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#5 新国立競技場のコンセプトは何ですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 上の画像、何だか解りますか? "「いちばん」をつくろう。" "FOR ALL"というキャッチコピーの後に続くリードコピーをキャプったものです。何とも稀有壮大なふわふわした言葉が綴られています。これは独立行政法人 日本スポーツ振興センターのHPトップの画像。このサイトにはザハ・ハディッド・アーキテクツ社が勝利した新国立競技場の国際デザイン・コンクールの募集要項、審査概要、審査講評などが掲載(PDF)されています。揺れに揺れ17日に白紙に戻ることが決定した新国立競技場デザインコンペの経緯を我々によく伝えてくれるサイトです。ご覧になられた方も多いと思いますがまだ閲覧されていない方は必ずこの機会に自分の目で見てみてくださいね。SNSなどで流れるニュースだけを読んで全てを知った気にならないこと。これは今回の新国立競技場の問題だけでなく全てのニュースに当てはまることです。自分なりに基を辿る。時には検索以外の書籍を参照したり現地に足を運び自分の頭で考えること。そうしないと思考停止になりますよ。何だか池上彰さんみたいなこと言ってますが(笑)。本当です。さて、僕は今回のコンペの白紙撤回に大賛成です。むしろ判断が遅すぎたことに納得がいかない。でも、まあそれはさておき、このサイト全容から読み取れること、それは大きく2つではないでしょうか? 1つ目は新国立競技場デザインに求める日本サイドの具体的なコンセプトの不在と国をあげた大プロジェクトなのに建築費用上限が未提示であること。2つ目はザハ・ハディッド・アーキテクツ社に非はない(損害賠償が生じる)ということです。そして、当時求めたデザインはサイトのキャッチコピーなどから解るように震災復興を乗り越えた日本の力強いシンボルを創る、という想いが見え隠れしています。この部分も重要ですね。震災を経て我々の意識は大きく変容してしまったのですから。このデザインコンペは平成24年7月20日に募集要項が交付され同年11月15日に結果が出ています。3年前の話ですね。ちょうどこの年は東日本大震災の翌年にあたり復興需要で建築工事の資材費・人件費が一気に高騰した時期です。そしてそれは現在も続いています。例えば首都圏マンションで言えば土地3割・建物7割の価格に対し地価上昇で土地が約15%UP、 建築費は約30%UPしてると言われています。実際、福岡市や北九州市でも土地で10%以上、建築費で20%ほど上昇しています。ザハ・ハディッド・アーキテクツ社は今回の白紙に対し反論のコメントを出していますが間違ったことを言ってるとは思えない。仰る通り建築費の上昇に伴う理不尽な白紙撤回は日本側の一方的な都合です。これだけの大プロジェクト。設計にかかったクリエイティブ・コスト・労力は半端なものではないでしょう。今回の白紙撤回の件、賠償という形できちんと支払い日本国をあげて謝罪する義務と責任があると僕は思います。そして!僕が何より伝えたいのは新国立競技場はこれまで同様、その場所に立つ「人」が主役だ!ということ。そして、競技場に集う全ての人が「安全・便利・快適」に活用できる施設であること!ということです。当時のデザイン選定が国の威信をかけた復興のシンボル性を強く意識したのは間違いないです。でも多くの国民の価値観は皮肉にも東日本大震災を経験して変容した。今の日本国民はコストにシビアです。外観よりも耐久性など安全面への意識が高いのです。今よりも未来というキーワード性を持っています。その場所が人と人を繋ぐ場所になれるかを重要視しています。外観のデザインより命のデザインを求めています。政権交代や都知事交代を巡って責任の所在が何やらうやむやになっていますがこれは単純に、震災翌年に求めた派手な希望的デザインと今日の社会が求める命のデザインに大きな乖離が生まれたということでしょう。それが建築数字になって現れたというのが真相だと思います。だから責任の所在云々より今やるべきことは、改めて国がそして東京都が未来に繋ぐ想いを真剣に語って欲しい!ということです。 新しい国立競技場は五輪を経て未来にどのような使われ方をしたいのか? その場所に集う人にどのような価値を与えたいのか?そんな想いをデザインコンセプトとして明確に再コンペの募集要項で明文化すべきだと思います。もちろん、建築費上限と併せてね。

 

(参照サイト) 

日本スポーツ振興センターHP▶︎http://www.jpnsport.go.jp/newstadium/Portals/0/NNSJ/NNSJ.html

ザハ・ハディッド・アーキテクツ社▶︎http://www.zaha-hadid.com/