「きょうの健康」です。
今日のテーマは「早く気づいて増える子どもの拒食症」です。
まずはこちらをご覧下さい。
優等生で努力家タイプのA子さん。
標準的な体型です。
念願の中学校に合格し勉強も頑張りましたがテストの成績はあまりいい結果ではありませんでした。
テレビでアイドルを見て「私もやせればあの子みたいになれるかな」とダイエットを始めます。
A子さんはお弁当箱を小さなものに替えお菓子や炭水化物を控えるようになりました。
学校で友達から「Aちゃんやせてかわいくなったね!」とほめられA子さんは大喜び。
更にダイエットにのめり込んでいきます。
食事は「疲れているから後で食べる」と言って家族と一緒にとらない事が増えました。
かなりやせたように見えますが「私なんかまだ太っている」と低カロリーのものしか食べようとしません。
いかがでしょうか。
A子さんのようなケースに思い当たるところはありませんでしょうか。
今日お話し下さいますのは…心療内科医で拒食症や過食症など摂食障害の治療を専門にされています。
どうぞよろしくお願い致します。
拒食症といいますと若い女性の病気と思っていたんですが子どもさんにもあるんですね。
はい。
最近はかなり低年齢化が進んでおりまして小学校4年生で発症するという報告もあります。
ただ本来拒食症の発症は思春期である中学生や高校生のしかも女の子に多いという特徴がございます。
育ち盛りですからやせ過ぎは心配ですけれどもA子さんのようなケースダイエットを考える人も多いと思うんですけれどもダイエットと拒食症というのは区別はあるんですか?きっかけはダイエットでありましても全く別物という。
拒食症は医学的には神経性やせ症というふうに呼んでいます。
…という特徴がございます。
今どきの若い女の子ですから誰でも太りたくないという願望はあるように思うんですけれどもね。
もちろん普通の女の子でも太りたくないという気持ちはあるかと思います。
ただ例えば体重が100g増えたからといって人生に絶望したりあるいはこのまま際限なく太ってしまうのではないかとは考えないと思います。
拒食症の患者さんは僅か100g増えただけでそういう気持ちになってしまわれる方もいらっしゃいます。
なるほど。
そうやって考えますと拒食症のほかに食べて吐くといいましょうかそれを繰り返す病気もありますよね?そうですね。
拒食症の中には食べない摂食制限型というのがあるんですがもう一つ食べて吐くという過食・排出型というのもあります。
過食・排出型の方は比較的高校生から大学生あるいは成人になられて増えてくるという特徴がございましてお子さんの場合には食べないタイプの摂食制限型というのが多いという特徴がございます。
なるほど。
どうなんでしょう拒食症になりやすいタイプといいましょうかそういう事は何か考えられるんですか?はい。
典型的なのはA子さんのように努力家で優等生タイプの方です。
A子さんは小学校では成績が優秀でいらっしゃいましたが中学では成績がいまひとつとなり努力が報われない状況になられました。
このように真面目なお子さんが環境の変化や挫折に直面した時に発症しやすいという傾向があります。
なるほど。
ほかにはきっかけとか傾向はあるんでしょうか?はい。
不安や不満をため込みがちなそういうお子さんのタイプが挙げられます。
またきっかけと致しましては…環境の変化や挫折を経験した時に発症しやすいというそのような特徴がございます。
なるほど。
どうなんでしょういつも家に一緒にいて何か家族が気づくポイントといいましょうかねヒントのようなものあるんでしょうか?やはり何と言っても食事の量が極端に減ります。
A子さんの例では炭水化物を避けるあるいは弁当箱を小さいものに替えるというような変化がありました。
また家族と食事をしない極端にカロリーが低いものばかりを選ぶそのような行動も拒食症の一つのサインとなります。
お弁当箱を小さいものにしたりとかあるいはカロリーの低いものを食べるというのはいわゆるダイエットの場合もそういう形をとりますけれどもなかなか区別が難しいように思うんですけれども。
実際拒食症の初期というのはダイエットと区別が難しいと思います。
