画:中川淳一郎
それにしても、堀北真希である。長渕剛の富士山オールナイトライブ、長州力のオールナイトニッポン、DAIGOのマラソンと話題の多い週末だったが、彼女と山本耕史との結婚のニュースはすべてを持っていってしまった。
というか、テレビをあまり見ないし、仕事以外で顔と名前を覚えるのが苦手な人なので、二人とも誰だか分からなかったくらい、芸能界とかスポーツ界のことは分からないのだが。
昔は二枚目俳優を目指していたこともある、イケメンだったのだけどな。
V系のボーカルだったこともあるけどな。
というわけで、芸能の世界に行くことは興味があったのだけどな。
それはそうと本題。この手の芸能人の結婚報道があるたびに、気になっていることがある。それは「◯◯さんは妊娠はしていない」という表記だ。リンク先の記事でも、こんな風に表記されている。
複数の関係者によれば、「嵐が丘」公演が終わった6月から結婚を前提とした交際をスタート。今月上旬から同居を始め、この日に関係者が東京都内の区役所に婚姻届を提出した。堀北は妊娠しておらず、結婚後も2人は仕事を続ける。
もちろん、この一文は事実を伝えようという記事としては、要素を抑えているし、機能している。「出会いのキッカケ」「交際期間」「入籍や挙式の日程」「妊娠の有無」「今後の仕事について」「(この記事にはないが)離婚歴」「(やはりこの記事にはないが)これまでのパートナーとの間に生まれた子供と同居するか」などが表記される。
報道だから、客観的事実はおさえようとするし、読者の知りたいことでもあるだろう。ただ、「妊娠の有無」については、率直に違和感があるというか。不愉快ですらあるのだ。興味関心、そこか、と。そして、当事者、読者への配慮はあるのだろうか、と。
芸能人の結婚報道で
「◯◯さんは妊娠していません」
って書かれるようになったのっていつからかな。
いや、デキ婚がかなりの割合をしめる時代だけど、こういうのってプライバシーなわけで時代にあっているのか、逆行しているのか
— 常見陽平(つねみようへい) (@yoheitsunemi) 2015, 8月 22
そんなことをTwitterでつぶやいたら、結構な数、リツイートされた。何人かとはTwitterで意見のやりとりをした。最近、Twitterが殺伐としていたから、なんか癒やされたぞ。流儀が噛み合わない人もいたり、な。そんな全員のメンションに返信できるかって。そんな中、建設的な意見交換ができて、いやあ、ソーシャルメディアって集合知を実現する素晴らしいツールですね!なんて梅田望夫風のことは言わないぞ。
話を戻すと・・・。
本当、この表記、いつからだろう。2010年代に入ってからだと思う。00年代にはあまり見なかったような。ついでにいうと、スポーツ新聞などを中心とした表現のように思う。日経の電子版で芸能人の結婚ニュースをいくつか検索してみたが、見かけなかった。Googleなどで過去のニュースを検索してみたが、ニュースのログは意外に残っておらず、いつから始まったのかは特定できなかった。網羅的に調べたわけではないが。
たしかに、交際→婚約→結婚→妊娠→出産という順番やその間隔が、変わりつつある時代ではある。ぶっちゃけた言葉で言うならばいわゆる「できちゃった結婚」「デキ婚」が一定の割合を占めている。いや、「デキ婚」というのは、やや下品な、下世話な表現である。これに対するマイナスイメージを緩和するために、結婚情報誌などの仕掛けもあり、「ダブルハッピー」「授かり婚」「おめでた婚」などの言葉も定着してきたのだが。そして、リーマン・ショックや東日本大震災などをキッカケに、結婚式・披露宴では家族が打ち出され、親も一緒にケーキカットするなどの光景の他、子連れ結婚式・披露宴も増えたとか。
芸能界においても、なんせ97年の安室奈美恵とサムの結婚が、できちゃった結婚だったことが話題となった。こんな若い歌姫が音楽業界同士で結婚で、しかも子供までいるのか、と。まあ、色々あったわけだけど。
だから、結婚の発表があるなら、妊娠しているのかどうかも気になるのだろう。
たしかに「できちゃった結婚」「デキ婚」は一定の割合を占めている。
データを見てみよう。厚労省は過去に6回、毎年公表している人口動態統計をもとに、出生の動向について時系列分析、コーホート分析など多面的に分析を行い、発表している。この中で、いわゆる「デキ婚」に関するデータも公開している。少し前のデータだが、たとえば平成22年度「出生に関する統計」がそうだ。いわゆる「デキ婚」は「結婚期間が妊娠期間より短い出生」として調べられている。
詳しい定義、調べ方などはリンク先を見てもらいたいが・・・結婚期間が妊娠期間より短い出生の嫡出第1子に占める割合(標準化後 詳しくはリンク先を参照)は、近年横ばいで推移していて、平成21年においては25.3%だった。
なお、近年「増えている」わけではなく、平成7年から14年にかけて年々増加していたものの、それ以降は減少に転じ、その後は横ばいだ。平成7年の段階でも既に18.0%だった(標準化後の割合)。長期で比較すると、第1子出生までの結婚期間別の出生構成割合は変化している。
端折って言うと、昭和の後期よりも平成に入ってからの方が、いわゆるデキ婚が増えているが、その後は横ばい状態ということだ。
なお、母の年齢階級別にみると、平成21年の段階では「15~19歳」で8割、「20~24歳」で6割、「25~29歳」で2割、30歳以降で1割となっており、年齢層が若くなるほど高くなっている。これもまた、各年齢層で増えてきたが、この調査を行われた頃では横ばい傾向である。
都道府県別に見ると標準化後のデータでは沖縄県の38.2%、佐賀県の33.3%、青森県の32.4%などが高い。
このような割合であるので、第一子を妊娠してからの結婚が一定の割合いるからこそ、その点について聞きたくなるというのもあるだろう。
とはいえ、記事のメインではないにしろ、ここに注目するのはいかがなものだろうか。もちろん、すでにご懐妊の場合はポジティブに伝えるというのはアリだが、「妊娠していない」の表記は、新郎新婦や読者への配慮がないのではないかと私は考える。
下世話な関心というのもそうだが、もう一つは「不妊」の問題も関係している。世の中には子供を授からずに悩んでいる人は一定数いるのは明らかだ。「子供はまだなの?」とか「お子さんは?」という質問は、以前は無害な社交辞令だったが、今では時に相手を傷つけ、不愉快にする表現である。晩婚化・非婚化の傾向は顕著で、故に子供を授からずに悩んでいる人、傷ついている人はいるわけで。子連れ夫婦を見るだけで、幸せそうだなと思いつつ、悩んでいる夫婦だっているわけだ。そして、いつまで子供を授かることに期待をかけるのかというのは、30代後半~40代前半の夫婦の悩みである。
だから、この「妊娠していない」という表現は、単に下世話な意味ではなく、仮にその芸能人カップルが子供を授からずに悩んでいるのならその当事者たちを、そして子供を授からずに悩んでいる読者を傷つける表現だと思うのだ。
「若き老害」を名乗る割には、あまり揚げ足取りや、言葉狩りをしたくない人なのだが、この「◯◯さんは妊娠していない」という表記で傷ついている人がいることを、私は問題提起したい。
さて、この表記いつから始まったんだろう。いつ終わってくれるのだろう。やれやれだぜ。
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