(刺す音)
(島田和代)ううっ…!
(和代)わあー!!
(衝突音)
(森田梢)待って!待ってください。
(星野さつき)
石川県能登半島
日本海の荒波が削り上げた様々な奇岩の浮かぶ景観
今回私達が訪れたのは雄大な日本海を望む温泉郷輪島市です
その昔この地に攻め込んだ上杉謙信の軍勢を奇妙な面をつけた村人達が太鼓を打ち鳴らして追い払ったのが由来の御陣乗太鼓は石川県の無形文化財に指定されています
輪島といえば日本を象徴する伝統工芸の最高峰輪島塗
ケヤキやアスナロの木材を削って木地を作りその木地にキウルシ布着せ地の粉を混ぜそして研ぎ中塗などの下地作業を経て上塗が行われ完成へとこぎつける輪島塗は堅牢と優美が融合する世界に誇る芸術です
そして250店もの店が軒を連ねる活気に満ちた朝市は北陸の海の幸であふれています
(一同)いらっしゃいませ!ようこそホテル州園へ!いらっしゃいませ。
ようこそ!
(一同)いらっしゃいませ!
(島慎之介)ここかホテル州園。
かわいい!この送迎バス。
(太鼓)
(花村淳子)いらっしゃいませ!
(花村康夫)いらっしゃいませ!うわー!あの人女将さんですよね?かっこいい〜!!太鼓でお出迎えなんて粋ですね。
(さつき)うん。
このホテル州園の3代目の女将さんの花村淳子さん。
お隣にいらっしゃるのがご主人で社長の康夫さん。
うちの社長が講師をしているホテル学校の元先生だそうよ。
そんな人がいるのに俺達が呼ばれたってことは…。
うん…今まで立て直してきた旅館の問題とはちょっと違うわね。
気を引きしめてかからないと!はい!
(パトカーのサイレン)
(カメラのシャッター音)
(水谷正平)長井部長。
(長井大作)うん?これが崖の上に落ちてました。
(長井)輪島塗か…。
(水谷)ええ。
今日から皆さんと一緒に働いていただくことになった星野さつきさん島慎之介さん森田梢さんです。
星野さんには経理を島さんには板場を森田さんには仲居さんとして働いていただくことになります。
皆さん…。
(3人)よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
美由紀さん森田さんを案内してあげて。
(田村美由紀)はい。
それから板長。
(棚橋龍二)はいはい。
島さんお願いします。
お願いします。
よろしく。
星野さん帳場へご案内しますわ。
お願いします。
私なりに努力してるつもりでいるんですがねぇ…。
どうにも売り上げが伸びていかないんですよ。
まずは帳簿から見せていただけますか?あちらのデスクの上に用意してありますので。
ああ…10年前のものから見せていただけますか?そんな昔のものまで?お願いします。
わかりました。
社長手伝ってくれる?うん。
うちではどんな経験者でも慣れるまでは洗い物野菜の仕込みから入ってもらっている。
構わねぇな?それで。
はい。
中村厨房の中案内してやれ。
(中村弘至)はい!こっちが野菜室。
魚介類。
肉類はあっちの冷蔵庫です。
冷凍庫はどこですか?あるにはありますけどうちでは冷凍ものはほとんど使わないんですよ。
板長が怒るし…。
(棚橋)誰だ!野菜仕込んだのは。
はい自分です。
野菜クズ簡単に捨てるな!賄いで使えるだろうが。
ほら。
洗って。
すいません!洗い場はあっちです。
はい。
輪島塗の漆器を使ってるんですね。
部屋食のお客さんにはそうしています。
これも板長のこだわりなんですよ。
じゃあ洗い物お願いします。
はい。
(美由紀)まずは私達のやり方を見ててください。
はい。
そんなことまで毎日やってるんですか?どんな小さな汚れも見落とさないようにしてるんですよ。
へえ…。
私達は星野さん達に全てを託すしかないのよね…。
うん…。
城ノ内先生の会社の人達だ。
任せて安心。
プロ中のプロだよ。
温泉宿の仕掛け人として。
温泉宿の仕掛け人…。
女将さん。
ちょっといいですか?梢。
どうだった?第一印象。
掃除が徹底していてびっくりしました。
リモコンを綿棒で拭いていたし障子の桟にもほとんどホコリが付いていないんです。
毎日しっかり掃除している証拠ですね。
う〜んさすがホテル学校元先生の社員教育ね。
慎さんのほうは?板長の食材へのこだわりは大したもんです。
これだけの大型旅館なのに冷凍ものを使わないポリシーを持っています。
有機野菜も使っています。
野菜クズも無駄にしていませんしそれに部屋食のお客様には輪島塗の漆器を使っているんですが漆器っていうのは食器洗い機が使えないんで手間がかかるんです。
それも板長のこだわりです。
非の打ちどころないですよ。
そっかぁ…。
今まで立て直してきた旅館には明らかに経営不振となる理由がすぐに見つかったんだけどなぁ。
じゃあさつきさんのほうも?うん…。
帳簿上には特に目立った問題点は見つからないわ。
無駄な経費も使ってないし。
ただ売り上げが伸び悩んでいるっていうのは確かなのよ。
団体客が結構入っているのにリピーターがほとんどいないし何よりも大切な個人客が少ないの。
この点を改善しなければ州園の売り上げは上がっていかないわ。
とにかくディベロッパーに買収される前に私達で原因を突き止めないと。
ということで私は東京に戻って社長にみんなの所見報告をしてきます。
(梢・島)お願いします。
こういうものを運ぶ時は裏口からっていつも言ってるでしょ。
あっ…紹介しますね。
柴野勝彦君。
雑用をやってもらったり御陣乗太鼓ショーの太鼓を打ってもらったりしてるんですよ。
初めまして星野さつきです。
お前は挨拶もろくにできないのか!?まったく…。
一体何を考えてるんだあいつは。
すぐにでもクビにしたいところだが…。
あなた。
仕方がないんですよ。
御陣乗太鼓は県の無形民俗文化財で輪島生まれの男にしか叩くことができないんです。
(城ノ内愛子)自分の出したアイデアが少なくとも1回は人に笑われるようでなければ独創的な発想をしたとは言えない。
これはあのマイクロソフトを作り上げたビル・ゲイツの言葉です。
皆さんはこの言葉をどうお考えになりますか?旅館経営においても独創的な発想大胆な発想の転換というのは必要だと私は思うんですね。
今では皆さんのところでもきっとやっていらっしゃる設備とかあるいはおもてなし。
そう。
料理よしもてなしよし温泉よし…。
州園は温泉旅館としては完璧だっていうことね。
ええ。
それに蟹や輪島塗という特産物があるのになぜ団体客のリピーターが戻ってこないのか個人客が少ないのか…。
所見では明確な理由がわからなくて。
うーん…。
州園の社長はホテル学校でも相当優秀な先生だったしねぇ。
その彼が悩むんだからよっぽどのことだとは思ったけど…。
個人客やリピーターが少ないってことは何か絶対その理由があるはずなのよ。
それを探り出すのがさつき達の仕事。
あなたが言うようにディベロッパーが動き出す前に。
はい頑張ります。
さてと…。
(携帯電話)はい岩田。
あっ社長!いやこれ見てください。
この…。
仙台は秋保温泉のお湯。