ただできればガリガリにやせてしまう前に早い段階で気づいて頂ければと思います。
従いましてダイエットに加えまして家族と食事をしないというようなそのような行動というのはやはり要注意と思われます。
またほかには食べ物を細かく分けてのろのろ食べるあるいは食べていなくて普通なら体を動かすのが大変なところを活発に活動あるいは運動をするというような特徴がございます。
これは自分が食べない事に拒食をしている事にとにかく悟られまいと。
そういう事で動くんでしょうか?そうではなくて…少しでもとにかくやせたいという特徴がございますので運動によってエネルギーを消耗して消費してやせようと。
そのような行動になります。
少しでもやせようとする。
また早期発見のサインと致しましては極端に体重が減ってきたまたは体重の増え方が悪いというような事がございますのでそのような場合には早めに気づいて頂ければと思います。
本当にこうした行動を単なるダイエットとは区別を…きちんと分けると。
区別を自分の中で家族が見つけると。
それが必要になってくる訳なんでしょうけど成長期なので体への影響非常に心配ですよね。
そうですね第2次性徴期という事で脳や体が作られる大切な時期ですので十分に栄養がとれないという事でさまざまな問題が出てきます。
まず体の影響に関しましては怖いのは不整脈による突然死ですね。
また低血糖による昏睡状態から死に至る事もあります。
ほかには貧血でありますとか無月経これが長期間続きますと不妊症になります。
また成長期という事で低身長でありますとか骨粗しょう症などの問題が起こってきます。
また精神面への影響に関しましては集中力・判断力の低下睡眠障害うつあるいは自殺などの危険性もあります。
こう見ますと突然死とか自殺ですよね本当に命に関わる病気になってきますよね。
拒食症の患者さんは一般の若い女性に比べて死亡のリスクが約10倍そのような報告もございますので早期に適切な治療が必要となります。
ではもしかしたら拒食症かもしれないと思ったら何科を受診したらいいんでしょう?一般的には15歳以下の方は小児科をそれ以上の方に関しましては心療内科や精神科を受診して頂ければと思います。
治療はどのように進められるんですか?拒食症の治療は栄養療法と心理療法この2つを車の両輪として進めていきます。
まず栄養療法ですが栄養状態を改善し健康的な体重に戻すという事を目的と致します。
また低栄養で生命の危険があるような場合には入院が必要となりますが更にご自身でお食事をとれない場合には経鼻経管栄養ですね鼻から胃にチューブを入れて栄養剤を投与するというような治療法も行います。
判断力が低下して治療の必要性が理解できない方もいますのでまずはある程度体重を増やすという事が必要になってまいります。
また退院後のお食事に関しましては医師が必要な摂取エネルギー量を計算致しまして管理栄養士が献立作りのアドバイスなど栄養指導を行います。
例えばどんな献立かといいますとこちらに例としてあるんですね。
こちらは実際に患者さんにお示ししている一日の献立例です。
この方の場合思春期であまり運動を行わないという前提ですけれども3食で合計1,900kcal。
たんぱく質75g脂質55gを目安にしております。
でもなかなかスパゲッティがあったりとかですね南蛮漬けのようなものがあったりだとか病気の性質上一度にこれだけは食べられないような気もするんですけどいかがでしょうか?やはり難しいと思います。
そこで入院中に関しましては患者さんに無理のないカロリーから始めまして少しずつステップアップするという方法をとっております。
また患者さんの不安を和らげるために体重増加の見通しをグラフ等でお示しして際限なく太る訳ではないという事をお伝えします。
また体重を増やすという事を受け入れて頂けるように心理療法で心をサポートしていくという事も行います。
この心理療法というのはどういうものになるんでしょう?心理療法とは拒食という手段に頼らなくてもその子が自分の人生とうまくつきあっていけるようノウハウや考え方をつけていくような治療法になります。
