元木昌彦の深読み週刊誌

又吉直樹「火花」でネタ拝借?作中に夢路いとし喜味こいしの十八番「ジンギスカン料理」

2015/8/21 14:50
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ケチついた「五輪エンブレム」象徴として崇めるのは無理!白紙に戻してコンペやり直せ

   東京五輪にまたケチがついた。公式エンブレムの盗作問題である。花形デザイナーとして有名な佐野研二郎氏(43)のデザインだが、このエンブレムがベルギーのリエージュ劇場からロゴの模倣を指摘されたのである。当初「パクリはない」と胸を張っていた佐野氏だったが、次々に過去のデザインへの疑惑が噴出してきて「疑惑のデパート」(週刊新潮)、「第2の小保方事件だ!」(週刊文春)と騒ぎは収まりそうにない。

   彼は卒業後に博報堂に入社してサラリーマンデザイナーとして働いていた。その時手がけたのが日光江戸村のキャラクター「ニャンまげ」で、一躍、業界内で高い評価を得るようになったと週刊新潮が書いている。

   その後、数々の賞に輝き、社内結婚した奥さんと独立してデザイン事務所を立ち上げた。元同僚が週刊新潮に語っているところによると、誰に対しても声を荒げることはなく、いつもニコニコしていて傲慢なところはない人柄だという。

   今回、佐野氏の疑惑を暴き立てているのは、同業者ではなく主にネット住民だ。それはデザイン業界そのものが大変狭く、トップクリエイターといわれるのは特定の美大の卒業生と大手広告代理店出身者ばかりだからだそうである。今回のエンブレムの審査でも、そうした仲間内で「賞を贈り合って褒め称えている」(ベテランデザイナー)体質が、厳密なチェックを疎かにしたのではないかという声も多いようだ。

   大阪芸術大学の純丘曜彰教授はこう指摘している。<「私の目からすれば、五輪エンブレムは、現実的には盗作というほかありません。ただ、それは法的に争えばどちらに転ぶかわからない面もありますが、トートーバッグの『BEACH』というデザインはアウトだと見ています」>

   <五輪エンブレムは早々白紙に戻すのが、最善の策ではないのか>(週刊新潮)、「『五輪の象徴』という重責を負うに値する人物でないことは確かなようだ>(週刊文春)と、両誌手厳しい。

   私も五輪のデザインは盗用の疑いありだと思う。たしかに無から有を生み出すことは、私など想像もできないほど難しいことであろう。まったくの偶然で同じようなデザインができることも皆無ではないだろう。だが、ここまで傷つき汚れたデザインを五輪の象徴として崇めるのは無理だと思う。もう1度至急コンペを開催し、佐野氏にも参加してもらって「公開」で決めたらいい。

 

「いとこい」尊敬しているはずの又吉。ひと言ことわりを入れるべきじゃなかったか

   芥川賞を受賞し、いまや国民的作家となった又吉直樹氏にも「盗作疑惑」があることをご存知だろうか。発端は、先日、名古屋の元テレビ・ディレクターだった友人からこんなメールが来たことからである。

「昨日京都の行き帰りで『火花』を読みました。とんでもないもの(私にしてみれば)を見つけてしまいました。『火花』の57ページから59ページにかけて。主人公の徳永が先輩漫才師であり師匠と仰ぐ神谷に電話するシーンです。
「一緒に飯食おうや」と言われた徳永が、好きなものは「鍋」ですと答えた後のやりとりが、関西漫才の至宝・夢路いとし喜味こいしさんの十八番であった「ジンギスカン料理」からの完全なパクリなのです」

   彼は漫才や落語に詳しく、去年(2014年)、立川談志さんを主人公にした小説を上梓し話題になった。その彼が「火花」の中に「盗用」があるというのである。私もうっかりしていたが、たしかにこの漫才は聞いた記憶がある。

   「君が好きな食べ物は?」から始まる話で、「鍋!鍋」と相方がいい、「丈夫な歯ァしとるねェ。ぼくら歯ァ弱いからイカンけどね。あのォ、鉄の鍋と土鍋とどっちがおいしいんですか」と展開していく。「鍋じゃなくて鍋の実を食べるの」「鍋のどこをむいたら実が出てくるの?」。とんちんかんで軽妙なやり取りが絶妙だった。