源泉温度85度ペーハー7.2。
ナトリウム塩化物泉の…。
「癒やしの湯であります。
ふふふ…」「体の芯まであったまって疲れがスーッと抜けていくんですよねぇ」あのね岩田君。
「社長もいらっしゃいましょ」「若い時にはすぐに取れた疲れも溜まりに溜まるとなかなか取れないでしょ」「何?岩田君。
私がばあさんだって言いたいわけ?」「社長に失礼ですよ!」うわっ…さつき!?いやそういう意味じゃなくて今でも十分お若いうえにますますお若くなれるってことで…。
「私なんかほらね。
ふふふ…」「まるで少年のように若返ってますでしょ?」ふーん…。
じゃあね岩田君あなたが少年期に戻ったところで実にタイミングのいい仕事。
輪島に飛んでちょうだい。
輪島?今輪島っておっしゃいました?そう。
ホテル州園。
輪島…。
わっ輪島か…。
「そこからすぐに飛ぶのよいいわね」「えっ!?そう言われましてもあの…心の準備が…」「心の準備?」「飛ぶの?飛ばないの!?」いや…飛びます飛びます!もうすぐに飛びます!幸平さんのほうから電話切るなんて…。
岩田君もねいつまでも逃げてばっかりいられないしね。
えっ?いやぁ実はね…。
輪島かぁ…。
ああ緊張してきた…。
あっ…ああー!!あっ…。
あっ何?わけわかんないこれ…。
勝彦さん?おかえりなさい。
ただ今戻りました。
(花村)ご苦労さまでした。
それで城ノ内さんは…。
やはりディベロッパーのことは気にしてらっしゃいました。
そうですか…。
大丈夫ですよ!私達がついてますから。
(長井)花村さん。
花村康夫さんですよね?ええそうですが…。
この名刺入れあなたのものに間違いありませんか?ええそうですが…どこでこれを?ああ島田和代さんご存じですね?はい。
以前うちに出入りしてたコンパニオンですが…。
(水谷)彼女の遺体がヤセの断崖下で発見されました。
ナイフで刺されたうえに断崖下に転落していたんです。
ちょっと!そんなこと大きな声で言わないでくださいよ。
ここはお客様だって通られるんですからね。
この名刺入れヤセの断崖の上で見つかったんですよ!来ていただけますね?はい…。
あなた…。
大丈夫だよ。
私にはやましいところはないから。
あっ亡くなった和代さんってどういう人だったんですか?
(小島幸枝)だらしない人だったわよね〜。
酒癖は悪いし男癖も悪いし。
(川内冴子)太鼓打ちの勝彦さんとベタベタしたりね〜!社長も女将も手を焼いてたわよ。
ねえ?だから先生が疑われるのも仕方ないかも。
(梢)先生?あっ私達みんな社長が昔先生やってたホテル学校の卒業生なんです。
(梢)ああそうだったんですか!どおりで…。
どおりでって?掃除も完璧だし皆さん優秀だなって思ってたんですよ。
ねっさつきさん。
うん?ああ…。
まあ皆さんこの子のことよく教育してやってください。
お願いしまーす!あっちょっと!さつきさん!
(後藤久子)ホントにすいませんでした。
まさかこんなことになるなんて思ってもいなかったから…。
あの名刺入れ主人からのプレゼントだったこと私警察に話してしまって…。
(後藤明利)申し訳なかったねぇ。
そんな。
先生方が謝るようなことじゃないですよ。
あの…。
あっ星野さん。
ご紹介しますね。
こちら輪島塗の作家後藤明利先生と奥様の久子さん。
先生はね日本アーティストクラブの大賞をとったこともあるんですよ。
大賞ですか!?いえいえ地道にやってきただけでして…。
輪島のことをよく知っていただくためにも一度先生の工房を見学なさったらどうかしら?ぜひ!実はねうちの大切なお客様のための漆器も先生に作っていただいた作品なの。
州園さんにはよくしていただいてるのに…。
私ったら社長さんにご迷惑をおかけするようなことをしてしまって…。
久子さんのせいなんかじゃないんですから。
ホントにごめんなさい。
お前はおしゃべりだからなぁ。
あっさつきさん!ああ今から交換?はい。
私手伝うわ。
ラッキー!慎さんありがとうございました。
じゃあお願いします。
ありがとう!さつきさんも手伝ってもらっちゃってありがとうございます。
いいえ。
(岩田)変わらないだろうなぁあの人は…。
何だよいきなり男湯入ってくるなよ!
(2人)うわぁー!!どうしました!?あれあれ…。
ああー!!こっここ…!あっあっ…ああー!何やってんだ慎之介。
何って…今この時間ここ女湯ですよ幸平さん!だってさっき男湯だったけど…。
何時間入ってるんですかもう!ああそう…ああ悪い。
ああーっ!あのね勘違い勘違い。
何?何?どしたの?気持ち悪い…気持ち悪いよ。
気持ち悪いのは俺のほう…。
ごめんごめん勘違い。
気持ち悪い…寒い寒い寒い…。
ああ当たってる当たってる…。
当たってるって何が?どうしたんですか?幸平さんその格好…。
(一同)あははは…!もう幸平さん!やだ…。
なっ…変?変?これ。
何笑ってるの?失礼だろ!お前達はもう…。
さつきさん。
はい。
こうちゃん?やっぱりこうちゃんじゃないの!ねえどうしてここに?えっあっ…。
女将さん幸平さんと知り合いだったんですか?幼なじみで弟みたいなものなの。
ねえこうちゃん元気だった?ねえ警察辞めてから随分経つけど今何やってるの?あっあの…。
さつき達と一緒に城ノ内オフィスで旅館リサーチャーとして働いてもう6年になりますけど…。
みんなね頼りにしてるんですよ。
そうだったの?お母様何にもおっしゃらないから…。
あっ…すいませんすいません…。
おふくろには電話で伝えただけだったので…。
顔向けできないっていうか何ていうか…。
ねえまさかお母様のところ帰ってないの?あっ…はい。
ダメじゃないのこうちゃん!ちゃんとお母様のところに顔見せに行きなさい!はい。
こんな幸平さん初めて見た。
女将さんには頭上がらないんだろ。
いやでも幸平さん来てくれてホントよかった。
実はね女将さんのご主人が警察に連れていかれちゃったの。
えっ!?以前ここに出入りしていたコンパニオンが殺されちゃってね。
犯人じゃないかって…。
梢。
主人がそんなことするわけないんだけれど…。
でもね正直ちょっと不安だったの。
でもよかったわ。
ねえこうちゃん主人を助けてね。
僕にできることだったら何でもします。
失礼します。
女将さん…。
間もなく御陣乗太鼓ショーの時間なんですけれども勝彦さんがまだ来てないんです。
えっ?勝彦って柴野さんとこの…?うん。
うちでね下働きしてもらってるの。
太鼓も打ってもらってるんだけど困ったわね…。
あのチビが太鼓を叩くまでになったんだ。
そうだこうちゃん!ねえ久しぶりにやってみたら?えっ?太鼓。
勝彦君の代わりに。
いや…もう太鼓何年も打ってないし…。
打てないの?打てます。
こうちゃん頑張ってね。
はい。
(御陣乗太鼓)うわ〜幸平さんかっこいい!様になってますよね。
(拍手)はあ…。
久しぶりに打った打った…。
幸平さんお面とってもあんまり変わらないですね。
コラ!お前は…。
ホントだ。
ええー!?そんな…。
冗談よ。
(一同笑い)びっくりしたもうみんなで…。