主な心理療法にはここに挙げたものがございますが子どもの拒食症に関しましては現在認知行動療法と家族療法が広く行われております。
この拒食症の認知行動療法これはどんなものなんでしょう?拒食症の患者さんはやせているのにまだ太っていると思っていたりとかあるいは何キロ以下でないと自分の存在価値がないと考えていらっしゃったりあるいは体重がたった100g増えただけで際限なく太ってしまうそのような極端な考え方や物事の捉え方を持っていらっしゃるという特徴がございます。
その極端さに気づいてもらうために例えば食事日記をつけてもらうなどして今より食べる量を増やしても際限なく太る訳ではない事を体験して頂いたりあるいはストレスにうまく対処できるようなトレーニングをしていくのが認知行動療法になります。
なるほど。
もう一つの家族療法ですねこれはどういうものになっていきますか?いくつかのやり方がありますけどまずご家族の方に患者さんへの接し方を学んで頂きまして一緒によくなる方法を考えていく事が基本となります。
接し方を?はい。
子どもの拒食症には一番効果的だと考えられているんですが具体的にはこちらにお示ししましたとおりでまずは母親の育て方が悪いという考え方が一般的で特にお母様自分のせいではないかというふうに考えて外来にいらっしゃる方も多いんですがもちろんお子さんにとってお母さんの存在は大きいですがお母さんのせいだけで拒食症になる事はありません。
ない訳ですね?はい。
ですので外来でもそのようにお伝えしています。
また無理やり食べさせたりあるいは不安をぶつけたりしないという事があります。
患者さん自身が一番不安や焦りを感じてらっしゃいますのでお子さんの前では心配する気持ちをぐっとこらえてまた食事や体型の事で注意したり不安をあおったりしないで頂ければと思います。
あまり食事や体型の事で言わない方がいいって事ですか?そちらは医療者に任せて頂ければと思います。
最後にお子さんの事をたくさんほめてまた存在そのものを認め愛して頂ければと思います。
どんなささいな事でも結構ですので何か望ましい行動が起こった場合には言葉にしてほめて頂ければと思います。
言葉にしてほめてあげる。
はい。
そして食べる食べないやせている太っているにかかわらずお子さんの存在そのものを愛し寄り添うように温かく見守って頂ければと思います。
こう伺うと本当子どもの拒食症には親の接し方といいましょうか果たす役割というのは大きいという事になってきますね。
はいそうですね。
ですのでご家族には早く気づいて医療機関につなげて頂ければと思います。
より早く医療機関につながった方が早く治療の効果も上がりますしそれでなくても年単位で治療がかかりますので…。
1年2年と?はい。
早く医療機関につなげて頂ければと思います。
その上でご家族と医療者は患者さんをよくするためのチーム仲間ですので自分たちだけで抱え込まずに医療機関を上手に利用して頂ければと思います。
一緒に解決策を考えていくという事ですよね。
どうもありがとうございました。
2015/08/21(金) 10:40〜10:55
NHK総合1・神戸
先どり きょうの健康「早く気づいて 増える子どもの拒食症」[解][字]
食べ物を極端に制限したり、たくさん食べたあとに吐くなどする「拒食症」。ときに命に関わることもあるので、周りの人が早く気がついて適切な治療につなげることが重要だ。
詳細情報
番組内容
異常な食行動を来す「拒食症」。食べ物を極端に制限したり、たくさん食べたあとに吐くなどしてしまう。最近、やせ志向の低年齢化が進み、小学4年生で拒食症になったケースも。努力家で優等生タイプ・自己主張が苦手な子どもは環境の変化などをきっかけになることが。拒食症は命に関わることもあるので、周りの人が早く気がついて適切な治療につなげることが重要だ。知っておきたい栄養療法・心理療法、家族の接し方なども紹介。
出演者
【講師】吉内一浩,【キャスター】桜井洋子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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