のアトピー事情、治らない原因、避けるべきもの、治った人の証言など、さまざまな角度からのアプローチがなされているところが特徴。きょうは、すぐに治したい人のために治療法の核心を紹介しているという第5章「痒みを根本から薬草と断食で簡単にやっつける<治癒編>」からいくつかを引き出してみたいと思います。
お風呂で石鹸を使ってはならない
アトピーを早く治すためには、石鹸、ボディーソープの使用は避けるべき。アトピー性皮膚炎になっている部分は皮膚が破壊されており、切り傷と同じように修復中の状態。そんな箇所を石鹸やボディーソープで洗うと、修復中の部分が溶け、さらに修復に時間がかかってしまうのだそうです。では、皮膚を破壊せずに皮膚を清潔に保つためにはどうしたらいいのでしょうか? このことについて、著者は3つの方法を紹介しています。
お風呂でシャワーを浴びる際は水道水を使わない(158ページより)
水道水にはカルキ(塩素)が含まれており、これが修復中の皮膚をダメにする原因。そこでシャワーヘッドを、塩素を取り除くけるものに取り替えるべきだといいます。
浴槽には「十薬(ドクダミ)」を入れる(158ページより)
浴槽に入れるハーブとして著者がおすすめしているのは、十薬(ドクダミ)。浴槽に20~50gほど入れ、入浴剤と同じように使用すればいいそうです。ただ、そのまま入れると茶渋がついたように浴槽が汚れるので、ガーゼなどに包んでから浴槽に入れるといいのだとか。
こうすることにより菌の繁殖を防ぐことができるため、お風呂上りに痒さに悩まされずに済むそうです。ちなみに使うのは、「ドクダミ茶」ではなくドクダミの葉そのもの。ドクダミ茶を使用しても効果はないというので注意が必要です。
米ぬかを使用する(159ページより)
アトピーの人は石鹸やボディーソープの代わりに、お米を精製したときに出る「米ぬか」がおすすめだと著者。ガーゼで包んで、それで肌を洗えばいいわけです。なぜなら米ぬかのなかには、皮膚の増殖と保護を助ける善玉菌が入っているから。これは健康な人の皮膚の表面にあるブドウ球菌と同じように、外からの悪い菌の侵入を防ぐ働きをしてくれるのだといいます。
また、皮膚の汚れた部分を落とし、さらに失われた油分を補ってもくれるとか。修復中の皮膚を傷めずに回復を早めてくれるので、いいことずくめだというわけです。ただし繰り返し使用すると、すぐにカビが生えてくるので、できれば毎回新しいものと取り替えたいところ。
髪の毛は、頭皮までひどく悪化していないなら、普通のシャンプーを使っても大丈夫。とはいえ、肌にシャンプーがかからないように気をつけて洗うことが大切。もしも頭皮の部分まで炎症が起きているなら、できるだけ皮膚を傷めないように気をつけながら、重曹で頭を洗うといいそうです。(156ページより)
朝と夕にはハーブのお粥で改善
健康な人の皮膚の最上部は、0.0005㎜の暑さの皮膚膜で覆われており、PHが11~12の石鹸でからだを洗っても15分以内にPH6前後の弱酸性に戻ります。ところがアトピーの人の皮膚は汗腺が壊されていたりするため、いつまでもPHは10前後のアルカリ性のまま。そのため痒みの原因となる黄色ブドウ球菌や白癬菌が増加し、痒みが増すのです。
ところで皮膚膜の下には、0.2㎜の厚さの皮膚細胞が10~20層連なっているのだそうです。そのいちばん深いところにある層(基底層)がその下の真皮と接しており、さかんに細胞分裂を繰り返しているということ。この基底層から新しい細胞が上がってきて、子どもなら3週間、大人であれば4~5週間で垢として剥がれていくわけです。そして、この速度を早めるハーブが薏苡仁(よくいにん)。ハトムギの茶色い皮を剥いたら出てくる白い中身です。これは漢方薬の処方の生薬の材料として皮膚の病気によく使われていて、さまざまな効果をもたらしてくれるといいます。ただし市販のヨクイニンの錠剤は製造から年月が経っているため酸化しており、効果が望めないそうです。(161ページより)
断食で身体をリセット
腸内細菌には毎日の食事と大きな関係があるため、腸内細菌を変えることでからだを改善することができるといいます。もっとも早い方法は断食。3週間くらい行うと、からだ全体に大きな変化が見えてくるそうです。まず最初は、1日だけの断食にトライ。口にできるのは水だけですが、逆に水は充分に飲むこと。接種する水分が少ないと、脱水症状になってしまうからです。そして3日まできれば、次は1週間~10日に挑戦。10日間できれば、3週間に挑戦することも可能。
断食は3日目あたりがもっともきつく、4日目からはいくらでも続けられそうだと感じるのだとか。なお断食に入る前に肉を多く食べていると、最後に食べたものの便が出るまでかなりつらくなるため、始める前の数日は動物性の食品をあまり摂らない野菜中心の食事を心がけるといいそうです。手本にすべきは昔の日本人の和食。糖分の入っていない炭水化物を中心に食べるということです。
そして10日間の断食が終わったら、ゆっくりと元の食事へ。それを1週間くらいかけて行うのがポイントで、一気に戻すとおなかが痛くなったり、便が出なくなったりするといいます。肉類、油類は、完全に復食が終わってから。
復食とは、通常の食事に戻すこと。重湯からはじめて3分粥、5分粥、7分粥、普通のおかゆと、10日間くらいかけてゆっくりと戻していく方法です。復食に失敗すると、健康を完全に壊す場合もあるそうなので注意。途中で復食をやめたり、一気に食べたりしてリバウンドしないように気をつける必要があるということです。
この段階で、腸内は善玉菌が多い状態に。そこで、野菜中心の生活を長く続け、食生活を変えることが大切。もとの痒みに戻らないためには、そのまま粗食の生活を続け、肉類や油類、甘いものなどはたまに食べるようにすると、アトピーに戻ることはないといいます。(164ページより)
他にもすぐに役立てることのできる実践的な方法が多く紹介されているので、アトピーをなんとかしたいと思っている人は読んでみてはいかがでしょうか?
(印南敦史)
- 親が知らないから、子供がアトピーになる
- 康願 健一セルバ出版