【コラム】韓国経済の課題を解決する「災い」

【コラム】韓国経済の課題を解決する「災い」

 最近の韓国では輸出で黒字を計上するのが当然だと考えられているが、アジア通貨危機より前は、韓国は慢性的な赤字国だった。1980年からアジア通貨危機が発生した1997年までの18年間に、貿易収支は13回も赤字を記録した。この期間の累積赤字額は483億ドルに達した。貿易収支で黒字を計上し始めたのは1998年からだ。その後17年にわたり、連続して黒字を記録し、総額6191億ドルを稼いだ。アジア通貨危機によってどんな「魔法」がかけられ、なぜ慢性的な赤字国が黒字国に変わったのだろうか。

 当時、国際通貨基金(IMF)の専務理事を務めていたミシェル・カムドシュ氏は「アジア通貨危機は韓国にとって『変装した祝福(Disguised blessing、災い転じて福となす)』だったといえる」と述べた。その後の韓国経済の「成績票」には、実際に「祝福」という面が表れていた。「祝福」をもたらしたのは、ウォンの切り下げと構造改革だ。1990年代、ウォンの対ドル相場は1ドル=700-800ウォンだったが、アジア通貨危機の後は、債権団がウォン安政策を容認したおかげで1ドル1100-1200ウォン台のウォン安となった。輸出競争力を取り戻した韓国の各企業は、IMFの強要した負債比率引き下げ、財閥間のビッグディールなど構造改革を進めた結果、体質まで改善され、活況を呈した。サムスン電子、現代自動車などは世界的な大企業に成長するための足掛かりを築き、生き残った銀行は規模を拡大して兆単位の利益を上げ始めた。外国人に対する投資の制限が撤廃されると、韓国の株式市場にはドルが大量に流入した。輸出で稼いだドルと外国人の投資金により、韓国銀行(中央銀行)の金庫には3700億ドルもの非常金が集まった。

 このところ世界の厄介者になっているギリシャは、ほぼ同じ時期に韓国とは正反対の路線を歩んだ。ギリシャは2001年に自国通貨を捨ててユーロ導入の道を選んだ。当時はこれが「祝福」と思われたが結局は「災い」となった。自国の体力よりも強い通貨は、初めはギリシャにとって甘い蜜だった。ユーロ圏(ユーロを使用する19カ国)加入後、年20%台で推移していた金利が3%台まで急落すると、人々は先を争うように金を借り、家を買うなどして金を使いまくった。しかし景気が高揚すると物価は急騰し、人件費も高騰して輸出競争力の足を引っ張った。その結果が、国のデフォルト(債務不履行)という危機だった。

金洪秀(キム・ホンス)経済部次長
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 【コラム】韓国経済の課題を解決する「災い」

right

関連ニュース