あっ幸平さんだ。
幸平さーん!幸平さん。
あはは…。
いやぁ圧巻だろう。
ええ。
もともと物々交換から始まったこの輪島の朝市には1000年の歴史があるんだよ。
1000年!?すご〜い!じゃあそろそろ戻ろうかな。
(梢・さつき・島)えっ!?ちょっと何言ってるんですか?まだ来たばっかりですよ?でも随分もう歩いて…。
ああわかった!お母様に会うのが怖いんでしょ?そんなことない…全然ないよ。
こうちゃん!ダメでしょ。
ちゃんとお母様に顔見せてあげなさい。
あっいや…。
じゃあ食材見て回りますから。
装飾担当骨董屋さん見てきます!わあ!久しぶりの親子対面水入らずでね。
じゃあね!じゃ…。
(ため息)
(咳払い)
(ため息)
(岩田時子)どこのどなたか存じませんが…。
母ちゃん!邪魔だ。
どいとくれ。
いや母ちゃんあの…。
(ため息)今日はダメやなぁ。
ほんまに…。
ああ…。
そんなとこに突っ立っとったら営業妨害や!母ちゃん俺…。
腹へったなぁ〜。
食うか?えがらまんじゅう。
母ちゃん…。
食わなか食うかどっちや!食う。
頑張れ。
こんにちは。
はい。
あらいらっしゃい。
あっまあどうぞ。
どうぞお入りください。
うわぁ!へえすご〜い!これ全部ご主人の作品なんですよね。
ええ。
夫は今沈金をやっています。
(久子)のみでお椀の表面を彫ってそこに漆を塗りこんで金粉を落としていくんです。
へえ〜。
ああいらっしゃい。
お邪魔してます。
あの…輪島塗って完成までにすごく時間がかかるって伺ったことがあるんですけど…。
ええ。
木を乾かすところから考えると10年以上かかったりするんですよ。
10年!?
(後藤)彼は内弟子の坂上武史です。
お邪魔してます。
(坂上武史)こんにちは!あのタルに漆が入ってるんです。
輪島塗は何度も漆を塗り重ねていくのでね。
百回塗というものまでありますからねぇ。
100回ですか!?いやぁ輪島塗ってホントに手間ひまかかってますよね。
だからでき上がった作品は自分の子供のようにかわいい。
うちで働いてもらってる弟子は家族も同然ですよ。
岩田さん!長井さん!お久しぶりです。
県警時代はお世話になりました。
でまた今日は何ですか?ご存じだとは思いますが…。
私州園の女将とは幼なじみなんです。
捜査機密は重々承知していますが状況教えていただけませんか?じゃあちょっといいですか?あなたは警察を辞めた人間です。
それも警察庁のキャリアを。
なぜですか?私は…私はどうしても自分に嘘をつくことができませんでした。
これが答えじゃダメでしょうか?しかし州園さんも災難続きですなぁ。
えっ?あっご存じなかったですか?いやつい1か月前ですよ。
州園に出入りしている漆器問屋の主が自殺しましてね。
自殺…?柴野健三さんですか?えっ?ええ…。
面識があるんですか?柴野さんとは。
面識も何も…子供の頃からずーっとお世話になってた方なんですよ。
あの人がどうして自殺なんて…。
まじめな人でしたからねぇ。
息子のことで悩んでたみたいでね。
ヤセの断崖から…。
(ため息)断崖の上には靴が揃えて残されてました。
あの人が勝彦のことで死ぬほど悩んでたなんて…。
勝彦の評判はそんなに悪かったんですか?いいとはお世辞にも言えませんね。
親元離れてからずーっと大阪でフリーターやってましてね。
(長井の声)借金まみれで柴野さんの残した貯金と保険金を全部借金返済に充てたもんで一時は遺産目当てに殺したんではないかという噂が立ったほどです。
(柴野勝彦)一体どこ隠してんだよ…。
自由行動のお時間には輪島塗を体験なさったらいかがでしょうか。
鴨ヶ浦の遊歩道を散策されるのもよろしいですよ。
輪島塗の体験をなさったらいかがですか。
鴨ヶ浦の遊歩道を散策されるのもいいですよ。
輪島塗の体験をなさったらどうでしょう。
鴨ヶ浦の遊歩道を散策されるのもいいですよ。
すみません。
はい。
この花うるしの間っていうお部屋見せてもらえませんか?はい。
わあ〜!超豪華!あっ…パンフレットと同じだぁ!州園自慢の部屋でございます。
あのこのお部屋1泊いくらぐらいですか?私いつかおじいちゃんとおばあちゃんにこの温泉旅行プレゼントしてあげようと思って中学生の頃から500円玉貯金してるんです。
大丈夫ですよ。
お嬢さんのご予算内で何とかいたします。
ホントですか?ありがとうございます!集合時間だから私行きます。
ありがとうございました。
いい子ですよね〜。
こっちまでさわやかな気持ちになっちゃう。
ああいう子に喜んでもらえるんだったらこのお部屋本当にお安く提供したいと思うわ。
女将さんこの花うるしの間この部屋が1年先2年先までも個人のお客様の予約で埋まるようにそんな州園目指して頑張りましょう。
ええ。
さつきさんありがとう。
あらこうちゃんおかえりなさい。
あの淳子さん柴野健三さんのことなんですけどホントに勝彦のことで自殺するほど悩んでたんでしょうかね?自殺?その方って…。
後藤先生の漆器をうちに卸してくださっていた漆器問屋さんなんですけどね。
ヤセの断崖から身を投げたんです。
ヤセの断崖?私にも勝彦君のことで悩んでたとしか考えられないのよ。
そうですか。
しかしあの人が自殺なんて…。
私も信じらんないんだけど…。
健三さんとその殺されたコンパニオンに接点はありますか?顔ぐらいは合わせたことあるでしょうけれど…。
(花村)ただいまー。
あなた!よかった。
疑いが晴れたのね!岩田さんですね?刑事の長井さんから伺いました。
わざわざ警察にまで足を運んでくださったそうで。
岩田さん本当にありがとうございました。
そうなの!?こうちゃんありがとう!いえ私は別に何もしてません。
でもホントによかった。
じゃあすいません。
ちょっと…。
何か引っ掛からないか?健三さんの自殺とその殺されたコンパニオンの事件両方とも現場はヤセの断崖。
何か関係があるんじゃ…。
幸平さんちょっといい?勝彦がヤセの断崖に?ええ。
勝彦さんが太鼓を打ちに来なかった日。
でもこのことは女将さんには言わないで。
俺調べてみるから。
わかった。
でその立て直しのほうの見通しは?今回はかなり難しい。
まだ解決策は見つかってないわ。
まあとにかくお互い頑張ろう。
了解。
あんた東京の人か?ええ。
こっちじゃズワイガニのことを加能蟹と言うようになったんだ。
カノウガニ?ああ漢字で書くと加賀の「加」に能登の「能」で加能蟹だ。
で訊きたいことって?メスの加能蟹…つまり香箱蟹ってことですよね?香りの箱って書いて香箱だ。
はははは…。
あのこの香箱は築地には行ってないんですか?メスはオスみたいに立派じゃないから高く売れないんだよ。
オスの10分の1程度で売れればいいほうだから。
でもこれうまいんだ。
地元じゃこの香箱のほうが人気があるぐらいだ。
食べてみるか?はい。
今炊き出しやってるから。
香箱はなこうやってこうやってこうやって…。
この内子!ほらこの卵を食うんだ卵。
いただきます。
茹でたてだからうまいぞ。
