中国工場爆発:「安全は大丈夫か」戦勝式典控え高まる不安
毎日新聞 2015年08月23日 01時17分(最終更新 08月23日 01時26分)
【北京・西岡省二】「今の中国、安全は本当に大丈夫か」。中国山東省淄博(しはく)市桓台県の化学工場で22日午後8時50分(日本時間同9時50分)ごろに起きた大規模爆発の一報が、瞬く間に駆け巡り、国内を不安に陥れた。天津の大規模爆発は発生から10日が過ぎても全容は明らかにされていない。この日から、北京中心部では戦勝70年記念式典の予行演習が開かれているが、「行事よりも国の安全」を求める声が高まっている。
爆発発生を伝える中国版ツイッター「微博」上の写真では、化学工場から大きな爆発の炎が上がっている様子が見て取れる。別の写真では、暗くなった上空に、白い煙が立ち込める状況が撮影されている。
中国メディアで報じられた現地住民の話を総合すると、爆発音は2度あり、5キロ圏内で揺れを感じたという。住民の中には「巨大な火の玉が見えた」との証言もある。
無色の油状液体に引火して爆発したという話もある。現場付近では火の勢いは収まってきているという。ただ、家屋などの窓ガラスが割れ、有毒な気体が出ている。
22日深夜時点では、死傷者数は不明。負傷者4人が搬送された病院スタッフの証言では、いずれも生命の危険はないという。
爆発が発生した化学工場は最近、建設されたとみられ、生産準備段階という。
天津に次ぐ大爆発の発生で、習近平指導部は試練に立たされている。この日は北京での世界陸上が開幕、平和の祭典の開催により、国際社会に中国国内の安定をアピールしたばかりだった。戦勝記念式典の予行演習も最終段階に入っている。
ある北京市民は「天津の爆発の原因が解明されないうちに次の発生が起きてしまった。中国が国際社会から注目を集める行事が相次ぐ中で起きているので、次も何か起きてしまうのではないか、不安で仕方がない」と話している。