   盗用は言い過ぎだろうが、何しろ「火花」は芥川賞をとってから200万部を超え、これを掲載した『文藝春秋』は100万部を刷り、雑誌にしては珍しく増刷したというのだから、国民的関心事になっていることは間違いない。その本に「瑕疵」があるというのだから捨ててもおけまい。

   岩波書店が出している『いとしこいし漫才の世界』(2004年)を読んでみた。たしかに「ジンギスカン料理」というタイトルがついている。一読、又吉氏がこの話からネタをとっているのは間違いない。作は西村博とある。

   又吉は先輩・神谷とのやり取りの前に、「子供の頃からテレビで見ていた大師匠の訃報が報じられた」と、偉大な漫才師の死に触れている(夢路いとしは2003年没。喜味こいしは2011年没だから、この大師匠はこいしのほうだろう)。どこかのインタビューでも「いとこい」さんを尊敬しているとしゃべっていたから、2人へのオマージュとして書いたのであろうと推測はできる。

   だが、「火花」の300万読者のほとんどは又吉の創作だと思って読んでいるはずだ。巻末にも出典は明らかにされていない。これがノンフィクションなら完全に「盗作」だと指摘され、受賞は見送りになる。

   私のジャーナリストの友人の意見はこうだった。「いくらなんでもあの有名なネタを盗用して気づかれないとは考えんでしょう。ひとこと説明があってもいいのかもしれないが、それは野暮だと又吉も編集者も考えたのかもしれない。『パクリ』だと騒ぐと、かえって『わかってないねえ』といわれるような気がする」

   真っ当な考えである。だが、と私は思ってしまう。これは難しい問題だが、ある作家が「努力とはバカに与えた夢」だと、立川談志の「やかん」からと引用を明示しないで書いた場合、ふざけるなと袋だたきにあうはずだ。ビートたけしが漫才コンビを組んでいた時代の「赤信号みんなで渡れば恐くない」を、ある作家が文中の主人公の創作として書いたら、誰でも知っているフレーズだからいいんじゃないとなるのだろうか。ならないはずだ。

   それに、「いとこい」の舞台を見たり聞いたりした人はもはやごく少数で、今の若手芸人でも知らないのがほとんどだろう。大師匠とリスペクトしているのなら、最低限、巻末にでも「あのジンギスカン鍋のやりとりはいとこいさんの漫才から拝借しました」と出典を明らかにするべきだと考えるが、諸兄はいかがだろうか。

首は絶対にもむな!クモ膜下出血やうつ病誘発するデリケート部位

   本を根詰めて読んだり、SEXで疲れたとき(これは私には関係ない)などは首が凝って、ひどいときは痛くて曲がらないときがある。そんな時は、誰しも首を自分で揉んだり、他人に頼んだりマッサージに行って揉んでもらうことがあるはずだが、『週刊現代』はそれはやめないと大変なことになるというのである。

<「ちょっと首がこったな、頭が重いな、という時、あまり意識することなく自分の手で首を揉むのは誰でもやることでしょう。しかし、それは今すぐやめたほうがいい。なぜなら首を強く揉むという行為は、身体にとって百害あって一利なしであるばかりか、病気の原因にまでなるからです」>

   こう警告するのは医学博士で東京脳神経センター理事長の松井孝嘉医師だ。松井医師が書いた「首は絶対にもんではいけない」(講談社刊)が、大きな評判を呼んでいるという。

<「自分で揉むのを避けるのはもちろん、マッサージ器も首には使わないほうが無難です。ましてや、床屋や整体でマッサージを受けるときも、首のまわりはきっぱりと断ったほうがいい」(松井氏)>

   その理由はこうだという。<「首は身体全体の調子を左右する『自律神経』と密接に関係しているのです。外から力を加えられただけで全身に大きな影響を与えかねない、皆さんが思っているよりも、はるかに重要でデリケートな部位なのです」>

   自律神経は、主に昼間の活動的なときに働く交感神経と、就寝時などリラックスしているときに優位に働く副交感神経の2つの神経によってなりたっている。この2つがバランスを取り合うことで、脈拍や血圧、呼吸、消化、体温の調整など、生命を維持するのに必要なあらゆる機能を調節しているそうだ。

