「2週間前、夫が理由もなくイスラエル軍に連れていかれた」とある女性は語った。そのように連行されたのは2回目で、いつでもあり得ることだ、というように淡々としていた。6月3日、パレスチナ最北端に位置するジェニン州ジャバ村の、とある美容室にて。あどけない顔をしたラマ・マライシンさん(28)は「それでも韓国のお陰で、自分でお金を稼ぐ能力が付き、3人の子どもを育てながら耐えることができる」と語った。
マライシンさんは2年前、韓国の市民団体「ワールドビジョン」のあっせんで美容技術を学んだ。その後、美容室を構え、地道に経営している。教師だった夫の月給の3倍程度に当たる月5000シェケル(約16万3000円)を稼ぐ。失業率が26%、住民1人当たりの国内総生産(GDP)が3016ドル(約37万4000円)にすぎないパレスチナでは相当な高所得者だ。マライシンさんは「昔は衛星放送で韓国ドラマを見ると、韓国のことがひたすらうらやましかったが、今では韓国の人々がどうやって豊かに暮らせるようになったのか気になる」と語った。
銃に実弾を装填(そうてん)したイスラエル兵が通りを随時パトロールしている準戦時下のパレスチナで、韓国は「特別な国」だ。国土が小さく、内戦を経験したということから、格別な共通点を感じている。同じ背景を持ち、急速に発展した韓国こそ「ロールモデル(手本)」だというコンセンサスが形成されている。
韓国を学ぼうという熱気は、韓国政府が360万ドル(約4億5000万円)を投じ昨年12月に臨時首都ラマラの近郊に開校したクフルニマ技術高等学校が保護者・生徒の高い関心を集めているところからもうかがえる。ユセフ・シュケイア校長は「新設校だが、韓国の最新機材を備え、韓国式の教育課程が反映されたカリキュラムを運営しているため、入学希望者が多い」と語った。コンピューター・電気などIT関連4学科で新入生120人が学んでいる。
クフルニマ技術高校の運営には、仁川の静石航空科学高校が参加したというところに意味がある。静石航空科学高校は、設立初期の1960年代にドイツの支援を受けた。援助を受けて建てられた学校が、今では援助に乗り出したというわけだ。静石航空科学高校は昨年8月、開校を控えたクフルニマ技術高校の教師を韓国に招き、学校運営の要領を伝えた。