難民:欧州へ、うねり止まらず…マケドニアで警官隊と衝突
毎日新聞 2015年08月23日 20時50分(最終更新 08月23日 23時26分)
【ウィーン坂口裕彦】中東やアフリカから経済的により恵まれた西欧諸国での難民申請を目指す人々のうねりが止まらない。バルカン半島のマケドニアでシリアなどからの難民や不法移民がギリシャ側からの越境を強行して警官隊と衝突し、負傷者が出た。地中海でもリビアなどから欧州を目指す密航者が後を絶たず、「経由地」となっている国々の緊張感は高まるばかりだ。
難民らが人口約210万人のマケドニアを経由し、西欧諸国を目指す動きは今春から急増しており、マケドニア政府は20日、「国家非常事態」を宣言した。軍や警察の機動隊を投入してギリシャ国境を事実上封鎖し、難民らを阻止する構えだった。21日には殺到する人々に催涙弾を発射し、負傷者を出しながら鎮圧した。
しかし、22日に人々が殺到すると、子どもを連れた集団を小さなグループに分けて越境を許可。そのすきにその他の人々が越境を図り、催涙弾を発射する警察ともみ合いになった。現場は大混乱に陥り、少なくとも25人が負傷して近くのゲブゲリア駅に搬送された。
ロイター通信によると、23日は数百人が制止されることなく、ギリシャからマケドニアへの越境に成功している。現時点では当局が混乱を回避するため、越境を容認しているとみられる。だが、難民らが殺到して封鎖に踏み切れば、再び緊迫する可能性もある。
マケドニア入りした人々は、列車などでセルビア方面へと北上。大半は欧州連合(EU)の「玄関口」となるハンガリーを経て、ドイツなどを目指すとみられる。ハンガリー政府はセルビアとの国境(約175キロ)に今月末をめどに越境防止フェンス(高さ4メートル)を完成させる予定だ。