   松井氏の独自の研究によれば、この自律神経のバランスを整える部位が、首の後ろから頭の付け根あたりに存在しているのだという。<「強く揉み続けると、こりが増幅して、副交感神経の働きが障害され、交感神経とのバランスが崩れてしまう。交感神経が過剰に優位になると、急に脈が早くなり、血圧が上昇したり、胃腸の働きが抑制され食欲がなくなったりと、様々な体調不良につながるのです」(松井氏)>

   首を揉むことの弊害を指摘しているのは国際医療福祉大学熱海病院の神経内科医、永山正雄副院長も同じだ。氏によれば、血管と血流の観点からも、首を揉むことにはリスクがあるのだというのである。<「首を強く揉むことによって、頸動脈などの血管にこびりついているプラーク(血管のカス)や血栓が剥がれ落ち、血管が詰まって脳梗塞になる恐れがあります。

   プラークは年齢が高くなるに連れて生じやすいので、高齢者ほど危険です。

   最悪の場合、首への負荷によって血管の外壁に亀裂が入り、そこの部分に瘤が出来てしまい、クモ膜下出血につながる恐れもあるのです」>

   首の不調によって認知症が進行する可能性もありうると指摘する鍼灸師もいる。また、首を過度に揉むことで、うつ病を発症する可能性も高まるというのだ。

   揉まずにこりをほぐし、首の健康を取り戻すにはいったいどうしたらいいのだろうか。松井氏は、一番重要なのは緊張で凝り固まった首を「ゆるめる」ことだと説く。<「長時間机に向かっているときなど、15分に一回、30秒ほど手を添えて頭を後に反らしてあげるといいでしょう。そうすると首の後ろの筋肉が緩み、溜まった老廃物を血液が流してくれますから、こりがやわらぎます」>

   この体操に加えて、松井氏は「首は冷やすのではなく、しっかり温めることが重要だ」と語っている。さらには首の筋肉そのものを鍛えることも重要だという。<「お薦めしたいのが、『アイソメトリック』と呼ばれる鍛錬法です。やり方は簡単で、手で頭に適度な力を加え、それを頭で押し戻す。これを頭の四方で20秒ずつやってください。一カ月程度で首の筋力強化を実感できるでしょう」>

   この原稿を書き終わったら「首体操」をやってみるか。

大手メーカーも参入する高反発ドライバー!飛ぶボールと合わせ技で飛距離30ヤードアップ

   きょう21日(2015年)発売の『週刊ポスト』が、大手ゴルフメーカーのPRGR(プロギア)が10月上旬から高反発ドライバーを発売すると報じている。高反発ドライバーは2000年以降に大流行したが、500ヤード、パー5を2打で乗せるプロが多くなりすぎたため、世界のゴルフ・ルールを司るP&A(全英ゴルフ協会)が反発係数を抑えるルール変更に乗り出し、日本でも禁止されたのである。

   だが、主にシニア層で、昔のように飛ばしたいというニーズが強く、公式競技では使えないが、ここ数年高反発ドライバーを発売する中小メーカーが急増していた。大手メーカーもこの流れを無視できず、参入することになったというのだ。

   では、高反発ドライバーを使えばどれぐらい飛距離が伸びるのだろうか。PRGR側はあくまでも参考値としながら、「ヒューマンテストで平均4~5ヤード、中には10ヤード伸びたケースもある」そうだ。これにシャフトも飛ぶように合わせる(どうやんの?)。ワークスゴルフが出している非公認の飛ぶボール「飛匠」を使うとさらに15ヤード。計算上は合計30ヤード飛距離が増すことになるそうである。

   ちなみに、PRGRのドライバーは10万円。カタナゴルフは15万8000円。だがワークスゴルフのドライバーは4万9980円である。

   私は自慢ではないが、ゴルフはまるで下手である。回数だけは人並み以上にやってきているが、ドライバーは飛ばないで曲がる。長いフェアウエーウッドを使うと100%ダフるかチョロ。ショートアイアンがフックする。3パター、4パターは当たり前。以前は90台で回れたのがいまは110も切れない。

   そろそろ止め時かとは思っているが、もう1度90台、あわよくば80台を出してみたいと内心では思っている。さっそく飛ぶドライバーと飛ぶボールを買ってこようか。これでだめなら・・・。私にとって、わかっちゃいるけどやめられないのがゴルフと競馬である。嗚呼!

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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