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中国・天津で起きた危険化学物質倉庫の爆発事故は死者が121人、被災者が…
中国・天津で起きた危険化学物質倉庫の爆発事故は死者が121人、被災者が3万人を超える惨事となった。発生から10日が過ぎたが、被害の全容さえ見えない。問われるべきは、これまでも事故や災害のたびに人命軽視が指摘されてきた中国政府の姿勢である。
事故があった浜海新区は、天津港の周辺で新たに開発され、大企業の工場や高層住宅、ショッピングビルが立ち並ぶ。中国で最近の経済成長を先導してきた地区の一つだ。トヨタをはじめ日本の企業も進出しており、操業停止などの影響が長引くと心配されている。
それ以上に気にかかるのは市民の安全と健康だ。
事故後初めて雨が降った後、路上に見慣れぬ白い泡や粉があらわれた。国営テレビは、大気から神経性ガスが検出されたと報じている。
今回、厳しいメディア統制の中で、こうした独自取材情報が伝えられているのは注目される点だ。半面、地元の天津市側の情報発信は遅きに失した。「有毒なものはない」と報道を打ち消しているが、市民らは市側の説明を疑っている。
そもそも、住宅街から数百メートルしか離れていない場所に、なぜ大量の危険物があったのか。保管していた会社と、地元の警察幹部との関係をうかがわせる報道もある。
真相はなお不明だが、総じて言えば、経済成長優先、金もうけ優先で、基本的な安全が軽視されるという、中国のあちこちで見られる構図がここでも繰り返されている。
事故対応の指揮をとっていた閣僚級幹部を共産党中央規律検査委員会が取り調べ始めたという。しかし、これは市民の報復感情を満足させても、安心感にはつながりそうにない。
6月にあった長江での客船転覆事故の際、遺族は現場に近づくことを許されず、原因究明はうやむやになった。08年の四川大地震では、ずさんな工事でできた各学校の校舎が崩れたことが子供の犠牲を増やしたと指摘されたが、追及しようとする市民に当局は圧力をかけた。
人命を大事にすること、守ることは、どの国の政府でも最低限のつとめだ。そのために市民の疑問、不安にこたえる情報を公開するのもまた当然だ。
中国共産党最高指導部である政治局常務委員会が20日、事故を議題とする会議を開き、「人民大衆の生命の安全に責任を負う態度」を強調した。危機感のあらわれだろう。このままでは政権への信頼が失われる。
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