【ソウル=小倉健太郎】韓国と北朝鮮は22日、南北軍事境界線にある板門店で高官会談を開いた。地雷で韓国軍兵士が重傷を負ったのをきっかけに砲撃の応酬にも発展していた南北の緊張緩和を模索する。
会談には韓国から安全保障政策を総括する金寛鎮(キム・グァンジン)大統領府国家安保室長ら、北朝鮮側は金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の最側近である黄炳瑞(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長らが出席した。韓国側によると、会談は北朝鮮が21日に呼びかけた。22日午後6時すぎに始まり23日未明まで続いた。
北朝鮮は拡声器を使った韓国の宣伝放送を批判し、22日午後5時までにやめない場合は軍事行動をとると表明していたが、今のところ軍事行動は確認されていない。
韓国軍は会談開催が決まった後も宣伝放送を続け、「最高水準の警戒態勢」(国防省関係者)をとっている。韓国の聯合ニュースによると南北境界近くでは北朝鮮の砲撃を想定して住民が避難施設に避難した。
韓国の宣伝放送は、北朝鮮が仕掛けたとみられる地雷で今月4日に韓国軍兵士が重傷を負ったのに対する報復策だ。20日には双方合計で30発以上の砲撃の応酬があった。北朝鮮は宣伝放送の中止を要求し、前線地帯を「準戦時状態」にしたと表明したうえ「全面戦も辞さない」との声明を出していた。
南北高官が会うのは2014年10月、韓国・仁川で開いたアジア大会の閉会式に出席するとして黄炳瑞氏ら3人が突如韓国を訪問して以来だ。
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