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番組詳細説明（表題）

２つの“マル秘” と再稼働
国はなぜ原発事故試算を隠したのか？

番組詳細説明（内容）

【見どころ】
国が隠した２つの試算がある。「大型原子炉の事故の公衆損害…に関する試算」は日本初の原発が事故を起こすと損害は国家予算を超えるとの試算だ。マル秘の判を押され封殺された。２つ目が「原子炉施設に対する攻撃の影響に関する一考察」。イラクの原子炉が空爆されたので８０年代に試算。「ミサイルの命中精度は極めて高いので格納容器が破壊される…」「１万８千人が急性死」　被爆国日本で原子力をすすめる為に隠し事はしないという「公開」の原則は今年まで切れ目なく破られていた。まもなく九州電力・川内原発が再稼働する。首相は安全といい規制委員長は安全とは言わない。このズレは？新基準での再稼働は都合悪い事も隠さず公開しているか？

【内容】
九州電力・川内原発１号機が、福島第一原発の事故後にできた新規制基準に初めて適合しているとしてまもなく再稼働する見通しだ。
世界で唯一の被爆国日本で原子力を推めるには国民感情を味方に付ける必要があった。そこで原子力基本法に「自主・民主・公開」の三原則を盛り込み「原子力は平和で安全なのだからきちんと公開する＝隠し事はしない」と謳った。しかしその原則は、日本にまだ一つの原発が出来ていない段階で既に破られていた。原発が事故を起こすと、国家予算の倍以上という甚大な損害が出るという試算書を39年に渡って隠していたのだ。
更に、今年、外務省への情報公開請求で秘密文書が出てきた。原発が攻撃されたらどんな被害がでるのかの研究レポートだ。ここにも甚大な被害が。この文書も1984年から今年まで公表されて来なかった。つまり原発が出来る前から、福島第一原発の事故を経て今年まで切れ目なく隠し事は続いていたことになる。
最初から隠さなければならなかった“原発”を、福島第一事故の後、再稼働させようと
している時だからこそ、今回こそは大切な事は全ての「公開」されていると信じたい。だが安倍総理の「世界一厳しい新基準で安全が確認された原発から再稼働させる」に対し、原子力規制委員会田中委員長は「適合はしたが安全とは申し上げられない」と食い違う。国民は、今度こそ国を信頼していいのか？再稼働を通して考えたい。

２つの隠されていた試算。1961年に原子力損害賠償法を作るために科学技術庁が原子力産業会議に委託した「大型原子炉の事故の理論的可能性および公衆損害に関する試算」。茨城県東海村に建設が進んでいた日本初の原発・東海発電所が
事故を起こすと、経済的にも人命的にも甚大な被害が出ると試算されていた。その試算が長きに渡ってマル秘の判を押され、隠されていた事を国会で追及した公明党加藤氏と共産党の西山氏に話を聞く。

また、情報公開請求で今年外務省から出てきたのが「原子炉施設に対する攻撃の
影響に関する一考察」だ。1981年にイスラエルがイラクの原子炉を攻撃したのを受けて
試算させたものだ。その中には「今日のミサイルの命中精度は極めて高いので格納容器の攻撃が実行されれば、その機器が破壊される確率は高い」とあり、最悪の場合で18000人が急性死亡、などこれも甚大な被害を報告している。元日本原子力研究所の
研究員だった舘野淳氏は、「原子炉の弱点を非常に正確に分析していて関心」と述べた上で、「原子炉というものが攻撃に対して非常に脆弱であるということを一般の人から
隠していたということが非常に大きな問題」と公開の原則が破られていた事を憂えた。
アメリカではこうした試算を、時代時代で最新の知見で見直し、国民に公開してきた。
そこが日本と大きく違う。また、何か起きるときちんとそこから学び、対策をとってきた。
アメリカのNRC・原子力規制委員会ヤツコ元委員長にスリーマイル事故後にアメリカは
変えた一番大きな事は何かを聞いた。その答えは「避難計画の実現性」だという。
アメリカでは避難計画の実現性が認定されないとＮＲＣは原発のライセンスを与えないという。日本ではご存じの通り、避難計画に問題が有る、無い、は再稼働には直接関係がない。さらに９１１テロ後には航空機が突入しても大丈夫な対策を要求するなど対策を
とった。その対策をアメリカは日本に伝えていたのだが、原子力保安院はこれをまたも
封印し活かさなかった。可動式電源の確保、冷却機能の強化などを盛り込んだアメリカの対策をとっていれば福島の事故は防げたのではとみる専門家も多い。そしてヤツコ氏は日本の「世界一厳しい新規制基準」をどうみるのか・・・？　

福島事故原因が十分究明されないまま作られた基準で大丈夫か？新基準に抜け落ちている物はないのか？全ての原発に同じ審査のやり方で本当によいのか？
テロやミサイルで攻撃されても大丈夫なのか？複数の原発が同時に事故を起こしても
対応可能か？疑問点がいくつも並ぶ中、全国25基の原発が再稼働に向け準備を進めている。