香箱蟹出せってか。
はい。
島さん本気で言ってるんですか?もちろんです。
バカ言っちゃいけねぇよ。
加能蟹といえばオスだ!もちろんオスも外せません。
でも地元では香箱のほうが人気があると聞きました。
地元で愛されてる味をなぜお客様に提供しないんですか?客がオスを望んでるからだ。
客の求めるものを出す。
当然のことだろうが。
いやでもこういうものがあったんだというインパクトも大切なんじゃないでしょうか。
料理は感動です。
お客様が求めてるものだけをお出ししても進歩がないのでは…。
おいお前さんはよ何様のつもりだ!この俺に料理の講義か!おい!そんなつもりはありません!どんなつもりだ!じゃあ言ってみろ!板長落ち着いてちょうだい!バカ野郎め…。
すみません。
口が過ぎました。
でも旅先でそれまで知らなかった新しい味に出会えることこそ旅の醍醐味だと思ったんです。
オスだけじゃなく香箱蟹をお出しすることで味のバリエーションも増えお客様にも喜んでいただけると思ったんです。
そうですね。
島さんの言うことも正しいわ。
ねえ板長試しに団体のお客様にサービスでお出ししてはどうかしら?香箱はそんな値の張るものでもないし。
中村!はい。
香箱を仕入れておけ。
えっ?いや…。
すいませんでした女将さん。
いいんですよ。
香箱をお客様にお出しするなんて地元の人間には思いもつかないアイデアですもの。
でもまだまだ香箱だけではお客様のインパクトに欠けます。
もっと他に何かを考えないと。
よろしくお願いしますね。
島さんのお力が必要なんです。
はい。
精一杯やらせていただきます。
はいお待ち。
生と茹でで2種類握ってみました。
ありがとう。
よし生からいってみよう。
うーん…おいしい。
とろける。
うーん次は茹でたやつ。
へえ〜。
うん。
茹でたのはこう蟹の風味がふわ〜っとね…うん上がってくるよう。
うーんおいしい。
もとがうまいんでね余計なことはしないほうがいいですね。
そうよねぇ。
でも島君は香箱蟹使うって言ってたし…。
ちょっと輪島へ食べに行ってみるかなぁ。
(パトカーのサイレン)すいません。
すいません。
あの柴野勝彦さんいますか?ええ。
柴野が何か?柴野君。
ちょっと署まで来てもらえますか?どういうことですか?島田和代さんが殺された夜あなたが彼女と争っているのを見たという目撃情報が入ったんですよ。
えっ今度は勝彦さんが!?ねえこうちゃん。
あの子悪ぶってるけど根はいい子なのよ。
そんな殺人なんかできるわけないの!ねえお願いだから何とか助けてあげて。
はい。
できるだけのことはしますから。
ありがとう。
お願いね。
でも勝彦さんがホントに犯人だったりして。
梢…!だって勝彦さん殺された和代さんにつきまとわれて迷惑してたっていうじゃないですか。
殺す動機あるでしょ?それはお前の憶測だろう。
とにかくさつき達は立て直しのほうしっかり考えてくれ。
この件に関しては俺がやるから。
それから梢。
はい!みんなの邪魔はするな。
ええ…。
そうですか。
やっぱりお母様には言い訳がましいこと言いたくなかったんでしょうね。
岩田君らしい。
かわいげのない子で困っちまいますよ。
いえいえ岩田君も随分苦しんだと思いますよ。
何しろ警察庁というのはある種伏魔殿みたいなところですから。
自分の首をかけて内部告発するしかなかったんでしょう。
お父様のようにまじめに働いている制服警官を見てきた岩田君としては許せなかったんでしょう。
ちゃんと自分の口で話せばいいが!ふふっ…まあね。
でもお母様の期待を裏切ってしまったという思いで言い出せなかったんでしょう。
お母様思いのやさしい息子さんですよ。
岩田君は今私共の会社で生き生きと働いてくださってます。
岩田君は私共にとって頼りがいがあるとっても大きな存在なんです。
この仕事は人の痛みのわかる人間でないと務まりませんから。
岩田君をやさしい人に育ててくださってありがとうございました。
えっ…嫌ですよそんな!私はねこのとおり忙しいもんであの子のことは放ったらかしでもう…。
人さんの役に立ってるがかどうか…。
もちろん役に立ってますとも。
あの子のことよろしくお願いします。
こちらこそよろしく。
(岩田)社長。
あっそれじゃあ私はこれで。
じゃあね。
いやいやじゃあねって…あの社長…。
幸平!店じまいや手伝え。
社長何しに来たの?ほーら手伝えって言ったが!いや母ちゃん…。
なあ母ちゃん俺よ…。
手伝えって言うとるのが聞こえんかった?いや聞こえとるよ。
もうおしまいですか?いやまだ大丈夫ですよ。
見てもいいですか?いいですよ買うてっか。
おまけするさかい買うてっか。
これゆべし。
うまいよ。
母ちゃん入れ物入れ物!あっ社長。
ああさつき。
すごいわねぇ。
これね夏祭りの灯籠なんですって。
「切籠灯籠略してキリコと呼ばれる」か…。
ふーん…。
社長何かあったんですか?いや別に…。
今度の仕事は何か大変そうだからどうしてるかなぁと思ってみんなの様子見に来たの。
うまくいってる?それが…事件のことはご存じですよね?ああまあねそのへんのところは岩田君がうまくやってくれるでしょう。
私が知りたいのは立て直しの件。
はい。
実はまだ改善すべき問題点が見つかってなくて。
慎さんも食材のことで悩んでるんです。
ああそう。
だったら気晴らしに外に食事でもしに行ったらどう?ええっ?お客になってお客様の気持ちで食事をする。
そしたら何か見えてくるものあるんじゃないかな。
大切なのは常にお客様の立場に立ってどうしたらお客様に喜んでいただけるかを考える。
ねっ?それからねこれが一番大切なんだけれども常に仕事を楽しむ心を忘れないように。
社長…。
ふふふっ。
ふふふっ。
さてと香箱蟹でも食べに行くかな。
じゃあね。
はい。
あっそうだもう1つ。
いつも笑顔を忘れないで。
あなたの笑顔は人を幸せにするんだから。
はい!うん…うん…。
冷凍ものだけどおいしい!最近の冷凍技術は昔とは違いますからね。
マイマヨネーズ持ってくればよかったね。
やっぱり三杯酢ばっかりじゃ飽きるよね。
冷凍ものも手を加えることでいろんな料理に生まれ変わる。
でも州園の板長は冷凍ものは使わない主義なんでしょ?しかし冷凍ものを使えば1年を通じてお客様に提供することができます。
それにコストも抑えられるし州園がつかんでない若者の個人客を呼ぶこともできるかもしれない。
でも獲れたてを生で食べるのとはやっぱり全然違うんじゃない?小さい頃ね近所の海でウニを獲ってきて小石でカンカンカンッて割って海水でチャッチャッチャッて洗って食べたの。
その時のウニの味は忘れられないなぁ。
海水…。
おいしかったよな〜。
さつきさんありがとうございます。
あっ俺のも食べてください。
えっ…慎さん?慎さん何かつかんだのかな?すいません。
ちょっとお話…。
(鈴の音)突っ立ってねぇで座れ。
ああ…。
去年作ったゆべし食うか?母ちゃんまだ自分でゆべし作ってるのかよ。
もう歳なんだからこういうの人に任せて体のこと考えろ。
