株:世界株安止まらず 中国懸念、市場パニック

毎日新聞 2015年08月22日 23時39分(最終更新 08月23日 00時06分)

21日の世界主要市場の株価下落率
21日の世界主要市場の株価下落率

 21日の世界の株式市場は大荒れの展開となり、ニューヨークでダウ工業株30種平均の下落幅が530ドルを超えるなど各国で株価が急落した。原油価格も下落に歯止めがかからず、ニューヨークの原油先物相場が6年半ぶりに一時1バレル=40ドルを割り込んだ。中国経済の減速懸念で市場に激震が走っており、株価や原油下落の連鎖が止まらない状況だ。週明けの東京市場はさらに株価が下落するとの予想が多く、投資家らの不安は高まる一方だ。

 「売られすぎだ。世界市場がパニックになっている」。「まさかダウ平均が500ドルも下がるとは」。21日の世界同時株安は市場関係者の想定を超え、大きな衝撃を与えた。

 東京市場では日経平均株価が、前日比597円69銭(2.98%)安の1万9435円83銭まで下落。ニューヨーク市場のダウ平均は、530.94ドル(3.12%)安の1万6459.75ドルと、約10カ月ぶりの水準まで下落した。連鎖株安の震源地である中国株式市場の上海総合指数が4.27%値下がりしたのをはじめ、アジア各国や欧州諸国も軒並み株価が下落した。また、同日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物市場では、代表的指標の米国産標準油種(WTI)の10月渡しが一時1バレル=39.86ドルまで値を下げた。

 世界市場が異変をきたしているのは、2008年のリーマン・ショック後の世界経済の回復をけん引していた中国の景気減速懸念が急速に高まっているためだ。投資家たちは一斉に変動リスクが高い株式や原油市場から、より安全とされる債券や金などにお金を移している。中国当局は株価下支え策や、輸出促進策とみられる人民元の切り下げなどの対応を取っているが「世界的な外需低迷で、輸出は楽観できる状況ではない」(中国商務省の沈丹陽報道官)と、状況は厳しい。

 このため、週明けの世界市場について楽観的見方は少ない。みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは「週明けの日経平均株価は1万9000円割れでスタートし、その後も非常に不安定な状態が続く」とみている。また、原油についても「リーマン・ショック後の最安値の32.4ドルを下回る水準まで下落が続く恐れがある」(米アナリスト)との見方が出ている。

 市場の混乱が続けば、米国の景気回復を背景とした米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ判断に影響を及ぼす可能性がある。市場では「FRBが9月にも利上げに踏み切る」との早期利上げ観測がすでに後退。米国の金利が上がるとの前提でドル買い・円売りが進んでいた外国為替市場では、当面は変化がないとの見方からドルを売って円を買い戻す動きが強まり、21日の海外市場で円相場は一時1ドル=121円台まで上昇し、約1カ月半ぶりの高値となった。

 日本企業は円安効果を受けて業績を改善してきたが、市場の混乱に加え、過度に円高が進めば輸出企業を中心に打撃を受ける可能性があり、「日本経済の先行きにも暗雲が広がる」(証券アナリスト)との懸念の声も出ている。【中井正裕、鈴木一也】

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