歌人、柿本人麻呂ゆかりの茶道具を盗んだとして、奈良県警西和署は18日、窃盗の疑いで徳島市北島田町2、無職、中川久美子容疑者(59)と長男の無職、真吾容疑者(39)を逮捕した。
価値に気付かなかったとみられ約70万円で古物商に売却。その後、大阪市内で競売にかけられ、3千万円で落札されていた。ともに容疑を否認している。
西和署によると、茶道具は兵庫県明石市の柿本神社の柿の木から作られたお香入れ「香合」。木は人麻呂が植えたと伝えられていた。皇女和宮の嫁入り道具を作ったことで知られる工芸師の8代中村宗哲が、幕末から明治時代初めに茶道の裏千家11代玄々斎の指示を受けて作った。
逮捕容疑は、氏名不詳の男と共謀し、2010年5月、奈良県斑鳩町の女性(72)方から香合1個を盗んだ疑い。
2人は古着の買い取り名目で女性宅を訪問。「骨董品の目利きができる」と言い、女性が義母から形見分けでもらった香合を出してもらい、隙を見て盗んだとみられる。〔共同〕
柿本人麻呂、茶道具