バカ言うんでねぇ!ゆずくり抜いて味付けしたもちを入れて何度も蒸しちゃあ干し蒸しちゃあ干しして半年がかりで作るんやから。
味は嘘はつかねぇよ。
父ちゃんの…。
昔母ちゃんの作ったゆべし健三さんとこにもよくおすそ分けしたよな。
ああ。
なあ母ちゃん。
健三さん本当に自殺だと思うか?警察がそう言うんやからそうなんやろ?勝彦は何で輪島出てったんだ?反発したがや。
健三さんに無理やり後藤先生のところに弟子入りさせられて。
後藤先生のところに?それは初耳だなぁ。
健三さんは輪島塗の職人になるのが夢やったからねぇ。
でもいかんせんぶきっちょやったから。
ははは…。
勝彦は勉強はできなんだけど手先は器用やったから。
自分の夢を勝彦に託したかったのか。
でも勝彦にしてみりゃ迷惑な話や。
やりたくもない職人の修業なんて耐えられるわけないやろ?勝彦は大阪で何やってたんだ?一時株で儲けたって噂は聞いたがやけど。
でも健三さんが亡くなった時には借金まみれで帰ってきたんだと。
それで親父さんの遺産を借金返済に充てた?でもここんところは輪島に落ち着いとるがや。
州園で下働きやったり太鼓叩いてるの知っとるやろ?その州園で勝彦は殺されたコンパニオンの和代さんと知り合ったんだよな?それどんな感じだったか知ってるか?よくは知らないけどもそりゃお前あれだったんやろ?バカやからねぇ勝彦は。
妙な女に手ぇ出すから。
そうやけど盆暮れにも戻らんかった勝彦が還暦祝いの赤いチャンチャンコを贈ってきたって健三さん喜んでおったんやけどねぇ。
私はてっきり仲直りできたもんやと思うとったんやけど。
だったら健三さん自殺なんかするわけないだろ。
しちまったもんはしちまったもんやからしょうがないやろ。
母ちゃん俺ちょっと出かけてくるわ!あっ…。
ふふっ…ふふふふ…。
(電話)はいホテル州園でございます。
はい。
えっ…キャンセル?あっ…かしこまりました。
またの機会にぜひ。
(ため息)個人客のキャンセルもう6件目だわ…。
ちょっとよろしいでしょうか?うん?どうした?急なことで大変申し訳ないんですが事情がありまして本日限りで退職させていただきたいんですけど…。
私も事情がありましてこれ以上こちらで働くことができません。
2人共一体どうして急に…。
州園ではいろいろ勉強させていただき感謝しております。
ありがとうございました。
ちょっと待ちなさい。
何だってこんな時に。
あなた。
事情があるって言ってるでしょ。
しかし…。
今までご苦労さま。
元気でね。
女将さんも。
では失礼いたします。
私は一体あの子達に何を教えてきたんだ。
女将さんいいんですか?仕方がないもの。
でも彼女達ならどこに行っても通用するから安心よ。
最後の挨拶もきちんとしていたし。
挨拶ぐらい当然の…!自由行動のお時間には輪島塗を体験なさったらいかがでしょう。
鴨ヶ浦の遊歩道を散策されるのもいいですよ。
輪島塗の体験をなさったらいかがですか。
鴨ヶ浦の遊歩道を散策されるのもいいですよ。
輪島塗の体験をなさったらどうでしょう。
鴨ヶ浦の遊歩道を散策されるのもいいですよ。
大切なのは常にお客様の立場に立ってどうしたらお客様に喜んでいただけるかを考えること。
それからもう1つ。
これが一番大切なんだけれども常に仕事を楽しむ心を忘れないように。
そうか。
そういうことだったんだ。
さつきさん。
あっその顔慎さんも何かつかんだわね。
はい。
あっさつきさんも?何ですか?何つかんだんですか?お前はおしゃべりだから教えない。
もう〜。
さあいよいよ始めるわよ!はい。
うん!ありがとうございます。
いいえ…。
あっいらっしゃい。
さつきさん!花うるしのお部屋5名様ご予約いただいたんです。
ホントですか?久子さんがね紹介してくださったんですよ!まあちょっとでしゃばりすぎかしらとは思ったんですけどね。
うちの漆器を使ってくださってる外食産業の社長さんがいらして他の会社との親睦会を開くからって伺ったものですから勝手に州園さん勧めさせていただいちゃったんです。
ホントにありがとう久子さん!いいえあの…実はねそれでちょっとお願いがあるんですけれど…。
何かしら?2年前柴野さんからのご依頼でお納めした特別客用の漆器。
ほらあの欧米のホテルオーナーさん達が視察でいらした時に州園さんのご来館に合わせて主人が作らせていただきましたでしょ?ええ。
先生の最高傑作。
うちの宝です。
まあそう言っていただくとうれしいです。
それでねあの今回の会もあの漆器を使っていただきたいんですけれど。
ええもちろんです。
ありがとうございます!あなたよかった。
使ってくださるって!すいません女将さん。
図々しいことを言って。
だって私1人でも多くの方に主人の作った漆器に触れてもらいたいんですもの。
久子さん本当にご主人思いなんですね。
これも私の仕事ですから。
そうだ。
そろそろおいとまをしよう。
あっそうね。
じゃあよろしくお願いいたします。
どうも。
失礼します。
社長!女将さん!外食産業の社長さんは次のお客さんへとつながる大切な個人客です。
今日から立て直し作戦始めましょう!めどが立ったんですか?はい。
社長さん達に最高のおもてなしができるように頑張りましょう!ありがとうさつきさん!何かあったのかしら?こんな時間に。
従業員全員集合なんて。
ちょっと…何であの人着物着てるの?皆さんに星野さんから大切なお話がありますので聞いてください。
皆さん。
今まで皆さんには隠していましたが実は私達は旅館コンサルタントなんです。
わかりやすく言えば温泉宿の仕掛け人です。
温泉宿の仕掛け人?私達はこの州園の社長さんとも親しい城ノ内愛子が経営するコンサルティング会社のスタッフなんです。
城ノ内先生?私一度セミナー受けてみたかったのよ!城ノ内先生のお弟子さん?皆さん!このホテル州園にもっともっとお客さんを呼べるように私達と一緒に頑張りましょう!これでも精一杯頑張ってるつもりなんですけど。
これ以上どうしろって言うんですか?このホテル州園を愛しお客様を愛する真心を持つんです。
真心?どのようなお客様に対してもマニュアルどおりの全く同じ接客では旅館にあるべき人と人との触れ合いが生まれません。
確かに仲居の皆さんはホテル学校での成績は優秀でテストの点もよかったのかもしれません。
でも私達は接客ロボットではありません!心を持った人間です。
お客様だってそうです。
ですからそのお客様に応じておもてなしの仕方は変わってくるべきなんです。
団体でいらしてくださったお客様が今度は個人でもああもう一度ホテル州園に来てみたい。
そう思っていただけるようにお客様1人1人に真心のこもったおもてなしをするんです。
愛情を持ってお客様と接しお客様と過ごす時間を楽しみながらこのホテル州園をみんなで盛り立てていきましょう。
お疲れでしょう?いやいや…。
どうぞこちらにお掛けくださいませ。
年配のお客様には自分の恩師に接するように
ねえねえ!これなんかどうかな?
