離婚して2人の子と老母を抱えるシハム・パラ・ムジャ・ジェタウィさん(32)は、パレスチナ北部ジェニン州で初の女性ビデオカメラマンだ。卒業式や家族パーティーなどのイベントで映像を撮影・編集し、月5000シェケル(約16万3000円)を稼いでいる。上級公務員の給料は約3000シェケル(約9万8000円)だ。ジェタウィさんは2012年に救援機関「韓国ワールドビジョン」の支援で145時間にわたるビデオ撮影教育を受けた。「女性がカメラを持ち歩いてお金を稼ぐなんて10年前には想像もしていなかったが、今は人にうらやまれる映像専門家になった」と話す。
パレスチナ人は韓国人を隣人のように感じている。ワールド・ビジョンのマネージャー、アシュラフ・イサイェドさん(32)はサムスン電子のスマートフォン(多機能携帯電話端末)を持ち、起亜自動車のスポーツタイプ多目的車(SUV)に乗って、韓国人後援者たちの寄付金が貧しい人々に使われるよう奔走している。イサイェドさんは「私は韓国と切っても切れない人」と言って笑った。
パレスチナの指導層でも韓国から学ぼうという熱気が感じられる。6月15日に臨時首都ラマラで開かれた第1回韓・パレスチナ共同経済セミナー(対外経済政策研究院・檀国大学主催)には、教授・官僚ら現地の知識人約70人が集まり、主要日刊紙が大きく報じた。副首相兼経済相を務めたモハメド・ムスタファ・パレスチナ投資ファンド会長は基調講演で「韓国発展の秘訣(ひけつ)を学ばなければならない。人的資源を立派に育てるシステムにも注目すべきだ」と語った。韓国がどのような過程を経て世界第5位の自動車生産国になったのかについて、出席者たちは対外経済政策研究院イ・グォンヒョン中東チーム長の説明に耳を傾けた。