年下のお客様には自分の家族に接するように
マニュアルしゃべりは厳禁です
(梢)
お部屋の飾りつけも若いお客様のお部屋は華やかに
年配のお客様のお部屋は落ち着いたものにします
州園自慢の客室花うるしの間が空いていればお客様に見学していただき手の届く贅沢であることをアピール
そして旅先で最もお客様が楽しみにされているのが料理です
部屋食のお客様には生蟹コース冷凍蟹コース能登牛コースの3種類をご用意
どのコースにも地元に愛される味香箱蟹をお付けします
生蟹コースの半額の冷凍蟹コースを用意することで若いお客様を増やし1年を通して蟹を楽しめる旅館にします
団体のお客様のためにデッドスペースを改築
新鮮な魚介類を取り揃えお客様のお好みの魚を焼いたり揚げたりお寿司に握ったりできるようにします
塩!?塩作りから始めるっていうのか?はい。
奥能登塩田村では今でも昔ながらの揚浜塩田で塩作りをしています。
砂に海水をまきミネラルをたっぷり含んだ砂から塩を作る方法です。
塩は全ての料理の基本です。
蟹の味を最高に引き出せる塩を手作りさせてください。
バカ言っちゃいけねぇよ!この季節は塩作りは無理だ。
塩田村のほうに実験的にやらせてほしいとお願いしました。
生の蟹だけじゃなく香箱蟹の味をコクを含めて最大限に引き出せる塩…。
それに能登牛冷凍ものの蟹の味を生かせる塩を作りたいんです。
俺は冷凍ものを使わない主義だって何度言わせるんだよ!いやしかし!何だよ。
冷凍ものの蟹も調理次第では立派な料理になります。
夏場に生の蟹のない季節お客様を呼ぶこともできます。
お願いです。
ぜひ塩作りやらせてください。
ああ勝手にやったらいいやなぁ。
どうせお前さんなんかいなくたってこの州園の板場はずっと回ってきたんだからよ。
板長の舌満足させる塩必ず作りますから!慎さん…。
大丈夫です。
心配しないでください。
どうもありがとうございました。
ああ…。
あれっ母ちゃん!母ちゃん何でまたこんな重い物引っ張って。
俺が引っ張るから。
これが私の仕事やから。
いいがや。
うん!まったく頑固なんだから…。
あっ後藤先生の奥さん。
先生すっかりお加減よくなったみたいでよかったですね。
ええお陰さまで。
じゃあ私これで…。
あっ…。
お大事に。
(携帯電話)ちょっと。
うん?
(携帯電話)はいもしもし…。
えっ?
(岩田)連絡ありがとうございました。
あっどうもどうも。
やっぱりガセでした。
よかった。
じゃあ。
あんた誰?ああ?岩田だよ。
岩田幸平。
ああ。
時子おばさんのとこの。
(岩田)親父さんのこと大変だったな。
ちょっと今のお前には酷なことを訊くぞ。
親父さん自殺だってな。
なぜだ…。
お前親父さんにはもう許してもらってたんだろ?俺にはあの親父さんが自殺するなんて信じられねぇんだよ。
考えられねぇよ!でも警察がそう断定したんだよ。
違うなぁ。
女将さん。
例の漆器ご自宅から持ってきてくださいますか?わかりました。
今夜にでも持ってくるわ。
お願いします!女将さん例の漆器って後藤先生の?そうなの。
私の両親もねでき上がるのを楽しみにしていたんだけど残念ながら完成品を見ることができなかったから1客仏壇の前に供えてあるのよ。
そうですか。
ただ今戻りました。
お帰りなさい。
ああ後藤先生の漆器ですか。
ええ。
女将がもう1客持ってくるんで待ってるとこなんです。
じゃあ自分が受け取ります。
どうぞ先に上がってください。
そうですか?じゃあすいません。
お先に。
お疲れさまです。
はあ…こりゃすごいな。
あっ島さんこれもお願いしますね。
はい。
やはり後藤先生の作品はすばらしいですね。
でしょう?あっそうそう。
久子さんがね手作りのすいぜんを持ってきてくださったの。
すいぜん…あっ天草を使った輪島の郷土料理ですね。
詰め所にあるから行ってくださいね。
ありがとうございます。
木やせ?何でこれ1つだけ木やせがある…。
何か?はい。
慎さんの手作りの塩も完成まであと一歩だそうです。
はい!ですから社長もどうかご心配なさらずに。
はーい。
じゃあ失礼しまーす。
久子さん?すいぜんっていうのはもち米と天草で作られてて寒天とはちょっと違う歯ざわりなんだけどうまいんだよ。
うわっすっごいきれい!輪島塗の漆器と合いますね〜。
どうしたんですか?これ。
久子さんが差し入れしてくれたんですよ。
ああ〜そうだったんだ。
ふふっおいしそう。
いっただきまーす!慎さんどうしたの?ええ…幸平さん。
(岩田)うん?後藤先生は日本アーティストクラブの大賞もとったことがある人ですよね?
(岩田)そうだよ。
近い将来人間国宝になるんじゃないかっていわれてる。
そんな先生の作品に木やせが出てるんですよ。
えっ?木やせって何?輪島塗は漆を塗り重ねていくわけですけどその技術は丹念な作業を繰り返し熟練された職人技を要します。
しかし技術が未熟だと最初は全く問題のないように見える漆器が時間が経つと漆がやせて木目が浮き出てくるんです。
それを「木やせ」っていうんです。
木やせが後藤先生の漆器に出てるっていうのか?ええ。
バカ言うなよ。
そんなわけないだろう。
いやでも…。
漆器置き場に置いてあった4客には木やせ出てなかったんですけど…これです。
これ女将さんが持ってきたんですけどこの1客だけに木やせが…。
あれ?どうしたの?木やせが消えてる。
ええ!?何言ってんだお前。
この漆器に木やせがあったんですよ。
慎之介お前見間違えたんじゃないの?確かに出てたんですって。
じゃあ誰かがすり替えたとか。
そんなことあるはずないわよ!この漆器は後藤先生が州園のためにわざわざ作ったの。
同じものが他にあるはずないわ。
そっかぁ。
じゃあ何で?いや確かにこの漆器には木やせがあったんですよ。
あった。
「後藤輪島塗工房」。
6客?女将さん2年前に納品された後藤先生の漆器6客あったんですね。
そうですよ。
でもホテルにあるのは5客だけ。
もう1客はどこにあるんですか?柴野さんにプレゼントしたんですよ。
柴野さん…勝彦さんのお父さんですか?ええ。
ええ。
彼も後藤先生の作品が大好きでしたから。
それじゃあ今は勝彦さんのところに…。
ええ恐らく…。
あら勝彦君。
俺さ今日限りで辞めさせてもらうから。
どうしてそんな急に!?もう働く理由がなくなったんだよ。
どうして?どうしてそんなことを!じゃあ。
ちょっと待って…!女将!勝彦さん!勝彦さん後藤先生の漆器持ってますよね?州園の女将さんからお父様が譲り受けた…。
その漆器昨夜厨房に持ってきませんでしたか?そんなもん知らねぇよ。
勝彦さん!えっ?漆器は6客あったんですか?うん慎さんの目は確かだったの。
それじゃあやっぱり勝彦さんが自分の漆器と木やせの出た女将さんの漆器をすり替えたんだ!でも何で勝彦がそんなことを…。
そういえば木やせ見つけた時勝彦君見てたな。
やっぱり勝彦さんがすり替えたんだ!でも勝彦さん何できれいな漆器じゃなくてわざわざ木やせの出た女将さんの漆器とすり替えたのかしら?わかった!勝彦さん木やせの出た漆器で後藤先生を脅そうとしてるんだ!だから働く理由がないって州園を辞めたんですよ。
まさか…。
勝彦は悪ぶってはいるけどそんなことができる人間だとは思えないけど…。
あっねえねえ何で女将さんの漆器にだけ木やせが出たの?納品された日は同じなのにそんなことってありうる?詳しいことはわかりませんが保存状態とか使用頻度によるのかもしれません。
(淳子)美由紀さん全部新しいのに取り替えてくださいね。
はい。
全部…。
1つだけじゃない…全部に木やせが出てたとしたら全部取り替える。
まさか…。
(岩田)母ちゃんおるか?おるがな!自分の家や。
なあ後藤先生はもうじき人間国宝になろうって人だよな。
ああ見えない!そんな人が作ったものに木やせなんて出るか?ああ〜どうも取れん!目が悪くなって…。
母ちゃん老眼進んでるんじゃないのか。
ちょっと貸して!もう最近細かい仕事がどうにもやりにくくてしょうがなかね!じゃあメガネ新しくすればいいだろ。
新しくすりゃ見えるがか?そりゃあそうだよ。
ちゃんとメガネ屋へ行って調べて…。
後藤先生の奥さん。
先生すっかりお加減よくなったみたいで…。
よかったですね。
お加減よくなった…。
メガネ屋…。
何でも自分が納得するまでとことん調べて歩くがいね。
まあぶきっちょな人やったけどそれが父ちゃんの生き方やったがね。
ああダメやな。
これ新しくしよう。
歳やなぁ。
母ちゃん俺ちょっと出かけるわ。
あれ?もう帰ったのかな?あっあんた柴野さんのお知り合い?はい。
これ…。
約束通りお金は用意しました。
代わりの漆器もここに。
あんた達なんだろ?親父殺したの。
俺は見たんだよ。
あんたが州園で漆器すり替えるところ。
勝彦君!お願いだ。
受け取ってください!和代だってあんた達が殺したんじゃねぇのかよ?あいつ言ってたよ。
この漆器さえあれば一生食うに困らねぇってな。
そうやってあんた達を脅してたんだろ!頼むよ勝彦君。
その漆器を返してください!返さねぇよ!本当のこと話すまでは返さねぇよ。
殺したんだろう?親父も和代も。
なあそうなんだろう!?俺はなぁ本当は金なんかどうだっていいんだよ。
本当のことが知りてぇだけなんだよ!なあ本当のこと話せよ!!久子!久子やめなさい!おい!あんたさえいなければ…あんたさえいなければ!よしなさい久子!ダメだ!あなたどいて!あんたなんて漆器と一緒に海に沈めてやる!やめてー!!勝彦さんが持っているのは箱だけです。
木やせの出た漆器ならここに…。
これはずっと柴野家のお墓の中に隠されていたんです。
勝彦さん納骨の日に見つけたんですよね?
(読経)うん…!うっ…!これすいません。
勝彦さんは箱だけ持って木やせの出た漆器は住職に預けたんです。
久子さんもう全部話してください。
本当は全部の漆器に木やせが出たんじゃないですか?何を言うの?久子もうよそう…。
あなたは黙ってて!たった1客木やせが出たからって何よ。
お墓の中になんかしまうからいけないのよ!それに全部に木やせが出たなんていう証拠どこにあるのよ!?
(岩田)証拠はありますよ久子さん。
輪島市内の喜六メガネ店。
そこの店長が3年前目を悪くした後藤先生に眼科医を紹介していますね?地元じゃ困るというあなた方のためにわざわざ大阪の医者をね。
その眼科医院には後藤先生が緑内障の手術を受けたカルテが残っていました。
先生の目が不自由だった時期と州園に納品する漆器を作らなければならなかった時期は一致しています。
もう全てを話してください。
久子は悪くないんです!私が全て悪いんだ。
先生これは一度ちゃんと眼科医に診てもらうべきですね。
でも私は怖かった。
目は職人の命です。
その目にメスを入れられるなんて想像しただけでも怖くなって…。
久子にさえ言うことができなかった。
でもとうとう…。
あなた?まさか…。
ダメだ!もう間に合わない。
ああ…。
どうしてもっと早く言ってくれなかったのよ!とにかくお医者様に行きましょう。
ねっ?いいわね?しっかりやるのよ。
先生の目は必ず治るんだから。
あんたは先生のためにつなぎの仕事をするの。
わかったわね?しっかりやるのよ。
あんたの腕だったら何とかなるから。
ねっ?はい。
久子。
やっぱり俺は…!あなたは自分の目を治すことだけを考えてればいいの!どうして納期を遅らせなかったんですか?ご主人の目は治るってわかってたのに…。
そんなことしたら主人の腕が悪くなったなんていう噂が立つに決まってます!何が何でも納品して主人の目が治ったら漆器を作り直して取り替えるつもりだったんです。
その前に健三さんに気づかれてしまったんですね?
(柴野健三)こいつが全部話しましたよ!何でこんなことを!本当に申し訳ないことをした!私はね…先生!あなたを信頼していたから発注したんですよ!あの…主人が作ったものと取り替えさせていただきますから。
いらん!先生の仕事は金輪際信用できないからな!柴野さん待ってください!ねえ柴野さん…!うるさい!先生奥さん申し訳ありませんでした!もう…ダメだ…。
もう俺は終わりだ…。
そんなことないわよあなた。
そんなことない!私は絶対あなたを終わりになんかさせないわよ。
絶対…!どうかこれで。
何だこれは。
気持ちです。
これで足りなければもっとお出しいたしますから…。
あっ…。
心底見損なったよ!あんたも先生もこんなことまでするなんて…。
先生も地に落ちたな。
俺は断じて許さない!!こうなったら全部公にしてやる!州園の女将にも話してくる!あああの…。
お願いします!ねえ柴野さん!離せ!それだけはやめてください!お願いします!離すんだ!柴野さん…?柴野さん!柴野さん!ああっ…。
(久子の声)自首しようという主人を説得して遺体をヤセの断崖から落とし靴を揃えて置いたんです。
コンパニオンの和代さんのこともあなたが…。
(久子の声)州園の漆器を取り替えてるところを見られて…。
(和代)何してんのよ?お金は?持ってきてくれた?何すんのよ!あんたなんかに私達の人生めちゃくちゃにされてたまるもんですか!
(刺す音)ううっ…!
(和代)わあー!!
(久子の声)そして私は州園に差し入れを持っていき…。
ちょっと待っててね。
はい。
(久子の声)康夫さんの名刺入れを盗み出してヤセの断崖の上に置いたんです。
俺は本当のことが知りたかったんだよ。
でもよこんな…こんなことねぇよ。
親父…。
ごめんなさいね。
でももうおしまいにするから…。
久子!久子さん!バカなことはやめろ久子!ごめんなさいあなた。
私あなたを守ってあげたかっただけだったのよ。
守ってあげられなくて…守ってあげられなくてごめんなさいね。
だったらこれから守ってあげればいいじゃないですか!あなたが守ってきたのはご主人じゃない。
ご主人の名声だけなんです。
あなたさえその気になれば罪を償ってもう一度ご主人を守ってあげることだってできるんです。
輪島塗を愛するご主人の気持ちを考えてみてください。
ご主人おっしゃってましたよね?作品の1つ1つが我が子と同じなんだって。
お弟子さんは家族も同然なんだって…。
そんなご主人がどんな思いで未熟な仕事をお弟子さんにさせたと思いますか?輪島塗に対する思いをねじ曲げてまで…!心が引き裂かれるようにつらかったと思います。
久子さんあなただって輪島塗を愛しているはずでしょう?私に輪島塗の話をしてくれた時あなたの目とっても澄んで輝いてました。
だから私だって引き込まれたんです。
お願いです。
ご主人と一緒に生き直してください。
もう一度ご主人を守ってあげてください!久子…来てくれ!俺にはお前しかいない。
(久子の泣き声)久子…。
これからまた一緒に暮らせる日が必ず来るんだから…。
ごめんね。
ごめん…。
(2人の泣き声)ごめんね。
ごめんねあなた…。
(2人の泣き声)どうぞ。
はい…。
こちらの塩ですがこの黄色がかったものが基本の塩です。
そしてゆずさんしょうこしょうなど香辛料を加えた塩もご用意しました。
どうぞお好みでつけてお召し上がりください。
おいしいですね。
なかなかいいもんだね。
香箱蟹の内子の味噌焼き。
加能蟹と元助大根の香り焼き。
加能蟹のせいろ蒸し。
どれも州園ならではの蟹ご膳となっております。
(拍手)ありがとう。
(拍手)
(拍手)あっ!板長。
お前さんの発想には驚かされ通しだった。
すいません。
謝ることはねぇよ。
これ全部うめぇよ。
お前さんに礼言わなくちゃなぁ。
ありがとよ。
(一同)いらっしゃいませ。
どうもようこそ。
いらっしゃいませ。
州園へようこそ。
お疲れさまでございました。
どうもようこそ。
州園へいらっしゃいませ。
どうもお疲れさまでございました。
どうもようこそ。
いらっしゃいませ。
(太鼓)いらっしゃいませ。
まあいらっしゃいませ。
城ノ内様。
お久しぶりでございます。
ああ…。
ようこそいらっしゃいませ。
輪島は初めてでいらっしゃいますか?そうですね。
いいとこですね。
わあ…あっちもこっちも笑顔でいっぱいですねぇ。
はい。
ありがとうございます。
城ノ内さん。
私は一番大切なものを忘れていました。
真心を込めたおもてなし…。
まだまだ勉強不足でした。
いえいえ。
州園はこれからますますすばらしい旅館になりますよ。
(2人)はい。
ありがとうございます。
女将さん。
おじいちゃん達花うるしの間すっごい気に入ってくれました。
本当にありがとうございます。
いいえこちらこそ。
ありがとうございました。
失礼します。
へえ〜かわいらしい個人客もつかんだようですね。
はい。
母ちゃんごめんな。
俺は自分の好き勝手やってて母ちゃんのこと何も…。
1人で寂しいよな。
輪島の女をなめるんじゃないって。
お前の1人や2人おらんかて何も寂しいことありゃあせん。
そっか。
そやけどゆべしができ上がる頃には顔見せに戻ってこい。
うん。
はあ〜。
さあ皆さん今度は山口県下関です。
それってもしかしてまた休みなしってことですか?もちろん。
ああ聞くんじゃなかった。
ああ〜たまには温泉に浸かってのんびりしたいなぁ。
いや〜俺もたまにはさ人の作ったうまいものを上げ膳据え膳で食べたいですよ。
あなた方ねそんなこと言って。
あなた方に悲鳴を上げてる旅館を放っておいて遊びほうけることなんかできるんですか?それはもちろん…。
(島・梢・さつき)できません!でしょ?よし。
さあ出発!
(島・さつき)はい!でもやっぱりたまには休みも欲しいですよ〜。
梢その顔何かに似てるね。
あっほら下関っていえばフグの名産。
なになに?何ですか?フグ顔だよフグ顔。
ひどいもう慎さん!フグだよフグ。
もう〜!
東京・有楽町を歩く1人の男性
2015/08/21(金) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
温泉(秘)大作戦[再][字]
能登半島輪島を巡る究極のズワイガニと伝統の技・輪島塗の美に隠された連続殺人の謎!
詳細情報
◇出演者
森口瑤子、東幹久、村田雄浩、山口いづみ、東てる美、でんでん、斎藤洋介、石丸謙二郎、野際陽子 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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